水深800メートルのシューベルト|第556話
ブライアントはふうと息を洩らすとトレーのマカロニをぐちゃぐちゃにかき回して、皮肉っぽい調子で言った。
「別に、いいけど。メイソンを売ったとしたら、お前度胸があるな。あいつか兄貴にリンチにあって殺されるだろうからな」
「だから、僕じゃないって」
大きな声を出したいのを我慢しながら言った。しかし、ブライアントの冷めきった目はまったく変わらなかった。
「どうでもいいけど、お前のせいでメイソンが捕まったことには違いないから」
彼はそう言うと、すっかり食欲をなくしたのか、トレーを持って立ち去ってしまった。
バーナードも立ち上がり、
「ボスが出てきたら真っ先に謝れよ。殴られるだけで済むといいな」
と、僕の頭の傷に目をやりながら言った。