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自著の超短編小説(ショート・ショート)をまとめました。
ユーモアあり、ブラックあり、ほのぼのあり、ホラーらしきものあり、童話らしきものあり、皮肉めいたものあり、オチのあるものあり…
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なんでそんなことするの?《超短編小説》
自分の居場所が見つけたくて、僕は町を歩いていた。
昨日、彼女と別れた。彼女も僕の居場所じゃなかったから。彼女に「自分の居場所を探すから、別れよう」と言ったら
「なんでそんなことするの?」
彼女は聞いたが、僕は何も言わずに彼女に背を向けた。
向かいから歩いてきた、携帯電話を見ている若い男と、肩がぶつかった。
「何してるんだよ」と言われ、「ごめんなさい」と謝った。
「なんでそんなことするの?」
僕
白昼夢コスチューム《超短編小説》
電車に乗っていて、ふと気がつくと、まわりの乗客が老若男女、みんなアニメや映画の主人公や悪役の格好をしていた。
僕だけが普通の格好で恥ずかしくなり、寝た振りをした。
ちょっと記憶が薄れて、再び目を開くと、さっきまでコスプレしていた人たちが普通の格好に戻っていた。
どうやら夢を見ていたらしいお昼過ぎの出来事でした。
誰もいない町の片隅で(超短編小説)
誰もいない町の片隅に木製のテレフォンボックスがある。
そのテレフォンボックスには1時間毎に電話がかかってくる。24時間、365日、休むことなく、1時間毎に電話がかかってくる。
電話のベルの音は5回と決まっている。誰が決めたのかはわからない。とにかく5回ベルが鳴ると電話は切れる。
今日もまた電話のベルが鳴っている。誰がかけてきた電話かわからない。
そもそもその電話を受ける人はこの町にはいない。