満月 ハナ(みつき はな)

死んだり生き返ったりしながら生活している、書店員兼デザイナー デザイン / 写真 / 西洋史

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マガジン

最近の記事

僕の先生の話

叔父さんのことが大好きだった。 叔父と姪という関係だったから、憧れの人という気持ちに収められていたが、彼がもし自分の学校や塾の先生だったら、きっと恋をしていたと思う。そして彼は、僕のそういう幼い恋心を、優しく窘めてくれていただろう。 彼は映画に連れていってくれたり、当時彼が住んでいた、僕の祖父母の家で深夜アニメを一緒に観たり、本がいっぱいに詰まった大きな本棚から、僕が気になると言った本をいくつかくれたりした。 歴史や哲学、その他のあらゆることについて、教えてくれ、まだ小中学

    • 生き苦しいよな。

      死にたすぎて日記なんかどうでもよくなってしまった。 冷静に考えて、どうして望んでないのに産み落とされた挙句、自分の力で生きていかなければいけないんだ? 生きたい人だけが生きてくれよ。 僕を巻き込まないでくれ。 金が無さすぎる。もう死にたい。 なんで望んでないのに金に苦心してもなお生きないといけないんだよ。 こんな社会不適合者、居たって税金の無駄なんだから死にたい。同じ境遇の他者に対して「税金の無駄」だなんて絶対思わないけど、自分は別だと思ってしまう。 でも死んだら死んだで

      • 10月6日〜10日の休職日記

        10月6日 ・いくらなんでも寒すぎるだろ!!!!!!!! 深夜が一番気温高いってどういうことだよ。 ・気圧も低いな。 頭が痛いし、時々耳が詰まる感じがする。 この耳が詰まる感覚、昔しょっちゅう中耳炎にかかっていた時のことを思い出すから苦手だ。 上手く音を拾えなくて自分の声もぼんやりする中で感じる、孤独感にも似たような、えも言われぬ不安感はいつまで経っても慣れない。 10月8日 ・大学の時の先輩にお誘いいただき、ミュージカル「キンキーブーツ」を観劇した。 S席で、しかも

        • 10月5日の休職日記

          ・今感じている口の渇きが、乾燥し始めた空気のせいなのか、飲んでる薬の副作用なのかがわからない。 ・昨夜23時頃に寝て夜中の2時に起きてしまい、その後はずっとソファでうとうとしていたのだが、意外と今日はそんなに調子が悪くない。 と思っていたらコンビニに行った時に動悸がし始めてさっさと退散することになってしまった。悲しい。 ・今回の動悸の原因について、なんとなくトリガーがわかったような気がする。 お金。 夕飯のおかずを選んでいる時、本当に食べたいと思ったものの値段は400

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        • monologue.
          19本
        • essays.
          8本
        • にきといふもの。
          4本
        • 短歌連作
          1本
        • 短編小説
          1本

        記事

          10月4日の休職日記

          ・昨日できなかったカウンセリングの予約というタスクを完了した。 ・今日はちょっとだけ調子がいい。生活ができている。 朝9時に起きてグラノーラを2杯食べ、食器を洗ってコンロの掃除もした。 彼氏がシャワーを浴びている間にあつ森のデイリータスク(と僕が勝手に呼んでいる作業。化石の発掘、光る地面にベルを埋める、メッセージボトルの入手、たぬきち商店を見に行く、オンラインショップの巡回、マルチメディア端末へのアクセス など)をこなす。 その後自分もシャワーを浴びて身支度をする。 午前中

          10月3日の休職日記

          ・持ち前の鬱が酷くなってしまい、休職することにした。 休職期間は毎日日記をつけようと思っていたのに、既に2日も飛ばしている。 そういうとこ〜〜〜。 ・今日はカウンセリングの予約をしようと思って病院に行ったが、既に受付が終了していて僕のメンタルも無事に終了した。 症状が重くて思うように動かない体を引きずって家を出たのに、往復600円余のいらん出費をしただけで目的は達成できず、普通に道端で泣く23歳。 惨めすぎる。 帰り道、3分に1回は死にたいと心の中で唱えた。 ・なんか今日

          うつらうつら

          最近の鬱の話 ・とんぼが風に煽られながらもなんとかホバリングしているのを見た。こんなふうに生きられたらどんなに良かっただろう。僕は彼よりこんなに大きいのに、そよ風に飛ばされている。 ・台風の後の晴天は殺人的で、みんながみんな喜ぶものでもないのだということを、鬱になってから理解した。 ・ここ数日、心身共に不調が続いている。 不安の発作が毎日あって、仕事もままならない。 お盆休みで実家に来てみたが動悸が止まらず、抗不安薬を飲んで効くのを泣きながら待っていた。実家なのに常に自

          終わる、春が続く。

          大学生活最後の授業が終わった。もう期末レポートも出してしまった。 終わっていく。人生が動いた4年間が収束していく。 それでも、冬が終わっても春が来るように、まだその先がある。人生はまだたったの20年とちょっとしか進んでいない。僕はこの後も生活を続けなくてはいけない。 続きのある、通過点でしかない終わりは寂しい。終わった後もその終わりのことを「ああ良かったなあ」と思い出してしまうかもしれないから。 死を考えるよりも寂しい。死は本当の終わりだから、終わった後にその先について考える

          終わる、春が続く。

          恋、歩幅、スピード

          見てほしい作品がある。 僕の尊敬する咲森一紀さんによる短歌。 この作品があまりにも好きすぎて、そして思うところがありすぎて、今日はその「思うところ」について書いてみたい。 恋人と別れた後、すぐに別の人を好きになってしまうことにものすごく負い目を感じる。自分が誰にでも好きと言えてしまう軽薄な人間に見えるから。でも嘘をついて好きと言ったことなんか、軽い気持ちで誰かと付き合ったことなんか一度も無い。ただ僕は、常に本気でしか人を好きになれないし、好きな人に好きと言わないことができ

          恋、歩幅、スピード

          金は愛なり。

          ・最近、親や実家への恨みつらみを書き散らしている。親の言葉で傷つくたびに、窓ガラスを叩き割るように、瓶を地面に叩きつけるように、その破片で頬が切れても、書かずにはいられない。 ・中学生か高校生の時に虐待についての本を読んでいて、そこで自分の親の"躾"が虐待の一つとも考えられることを知った。 ・暴言やお金を条件に出して言うことを聞かせる一種の脅迫など、うちではよくあることだった。 「口答えするな」「怒らせるな」「困らせるな」「どうして怒ってるかわからないの?」「言うこと聞か

          お前らが馬鹿にするから、僕の顔と体はコンプレックスだらけだ。

          ・「お前ら」とは両親のことである。 ・この間母親と電話していた時に言われた何気ない一言がずっと刺さっていて、まだ抜けてない。 母「彼氏は〇〇(僕の名前)のほんとの顔見たことあんの?」 僕「あるよ、泊まってるんだから」 母「彼氏びっくりしてなかったー?(笑)」 ・要は僕の元の顔が良くないってことだ。メイクをするようになってからずっと言われている。冗談のつもりなんだろうが、実の親にそんなことを言われ続けたら普通に悲しいし、傷つく。 それを嫌と言えずに戯けてかわそうとする僕も

          お前らが馬鹿にするから、僕の顔と体はコンプレックスだらけだ。

          今日って13日の金曜日じゃん!って思ったら14日だった

          ・今日も目が覚めた。隣に恋人がいる。布団の中でぐだぐだして、二人で頑張って起き上がり、朝の準備を始める。本当に平日か?最高の金曜日! 二人が好きな音楽を流しながら一緒に朝ごはんを食べ、それが終わったらそれぞれやること(彼は仕事、僕はこの文章を書く)をやる。この生き急いでない感じ、めっちゃ好きだ。僕はゆっくり生きていたい。 こんな朝が続けばいいなと思った。 ・大学一年の頃、朝が嫌いだった。夜も嫌いだったけど。 朝が来ると苦しい一日が始まってしまう。朝なんて来なければいい。一日

          今日って13日の金曜日じゃん!って思ったら14日だった

          流動体としての僕

          ・僕の自我は、基本的に流動的だ。 性別も、心も、感性も、一つの形に定まらない。場所や環境によって色を変え、形を変え、そこに適応していく。 意に反して周りに流されているわけではないし、自分の中の芯が無いわけでもない。信条はちゃんとあるし、どうしても対応できない形だってある。飽くまで同じ軸を中心に、僕の外側に表出するものが色や形を変えているだけだ。 ・就活は途中で挫折してしまったが、もし面接まで進んで自分をアピールしろと言われたら、強調すべきはこの柔軟性だなと今では思う。 ・

          白いこと、変化すること(日記だったもの)

          ・先日雪が降った。寒すぎた。気圧のせいでしっかり偏頭痛になっていたが、雨じゃなかっただけマシなのかもしれない。 ・雪の日の中央線、なんかとても良かった。年に一回くらいこの気持ちを体験したい。年に一回でいいです。 ・寒いと寂しいから一緒にいたいと彼氏に言ったら頷いてくれたので、ここ数日ずっと一緒にいる。文章を書く以外の生産的な活動を僕はしておらず、申し訳なさすぎて夕飯を作ってみたりした。なぜか毎回味がちょっと足りなくて、課題がたくさん見つかる。自分が担当した穴だらけのデザイ

          白いこと、変化すること(日記だったもの)

          日記になるはずだった、実家が帰る場所じゃなくなってる話

          ・今めちゃくちゃスウェーデンに行きたい。ゴットランド島というところがとても綺麗らしい。 ・年末年始に実家に居る間、ずっとヨルシカを聴いていた。『エルマ』とか『だから僕は音楽を辞めた』のアルバムを聴いていると、動揺して波立っていた心が凪いでいく。 浅い呼吸も動悸も胃のあたりの気持ち悪さも、ちょっとだけ軽くなる。 音楽って不思議だ。 ・帰省、しんどかった。 よく「実家のような安心感」という表現を耳にするしよく使うけれど、僕は実家の安心感なんて知らない。だから「実家のような安心

          日記になるはずだった、実家が帰る場所じゃなくなってる話

          正月とレイリー散乱(2022年1月1日の日記)

          ・あけましておめでとうございます。 ・去年は静岡にある実家の2階から見た初日の出を、今年はちゃんと写真に収めたいと思い、家族に地元の海まで連れて行ってもらった。 海は車で10分もかからないところにある。 なんなら実家の2階からでも見えるが、やっぱりライブと初日の出は最前で見たい。ライブはまだ最前で見たことはないが。 ・当たり前だけど、海は寒かった。本当にここは静岡なのかと疑うほど寒かった。 でもこの寒さが自分の存在を確かにしている、とも思う。「寒いと感じている自分がいる」

          正月とレイリー散乱(2022年1月1日の日記)