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弱おじの本棚

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2023年2月の記事一覧

人生では何が転機になるかわからない。 〜「アイネクライネナハトムジーク」を読みました。〜

人生では何が転機になるかわからない。 〜「アイネクライネナハトムジーク」を読みました。〜

伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」を読みました。
見取り図のリリーさんが最近読んだのnoteで書かれていたので、便乗して。

めちゃくちゃ好きです。
短編の中に出てくる登場人物たちがうまくどこかで繋がっていて。
最後の終わり方とかもめちゃくちゃ好きです。

「人生では何が転機になるかわからないですから」というセリフが後半に出てきますが本当にその通りだと思います。
この小説のように、誰

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薄いのに厚い本 〜「窓の魚」を読みました〜

薄いのに厚い本 〜「窓の魚」を読みました〜

西加奈子さんの「窓の魚」を読みました。

けっこう前にピースの又吉さんが読書芸人でおすすめしていた本です。

200ページくらいで薄い本ですが、その中には登場人物たちの心情が細やかに描かれていて、とても厚みのある本だと感じました。

これが「純文学」というものなのでしょうか。
何だか知的になった気分です。

4人の男女が温泉旅行に行った先で、ある女性が亡くなるミステリー要素もあります。
今一パッと

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「光のとこにいてね」と思える誰かを大切に生きていたい。 〜「光のとこにいてね」を読みました。〜

「光のとこにいてね」と思える誰かを大切に生きていたい。 〜「光のとこにいてね」を読みました。〜

一穂ミチさんの「光のとこにいてね」を読みました。

二人の女性が主人公で、幼少期・高校時代、そして大人になってから偶然の出会いを果たし、互いに支え合って生きていく物語。

まず、タイトルが綺麗ですね。
光のとこにいてね。相手を思いやってる感じが、いいですよね。

一期一会の出会いを大切にしたいなと思いました。
と同時に、別に全ての人に対して愛情を振り撒く必要もないのだと感じました。

自分が大切だ

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銃を拾わなかった方が幸せだったかもしれないけど、銃を拾ったからこその幸せも確かに存在するんだね。 〜「銃」を読みました。〜

銃を拾わなかった方が幸せだったかもしれないけど、銃を拾ったからこその幸せも確かに存在するんだね。 〜「銃」を読みました。〜

中村文則さんの「銃」を読みました。
ピース又吉さんの推薦図書。

主人公がひょんなことから拳銃を広い、それに伴う感情の変化を丁寧に淡々と描いていく本作品。

銃なんて拾ったことないけど、自分が仮に銃を拾ったなら、こんな感じになるのかもなぁ‥と何だかリアルに想像できました。

♦︎人間は何かしらの刺激を求めているものかもね。

銃を拾い、主人公はなんか人生が楽しくなってきます。

人間ってそうなのか

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今生きたいように生きるしかない。〜「汝、星のごとく」を読みました。〜

今生きたいように生きるしかない。〜「汝、星のごとく」を読みました。〜

凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読みました。

恋愛小説を通じて、人生について深く考えさせてくれました。

結局は、今の自分が生きたいように、生きていくしかないのだと思います。

主要人物の男性は、癌で若くして亡くなりました。
明日が来る保証なんてないのです。だから今を大切に生きなくてはならない。

逆もまた然りです。
明日なんて来ないで欲しいと祈るほど人生が辛くても、死ぬまでは生きていかなくて

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救いのない物語を読むことが私の救い 〜「私の消滅」を読みました〜

救いのない物語を読むことが私の救い 〜「私の消滅」を読みました〜

中村文則さんの「私の消滅」を読みました。
「私」って何だろうと、思いました。

物語の中で、電気ショックで記憶を消し、新たな記憶を刷り込ませることで人格を変えるという描写があります。

人間とは、そのくらい曖昧なものなのでしょう。
私の脳内に電気を流して、別の人格の記憶を刷り込ませてしまったのなら、私は消滅し、私はもう自分の人生を生きることはなくなる。

私を消滅させなければ生きていけない人もいる

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無意味な人生が辛いから、子供を育てて人生に意味を持たせたいのかもね。 〜「乳と卵」「夏物語」を読みました。〜

無意味な人生が辛いから、子供を育てて人生に意味を持たせたいのかもね。 〜「乳と卵」「夏物語」を読みました。〜

川上未映子さんの「乳と卵」「夏物語」を読んだ。

生きること、生まれること、生むことについて考えさせられた。

子供を生むか生まないか。
人生の大きな判断だ。

ずっと人生がしんどかった。
子供を生むことで、「人生の被害者」を増やしてどうするんだという気持ちは今もある。
こんなに苦しい世界に、自分の子供を産み落とすことなんて、できっこない。

ただ、子供がいない生活も、それはそれでしんどい。
世間

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人生に意味はないけど全てにきっと意味はある。〜「ヘヴン」を読みました。〜

人生に意味はないけど全てにきっと意味はある。〜「ヘヴン」を読みました。〜

川上未映子さんの「ヘヴン」を読みました。

いじめられている男の子。いじめられている女の子。いじめをする子たちと、遠巻きに見て笑う子たち。

とても哲学的な本だと思いました。
「全てのことには意味がある」と考えるのか、「全てのことに意味なんてない」と考えるのか。

いじめられている女の子は、全てに意味があると信じ込んでいます。
今こんなに苦しんでいるのには、きっと意味があるのだと。
そう信じて、苦

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