見出し画像

銃を拾わなかった方が幸せだったかもしれないけど、銃を拾ったからこその幸せも確かに存在するんだね。 〜「銃」を読みました。〜


中村文則さんの「銃」を読みました。
ピース又吉さんの推薦図書。

主人公がひょんなことから拳銃を広い、それに伴う感情の変化を丁寧に淡々と描いていく本作品。

銃なんて拾ったことないけど、自分が仮に銃を拾ったなら、こんな感じになるのかもなぁ‥と何だかリアルに想像できました。


♦︎人間は何かしらの刺激を求めているものかもね。

銃を拾い、主人公はなんか人生が楽しくなってきます。

人間ってそうなのかもしれません。

平穏な日々を求めながらも、どこかでやっぱり刺激を求めている。

今日とは全く別の世界が訪れることに、どこかワクワクしている。

銃を手にしたことで味わう高揚感や無敵感。
なんかわかるなぁ。



♦︎誰しもがけっこう紙一重のところで人生を踏みとどまっている。

後半、主人公は理性を抑えられず、銃を撃っちゃいます。
気づいたら撃ってしまってた、みたいな感覚。

私たちがこうして何事もなく人生を営んでいるのって、考えてみたら奇跡です。
理性の力、すごいなと思います。

でも一歩間違えたら、自分の人生が詰んだ状態になることなんて、簡単にあり得るのです。

親指一本で誰かにめちゃくちゃなLINEを送信することもできるし、コンビニで何気なくパンをパクってしまうこともできる。それこそ、銃の引き金を引くかどうかなんて、頼りない理性にだけ守られている、ほんと脆いものだと思います。

怖くもあり、有り難くもある。
無難にこうして生きられている奇跡を、改めて感じさせられました。

♦︎じゃあ銃なんて拾わなきゃよかった?でも銃を拾ったから得られた幸福もそこにはあった。

結論から言えば、バットエンドなのでしょう。

人を撃ち、人生が詰んでしまったのだから。

でも、主人公はどう思ったんだろう。
太く短くじゃないけど、何だかんだで銃を拾った人生で良かったとも、少し思えているんじゃないだろうか。

銃を持つことで確かに存在した、気分よく生きられた日々。
銃を持つことがなければ、決して味わえなかった感情。

確かに銃を持つことで人生は狂わされた。
でも、銃がなければ、存在しなかった素晴らしき日々もある。 

トレードオフだ。
何かを得ることは、何かを失うこと。
そして何を失い何を手に入れるかは、けっこう運命による部分が大きい。


♦︎銃を拾っちゃったのなら、「せっかくだから」銃のある人生を楽しんでみるしかない。これは「ご縁」だ。

まとめると、人生って運ゲーだよねってこと。

銃を拾う人もいれば、拾わずに平穏な人生を歩める人もいる。

どっちの人間になるかは、きっと私たちに選べない。既に決まってるものだと言えるかもしれない。

じゃあもう、開き直って楽しむしかない。
銃拾っちゃったし、気持ちはコントロールできないし。きっと人生詰むけど、この高揚感だけ墓場に持って行って終わろう。

全てはご縁です。
全てに意味はないんです。

きっとこれからの人生、数多のご縁に触れながら生きていきます。
こうして本書に出会えたことも、またご縁です。

こんなご縁、いらんわと、嘆く日々もあるでしょう。
でもご縁だと諦めて、感謝できるとこだけ感謝して、どうせ終わってく人生を楽しめたらいいなと思います。

銃を拾って人生が変わってしまった主人公のように、この読書で私の人生も何かしらの変化を受け取っています。

ご縁にまみれた人生、けっこう楽しいし、悪くないかもしれません。
あなたも銃を拾ってみませんか?見えない景色、与えられたご縁に、感謝できるかもしれませんよ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?