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無縁塚(旅のエッセイ)

江戸時代に震災や大火、洪水、飢饉、疫病などで亡くなった身元不明者が埋葬された。川崎市と地元の方々が亡くなった人たちの供養のために塔を建て、無縁塚と名づけた。

誰も自分を知らない場所で死ななければならなかった無念、そして、その家族たちの苦悩はどれほどのものだったろう。

八丁畷駅前、旧東海道沿いにある無縁塚には花が絶えない。この日も新しい花が供えられていた。

今では東京から京都まで新幹線で簡単に行ける。しかし、昔の旅人は命を賭けて東海道を歩いたのだろう。目を瞑り、合掌する。無念は消えたのか、町は静かな時を刻む。

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