水深800メートルのシューベルト|第558話 5 吉村うにうに 2023年5月27日 18:41 彼は、僕に向かって微かに頭を動かしたようだったが、彼と関りたくはなかった。僕の罪、恐怖、別離に締め上げられる気持ちは誰にもわかってもらえない。バスに乗って帰ろう、そう思って芝生を傷めつけながら、足早にそこに向かった。 バス停には、客のいないバスが一台停まっていて、運転手も外からは見えなかった。バス停にも誰もいなかった――ただ一人を除いて。 アスファルトの歩道に出ると、ずっと僕に視線を向けていた男が光った。薄いグレーのスーツにネクタイ姿の男だった。 第557話へ戻る 第559話へつづく ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #連載小説 #長編小説 #連載長編小説 #潜水艦 5