508,509,510,511,512日目 経営ビジョンと商品開発ビジョンができてしまう組織的な要因
株主や従業員に示す会社のビジョンは1つであるべきです。
しかし、名の知れた大企業のビジョンを見てみると、経営ビジョンと商品開発ビジョンの2つが存在しいる場合があります。
内容は似たような事を書いている会社も有れば、ちょっとブレている会社もあります。
1つで良いはずのビジョンが複数存在してしまっているのか?
社内統制、つまりは組織に問題がある事を示しています。
1つにまとめる事ができない事情があるはずです。
ベンチャー企業や中小企業では、社長が目の届く範囲で事業を行なっていますが、組織が大きい大企業では社長が経営に専念せざるを得なくなり、商品開発や技術開発まで目が届かなくなります。
そのため、CEOの他に、COO、CTO、CFO、CDOなどの経営責任者を配置していたりします。
責任者を置く事自体は悪くないのですが、各責任者を取りまとめて、1つにすることがCEOに求められます。
しかし、CEOのリーダーシップが弱くて、CTOやCDOに丸投げしていると、ビジョンを1つにすることをサボってしまい、複数のビジョンが発生してしまいます。
CTOやCDOに対して
「経営ビジョンがあるので、商品開発ビジョンはいらない。」とはっきりと言えない状態です。
「CEO、CTO、CDOが似たような違う事を言っている」という状態では、色々なトップが色々な事を言っているにので、会社のビジョンがよくわからない状態になります。
こう言った会社は、従業員満足度や従業員のエンゲージメントを測ってみると、業界の水準を下回るはずです。
各責任者を定めて、責任の所在を明確にする事は良いことでが、従業員や株主はトップの示す方針に従います。
CEO以外がビジョンを示すことで、ビジョンがブレて、株主や従業員の拠り所もブレてしまいます。
従業員満足度や従業員のエンゲージメントが低い会社は、ビジョンは経営ビジョンに一本化して、商品開発ビジョンはビジョンを廃止し、コンセプトやロードマップと言った経営ビジョンを具体化したものである事を明確にする必要があります。
従業員との対話やタウンミーティングでエンゲージメントを高めようと小手先の対応をしても、効果はありません。
やるべきことは、ビジョンの1本化です。
出しゃばる責任者を黙らせたり、各責任者が頑張って作ったものを傘下するということで、結果としてエンゲージメントが改善されるはずです。