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#小説

「みんなのフォトギャラリー」ご使用感謝!

「みんなのフォトギャラリー」で共有した画像を見出し画像に使用してくださる方が少しづつ増えてきました。 そこで使用された記事をまとめた新しいマガジンを作りました。 使用される画像はCanvaで素材とハングル文字を組ませて作った見出し画像が多いですね。最近ではMidjourneyで自動生成したイラストも上げているので、そちらも使われるようになりました。 AIイラストは1枚絵の他、4枚のグリッド絵もアップしています。 こんな感じですね。 これはそのままのサイズで使うとだい

ジョージ・ソーンダーズさんの多才さがわかる「十二月の十日」

<文学(186歩目)> 「短くて恐ろしいフィルの時代」が面白いと思って、手に取ったら、いろいろな作風を自在に描く多才さを知りました。 十二月の十日 ジョージ・ソーンダーズ (著), 岸本佐知子 (翻訳) 河出書房新社 「186歩目」は、「短くて恐ろしいフィルの時代」のジョージ・ソーンダーズさんが非常に多才なことを知った短篇集です。 ユーモアのセンスが素晴らしい。そして、なんか自分自身を彷彿させるダメ人間のオンパレード。とても面白い。 「スパイダーヘッドからの逃走」 近

お礼状と鶏の煮込み [ショートショート]

台所から漂う鶏の煮込みの香りが、私の部屋まで届く。母が作る定番の肉じゃがの匂いだ。 パソコンの画面には、まだ未送信のメールが開かれたままになっている。文学賞への応募作品が選考から漏れた旨を伝える通知が、今朝届いていた。お礼の返信を書こうとして、もう二時間が経っている。 「夕ご飯ができたわよ」 母の声が階段を登ってくる。私は「はーい」と答える。メールの下書きには、たった一行「ご検討ありがとうございました。」としか書かれていない。 机の上には、三ヶ月かけて書き上げた原稿の

【連載小説】『独り日和 ―春夏秋冬―』その26

「雑貨店」 「どうせなら小さなカフェを併設したら、 もっと人来るんじゃないの? 」 「だったら僕が耕太君の所で修行して、 ここにカフェを作ればいいんだ」 耕太の話に陽斗が笑顔を向けた。 「あれ? 陽斗君はデザイナーになるんじゃなかったの? 」 陽斗は現在、 自分がデザインしたウェアを販売している。 椿のショップでブランド展開しているので、 将来はデザイナーになると言っていたはずだ。 花華がビックリして聞いた。 「それも一つなんだけどさ。 最近、耕太君のお店で珈

最高級のランドセル−たった1分で読める1分小説−

「今のランドセルは凄いな」  ランドセル売り場で、隆信がキョロキョロする。今日は来年小学生になる娘のために、家族でランドセルを買いにきた。 「こんなに何色もあるのか。俺の子供の時なんて、男の子は黒で、女の子は赤ぐらいしかなかったぞ」  妻がクスリと笑う。 「いつの話してるのよ」  子供がランドセルを持ってきた。 「ねえ、これが欲しい」 「えっ、こんなに高いの。さすがにこれは無理よ。安いのにしなさい」  妻が目を丸くする。最高級のランドセルだ。 「いいよ。これにしよう」

【連載小説】『独り日和 ―春夏秋冬―』その24

「クラフトマルシェ」 それは一ヶ月前―――――――― 「花華さん~ 彼女と喧嘩した。 どうしたら機嫌直すと思う? 」 「なんで私に聞くの?  同級生に聞きなさいよ。 若い子の気持ちなんて分からないわよ」 花華と椿、陽斗が冬の家に来ることが増え、 自然と耕太とも親しくなり、 よく皆でお茶をしていた。 この日は花華が冬に小物作りを教わりに来ていた。 「花華さんはプロデューサー業してたんでしょ。 流行りとか詳しいでしょう」 「耕太君が言うのはジュエリーでしょう。 私そ

BFC6 二次通過作品『とり、かえす』

 むやみやたらに歩き続けていた。息があらくなって勢いがなくなってきた足の運びにいらついて、近くに転がっていたペットボトルを思いっきり蹴り飛ばした。ふいに、見てはいけないものを見たような気がした。くすんだ銀色の和式便器が雨ざらしになっていた。  公園の片すみにあったはずのトイレの建物はあとかたもなく、ただくすんだ銀色の和式便器だけが、あったままの状態で放置されているのだった。見回せば、入り口付近の足元を固めていた石のタイルは中途半端に引っぺがされ、S字型コンクリートに区切られ

読み進める三体2

三体2(上)を読み始めて、200ページまではゆっくりとしたペースで読み進めていましたが、そこを超えると面白さが増してきました。 その辺で面壁者に対し、三体人が破壁者をあてがいますが、まるで少年漫画のようなノリで、面白くなってきたなと。 面壁者は4人。 読んでいて面白いのは、やはり主人公格のルオ・ジー(羅輯)でした。 彼は思想家のような感じで、最初は対三体人へのやる気がゼロ。面壁者権限を使って羨ましいぐらいの悠々自適な生活をしているものの、読んでいる自分としては、ルオ・ジーは

【連載小説】『独り日和 ―春夏秋冬―』その21

「喫茶店の男性」 「あのお客さんはよく来るの?  私も向こうに越してから、 ここにはあまり来ないから分からないけど、 初めて見た? 」 冬がちらりと男性を見た。 スーツの着こなしがお洒落だが、 サラリーマンという感じには見えない。 キリっとした顔つきの紳士だ。 「最近、週に一、二回? 珈琲を飲んで、 一時間位休んで帰っていくの。 あの窓際の席がお気に入りみたいで、 外を見てるわよ」 美幸がカプチーノを入れながら話した。 「そう」 冬は外の様子が気になるような表

SFテイストの短篇集「台湾文学コレクション1 近未来短篇集」

<文学(181歩目)> このシリーズはかなりイケます。「バーチャルアイドル二階堂雅紀詐欺事件」伊格言(エゴヤン)がとても面白い切り口です。 台湾文学コレクション1 近未来短篇集 賀 景濱 (著), 湖 南蟲 (著), 黃 麗群 (著), 姜 天陸 (著), 林 新惠 (著) 早川書房 「181歩目」は、通勤時に読むのに最適な短篇集。好きな作家の作品に魅かれたのですが、また新たな出会いもありました。 「去年アルバーで」賀景濱(ホー ジンビン) アメリカのVR系のSF作品、

【連載小説】『独り日和 ―春夏秋冬―』その17

「三人揃って」 その日から三人で冬の家に集まって、 マルシェに向けて話し合うことが多くなり、 花華と椿も自然と仲良くなった。 陽斗も春と小春と遊んでいて疲れたのか、 一緒に寝ている。 冬は毛布を掛けると、 珈琲を淹れてテーブルに運んだ。 「珈琲どうぞ」 「すいません」 二人はお礼を言いながら、 カップを手に話しを続けた。 「私は小物だから家庭用ミシンで十分なんだけど、 椿さんは業務用でしょう」 「ええ。あまりうるさくないように、 昼間に奥の部屋で作ってるんです

【連載小説】『独り日和 ―春夏秋冬―』その11

「冬の育った家」 家の斜め向かいに松子、 冬の幼馴染で耕太の祖母の喫茶店がある。 冬が務めていた会社が倒産した時も、 アルバイトで雇ってもらっていた。 松子は学生結婚したが、すぐに離婚。 実家に戻って喫茶店を手伝いながら、 一人娘の美幸を育ててきた。 そんな美幸も結婚後、夫の浮気であっという間に離婚。 耕太を連れて出戻ってきた。 「うちの家系は本当に男を見る目がないのね。 私もそうだし、 ママもパパの浮気で離婚してるじゃない」 松子が美幸が離婚した時に、 そん

やはり読書(個人的には小説)はいいな!

こんにちは、さもです。今日は1日休みです。 昨日職場つながりのお友達と会って、バイバイしたあとまっすぐ帰る気になれなくて。そういえば職場で借りたティーンエイジャー向けの本を手元に持ってたなと思い出し、カフェに18時頃入ってコーヒーおかわりしながら読み進めること1時間。もともと半分までは読んでいたこともあって、続きを一気に最後まで読み切ることができました。ゆったりした休日の過ごし方ができたかな、という不思議な達成感とともに。 「透明になれなかった僕たちのために」(佐野徹夜さん

「休職日記:1日目」

 仕事に行かなくてよくなった朝、起きなくてもいいのに、すっかり日常過ぎて忘れていた携帯のアラームによって起こされてしまった。  シューマンの幻想小曲集第1曲、ハ短調。初めて聴いたときは素敵な曲だと思ったが、今や、朝起こされ過ぎて、純粋な気持ちでは聴けなくなってしまった。  当然起きる気なんて無いので、二度寝を決め込んだが、ちゃっかりアラームの設定を外すことも忘れない。  次に目が覚めたとき、世間は既に昼過ぎだった。  それでも起きる気が起きなくて、そのままごろごろしつつ、日