認定NPO法人プール・ボランティア

私たちは、障害者も高齢者も健常者と同じようにプールに行ける社会の実現を目指し、 マンツ…

認定NPO法人プール・ボランティア

私たちは、障害者も高齢者も健常者と同じようにプールに行ける社会の実現を目指し、 マンツーマンで水泳指導をしている大阪生まれ大阪育ちの認定NPO法人です。姉妹校4校誕生。

最近の記事

【プール・ボランティアのお話】どこで泳ぐの?(2007年5月)

『プール・ボランティアのお話』は2007年4月から毎月1回和歌山保険新聞に掲載していたものです。内容は、掲載した当時のままです。 「どこで泳ぐの?」さて、障害者が泳ぎたいと思ったとき、どこへ行けばいいのだろう? 大阪市には障害者専用プールが二つある。ひとつは、大阪市の中心部にあり交通の便はいいのだが老朽化していて、お世辞にもきれいなプールとは言えない。もうひとつは素晴らしく立派な施設なのだが、大阪湾の島の上にあり、そこへたどり着くまでが大変。 そして当然、どちらのプールにも

    • 【プール・ボランティアのお話】PVの誕生(2007年4月)

      『プール・ボランティアのお話』は2007年4月から毎月1回和歌山保険新聞に掲載していたものです。内容は、掲載した当時のままです。 「PVの誕生」42歳のとき勤めていた民間会社を退職しました。 しばらくはのんびりしていましたが、このあとの人生を何か直接、社会に貢献できるようなことに使えたらなぁと、ぼんやり考えていました。 他人と競争して売上や利益を追求するような仕事には、もう飽きがきていました。 私にできることといえば、泳ぎが得意なことくらいでしたから、水泳というスポーツを通

      • 【障害者水泳 指導者養成研修】あとがき

        障害者水泳指導に携わるみなさんへ 敬意をこめて率直に書きました。 障害者に水泳を指導することは、しんどいし、心が折れることも多いし、周囲から冷たい視線を浴びることも多いし、やっぱり大変です。 でも、私たちが26年間も活動を継続してこられたのは、それ以上に楽しさや喜びや達成感があるからです。 偏見や差別などへの義憤があるからです。 継続してください。 続けてください。 すぐに辞めないで! 半年や1年だけなら、けっこう楽にできます。 でも、3年、5年、10年、15年と続けることは

        • 【障害者水泳 指導者養成研修】その他③

          ■日本の民間スイミングスクール 日本のスイミングスクールで障害者を受け入れているプールは、ひとつもありません。 保護者が必ず一緒に入水しなければいけないとか、全体行動や更衣が一人でできないとダメだとか、厳しい「しばり」があるのです。 オールウェルカムで受け入れているプールがあれば教えてくださいね。 でも、これはしかたのないことなのです。 民間のスイミングスクールが冷たいわけではありません。 むしろ、その逆でスイミングスクールのインストラクターの皆さんは障害者に水泳を指導し

        【プール・ボランティアのお話】どこで泳ぐの?(2007年5月)

          【障害者水泳 指導者養成研修】その他②

          ■「大きな保険」に入ること。 万一の事故に備えて事前に大きな保険に入っておきましょう。 保険のない指導は無謀なだけでなく、大きな悲しみと苦痛を伴います。 プール・ボランティアでは「NPO活動総合保険」に加入しています。 ひとつ、覚えておいてください。 事故があったとき、「ボランティアさんには、いつもよくしていただいているので気になさらないでください。大丈夫です。」なんてことは、保護者は絶対に言いません。   ■水泳の家庭教師について 障害者であれ、健常者であれ、水泳指

          【障害者水泳 指導者養成研修】その他②

          【障害者水泳 指導者養成研修】その他①

          ■モンスターペアレント 障害児にも、もちろん保護者がいます。 そして、現実にモンスターペアレントもいます。 こういう保護者と関わると大変なことになります。 詳しいことはここでは書けませんが十分に気をつけることです。 26年前に、ぼくたちがプール・ボランティアを設立しようとしたとき、 「障害児を抱える保護者は、子どもの障害と向き合い、熱心に、真摯に、精力的に、真面目に、健気に、頑張っている。そこを少しでも助けてあげたい。」と思っていました。 設立して活動を始めてみると、現実

          【障害者水泳 指導者養成研修】その他①

          【障害者水泳 指導者養成研修】指導者について②

          ■研修の必要性① プール・ボランティアでは、ボランティア会員に対して「研修」というものを一切しません。 毎回の活動が研修ですし、自分で勉強すればいいのです。 教えられるより、経験し、学び、それぞれが自分の頭で工夫することです。 実際には現場で気づきながら、だんだんわかってくることの方がはるかに多いのです。 「先に勉強しなくても、すべては障害児たちが教えてくれます。」   ■研修の必要性② プール・ボランティアでは入会したボランティア会員に対して「研修」というものを一切

          【障害者水泳 指導者養成研修】指導者について②

          【障害者水泳 指導者養成研修】指導者について①

          ■「そこのけ、そこのけ、障害者が通るんじゃ。」 障害者が水泳を練習する場合、どんなに静かに謙虚に練習していても、やっぱり目立ちます。 どうしても、声は大きいし、騒ぐし、はしゃぐし、イレギュラーな行動をするし。 でも、「そこのけ、そこのけ、障害者が通るんじゃ。」式のプール利用態度は絶対に慎むべきです。 障害者を水泳指導しているからといって、なんも偉いわけではありません。 だからこそ指導者は周囲のお客さんたちの空気を読んで、できる限りみなさんと調和するように努力したいものです。

          【障害者水泳 指導者養成研修】指導者について①

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について④

          ■指導者が絶対にしてはいけないこと。 熱心で、真面目な指導者にありがちなことかもしれません。 言うことを聞かない、ニヤニヤヘラヘラして集中しない、見苦しい言い訳ばかりする、真面目に練習に取り組まない、暴力を振るわれた、暴言を吐かれた、あまりにも簡単なことができない、そんな態度にイラッとして、強引で無理な練習をさせたり、水に沈めたりなどの行為は、指導者は絶対にしてはいけません。 それは指導ではありません。 要するに頭に血が上って、ムキになってしまっているのです。 そんなとき

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について④

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について③

          ■気管切開児、全身寝たきり児、四肢欠損児など 冒頭にも書きましたが、陸上では気管切開している子ども、全身寝たきりの子ども、手も足もない子どもは重度障害になるのでしょうが、水の中ではそれほど難しいテクニックがいるわけではありません。 気管切開しているところを水没させなければいいだけのことです。 そこだけに気を遣って入水してもらっています。 それさえ守れば自由に遊べます。 全身寝たきりの子どもも、手も足もない子どもも同じです。 入水するときと退水するときは少し気を使いますが、

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について③

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について②

          ■ダウン症児について こだわりの強い子もいるし、弱い子もいるし、明るく陽気な子もいるし、無口で接触が苦手な子もいるし、まぁ、いろいろなタイプの子どもがいます。 ひとくくりに「ダウン症の子どもは、、、」って本に書いてある内容と現場で見る子どもたちとは、全然違います。 これは、どの障害についても言えることです。 本に書いてあることと実際の現場の障害者とはかなり違います。 ここでも、一人ひとりに適した指導が必要になります。 ダウン症児は、老化が早い、って言われます。 現場で見る

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について②

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について①

          ■どの障害が難しい? 障害の内容、種類、程度はさまざまですが、一般的に考えてどの障害のタイプを指導するのが難しいと思いますか? ①   知的障害者 ②   知的・身体の重複障害者 ③   身体障害者   これは、間違いなく①です。 どんなに重度の身体障害であっても、知能的に健常もしくは健常に近い場合は指導するにあたって本人とコミュニケーションがとれますので指導が楽にできるのです。 どうすればいいのか、本人が教えてくれるからです。 ボランティアに一番人気なのも、このタイプで

          【障害者水泳 指導者養成研修】それぞれの障害者について①

          【障害者水泳 指導者養成研修】入水編②

          ■スイムキャップは、なぜ着用する必要があるの?  以前、ガンの治療の影響で髪の毛の全くない障害者とプールに行きました。 その人が、スイムキャップをかぶらないで泳ごうとしたら監視員が来て、 「お客さん!スイムキャップを着用してください。」 「えっ、なんで、かぶらなあかんの?」 「髪の毛が水質を汚染するからです。」 「ぼく、髪の毛、一本もないやんか?」 「それがルールなんです。(怒)」 こういう監視員は最低ですが、未だに、スイムキャップを着用しないと水が汚れる、と思っている監

          【障害者水泳 指導者養成研修】入水編②

          【障害者水泳 指導者養成研修】入水編①

          ■プール専用車いすでの入水と退水 「前からの入水」と「後ろからの入水」の場合があります。 これは、プールの中で実際にやってみましょう。 後ろからの入水のほうがスムーズです。 基本的には2名の指導者が必要です。前側と後ろ側の二人です。 スロープの途中からは体が浮いてきますので、軽くひざを押さえましょう。 スロープの途中で一度止まって車いす者に水をかけ、プールの水温を体に教えてあげてください。 ゆっくり、ゆっくり、降りていきます。 「後ろからの入水」の場合は、ある程度の深さま

          【障害者水泳 指導者養成研修】入水編①

          【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し②

          ■プールで水泳指導すべきでない障害者 伝染病に感染している人が、公共のプールに入水してはいけないのと同じように、排泄のコントロールが全くできない障害者はプールで指導してはいけません、というのが普通のルールです。でも、現実にはちょっと違います。 排泄のコントロールが全くできないという障害者は、ほとんどいません。 何かしらの対策を講じれば、たいがいはOKなのです。 人工肛門の人も、人口膀胱の人も、大丈夫です。 小さな子どもも泳げるオムツや排泄の事前管理で十分に対応できます。

          【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し②

          【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し①

          ■障害者本人と介護者の減免 大阪市営プールの場合は、一人の障害者に必要であれば何人の介護者が一緒に入水しても、すべて減免されて無料です。しかも、何人が必要であるかも障害者側が判断します。 プール・ボランティアでも、一人の気管切開児に5名が入水したこともありました。 この時も、すべて減免されて無料になりました。 素晴らしいシステムです。 大阪府営プールの場合は、障害者一人につき介護者は一人だけが減免されて二人目からは有料になります。 障害者が半額、介護者も半額、という自治体

          【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し①