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人生に意味はないけど全てにきっと意味はある。〜「ヘヴン」を読みました。〜

川上未映子さんの「ヘヴン」を読みました。

いじめられている男の子。いじめられている女の子。いじめをする子たちと、遠巻きに見て笑う子たち。

とても哲学的な本だと思いました。
「全てのことには意味がある」と考えるのか、「全てのことに意味なんてない」と考えるのか。

いじめられている女の子は、全てに意味があると信じ込んでいます。
今こんなに苦しんでいるのには、きっと意味があるのだと。
そう信じて、苦しみから逃げることもせず、抵抗することもせず、いじめと向き合っていきます。

一方、いじめる側の子はこう考えます。
全てのことに意味なんてない。
君がいじめられていることになんて、意味はない。偶然が重なり合って、目の前の現実が起きているだけ。

全てのことには意味があり、全てのことに意味なんてない。

うまく使い分けながら、その時々で都合のいいように選んでいけばいいのかなと感じました。

たとえば理不尽な仕事のストレス。
「このストレスは自分を成長させてくれるんだ!意味があるんだ!」と自分に信じ込ませることで、乗り越えられる人もいるかもしれません。

一方で「全てのことに意味なんてない。だから気にすることはない。」と、諦めることでうまくスルーできる可能性もあります。

けど、バランスが難しいです。
全てに意味がある!と踏ん張っていても、いつか心がプツンと切れてしまいます。

「全てに意味なんてない」と思うことで救われることもあるけど、無気力が行きすぎて鬱のような状態になることもあります。

意味があり、意味はない。
人生とは結局、個人の解釈次第なのかもしれません。

私は今、人生に意味があると思えているでしょうか?
ちょうど半々くらいの感覚です。
意味があるような気もするし、ない気もする。
どうせ死んでゼロに還るんだから意味ないし、だからこそ意味のある生き方をして死んでいきたい気もしている。

うん。わからない。
でも、それでいいのかもしれません。

意味があると思える時は意味があると信じ込んで生きる。
意味がないと思えてしまう時は、意味なんてないと開き直って生きてしまっていい。

人生は意味があり、意味がない。
よくわからない。だからこそ人生は面白いと、前向きに解釈していこう。

幸いなことに私はイジメとは無縁の人生を送ってきました。
そんな私でも、全く人生で関与してこなかったテーマから人生を深く考察できる。
純文学の素晴らしい部分だなと感じました。

人生に悩んでいる人は、ぜひ本書を読んでみてください。
あなたにとって意味のある読書になるかもしれないし、人生に意味などないと思えて、少し肩の荷が降りるかもしれませんよ。

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