【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し②
■プールで水泳指導すべきでない障害者
伝染病に感染している人が、公共のプールに入水してはいけないのと同じように、排泄のコントロールが全くできない障害者はプールで指導してはいけません、というのが普通のルールです。でも、現実にはちょっと違います。
排泄のコントロールが全くできないという障害者は、ほとんどいません。
何かしらの対策を講じれば、たいがいはOKなのです。
人工肛門の人も、人口膀胱の人も、大丈夫です。
小さな子どもも泳げるオムツや排泄の事前管理で十分に対応できます。
でも、失敗することも、あります。
これは、健常児と同じです。
その時は、必死になって原状回復をしてください。(笑)
■障害児は天使だろうか?
「障害児は、天使」「障害児は、神様からの贈り物」
よく聞く言葉です。
他人様の感想についてはともかく、ぼく自身は障害児たちがそんな風に見えたことはありません。
出生前診断で胎児に障害があるとわかった場合の中絶率が90%を超えるという現実を考えると、う~ん、もっと現実的なとらえ方があるように思います。
障害児を産んでも、全然、気にしないで育てられる環境が整っていないことも大きな要因です。
障害者に関して、いろいろ言われることは多いのですが、
「彼らは機嫌よくお母さんの体から生まれてきただけで、彼らには何の罪もないやないか!」
「差別を受けたり、偏見を持たれたりする理由なんかない!」
ぼくは行き詰ったとき、いつもこの言葉を思い出します。
■こだわり
自閉症児には強いこだわりがある、ということをよく聞きます。
確かに、その通りです。
でも、そのこだわりは本人が持っている場合もありますが、保護者が持っている場合も少なくないのです。
「うちの子は、このスイムキャップしかできないんですぅ。」
後ろから、そっと別のスイムキャップをかぶせると、そのままそれをかぶっています。違うことに気がついても、そのまま彼に変化はありませんでした。
こういうこともよくあります。
指導者は出来る限り、その子のこだわりを尊重しすぎることなく、拡大していくことなく、打ち壊す指導も必要なんじゃないかと思います。
■障害者差別解消法の理解
指導者は、この法律をしっかり勉強することです。
そして、この法律に基づいて「合理的配慮の提供」を施設側に正当に主張しましょう。
・スイムキャップの着用を免除してください。
・館内のBGMを止めてください。
・監視員室にあるベッドを使わせてください。
・館内の照明をもっと明るくしてください、あるいは暗くしてください。
・障害者用の浮き具や車いすをなどの備品をプールの倉庫に置かせてくださ い。
・車いす者は、10分間の休憩で退水しないで済むようにしてください。プールの中で、じっとしていますから。
聴覚過敏の子どもは、現実にはとても多いので驚きます。でも、この「音がつらい。」という感覚を健常者に理解してもらうのは、とても難しいものがあります。