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#言葉の力
あなたと一緒に、仕事がしたい。"働く理由" はそれしかなかった。
「みなさんに、退職のご報告があります。」
部長の口からその言葉が飛び出したとき、辞めるのは彼ではないと知っていたはずなのに、大きく心臓が波打った。
実際は、部下の退職報告を代わりにしたというだけの話だ。けれどわたしはそのとき、不意をつかれて思わず息を呑んだ。
そして、考えた。
もし、彼が今、本当に会社を辞めてしまったら。
わたしは一体、どうするのだろう?
しばらくの間、放心状態になってし
私はきっと「そのままでいいんだよ」って言葉がほしかったんだ
「岡崎さんは、生きてるだけで尊いんだよ。」
それは、あまりにも唐突なできごとだった。わたしは上を向いたまま、一瞬フリーズしてしまう。
あと2,3日後には満月になりそうな、おおきな月がぽっかり浮かぶ、夏のはじめの夜だった。
その輝きに夢中になっていたわたしは、ふと我に返って声がする方を向く。
言葉の主は、まっすぐな瞳でこちらを見つめて、真剣な表情をしていた。
その人は、さっきまで眺めていた
わたしの世界を変えたのは、全部きみの言葉だったよ
彼からもらった言葉を、どこかに残しておきたい。
そう思ったのは、年が明けて数日経った、ある日のことだった。
残しておきたい。
そう思ったのは、昨年のわたしが「今年はいい1年だったなあ」と思えていたのは紛れもなく、彼の言葉たちのおかげだったと気づいたから。
やさしい言葉ばかりじゃない。
時には、目を背けたくなるような現実を突きつけられたこともあった。
だけどそれも含めて、彼の言葉には無視で