【障害者水泳 指導者養成研修】プールに着いてからのお話し①
■障害者本人と介護者の減免
大阪市営プールの場合は、一人の障害者に必要であれば何人の介護者が一緒に入水しても、すべて減免されて無料です。しかも、何人が必要であるかも障害者側が判断します。
プール・ボランティアでも、一人の気管切開児に5名が入水したこともありました。
この時も、すべて減免されて無料になりました。
素晴らしいシステムです。
大阪府営プールの場合は、障害者一人につき介護者は一人だけが減免されて二人目からは有料になります。
障害者が半額、介護者も半額、という自治体もあります。
それぞれの自治体のルールに従って入水してください。
でもね、介護者は自分のためにプールに入るわけではないのです。他人のために入るのです。そういう人から、料金を徴収するのは間違っているように思うのですがね。
それに、入水スロープのないプールだと車いす者には最低2名の介護者が必要です。
二人目の費用負担は障害者本人が負担するわけですから、う~ん、ちょっと違うんとちゃうか!
■トランス(移乗)について
障害者の体を移動させること(トランス)は、なかなかしんどいことです。
冒頭にも書きましたが、障害者は水の中に入った後は指導が楽な場合が多いのです。
ですから、このトランスを考えることは、とても大事なことです。
まず、みなさん!自分の頭で考えてみてください。
【水中へのスロープがないプールの場合】
まず、車いすに乗った障害者が、受付を済ませて障害者用更衣室に入ったところからです。
① 自分の乗ってきた車いすから、ベッドにトランス。(1回目) そして、水着に着替えます。
② 水着姿で、プール専用車いすに乗り換えます。(2回目) そして、車いすに乗ったまま、シャワーを浴びに行きます。
③ プール専用車いすから、プールサイドに降ろします。(3回目) この時、安全マットを敷いておくことをお勧めします。落とせば大きなけがを負いますから。
④ プールサイドから、障害者を水中に入れます。(4回目) そして、楽しく泳ぎます。
⑤ 泳ぎ終わったら、水中からプールサイドに上げます。(5回目)
⑥ プールサイドから、プール専用車いすにトランス。(6回目) そして、シャワーを浴びに行きます。
⑦ プール専用車いすから、障害者用更衣室のベッドにトランス。(7回目)
⑧ ベッドから、自分の乗ってきた車いすにトランス。(8回目)
どうですか?普通に8回です。
これで、障害者が途中で「オシッコ」となると上記に加えて、さらに6回トランスが増えるのです。(トイレに座らせるので。)
大変でしょ。
いずれの場合も、介助者が前と後ろについて抱えなければいけません。
花嫁キャリーは腰に負担がかかりすぎるだけでなく危険だし、障害者本人にとっても不快です。ですから、水中以外では出来るだけしないようにしましょう。
では、水中スロープがあるプールではどうなるでしょうか?
③、④、⑤、⑥がなくなりますので、しんどさや危険が半分になります。4回で済みます。
■どのコースで泳ぎましょうか?①
これも、最初にプール側と相談してください。
障害者は、どうやっても他の遊泳客とは泳ぐ速さも泳ぎ方も違います。
だから、どうしてもひとコースを独占したみたいになることも多いのです。
プール・ボランティアでは、「どうせ独占することになるのなら、」と、ひとコースにできるだけたくさんの障害者と一緒に入水するようにしています。
コース内の人口密度が高ければ苦情も言われません。
(それでも、苦情は言われるけどね。「お前ら、コースを独占してるやんけ。」)
■どのコースで泳ぎましょうか?②
ノーマライゼーションの実践ということで、障害者も健常者も同じプールで泳ごうよ!って、先述しましたが、一緒のプールで泳ぐということは、「一緒のコースで泳ぐ」という意味ではありません。
同じコースで障害者と健常者が一緒に泳ぐとお互いに不快な思いをするだけです。
大阪のあるプールでは、ぼくたち障害者の団体が利用するときには「障害者優先コース」を設定してくれます。
つまり、電車などにある「優先座席」と同じ感覚です。
これだと双方が別々に泳ぐのでお互いが快適に泳げるのです。