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ジョージ・ソーンダーズさんの多才さがわかる「十二月の十日」

<文学(186歩目)>
「短くて恐ろしいフィルの時代」が面白いと思って、手に取ったら、いろいろな作風を自在に描く多才さを知りました。

十二月の十日
ジョージ・ソーンダーズ (著), 岸本佐知子 (翻訳)
河出書房新社

「186歩目」は、「短くて恐ろしいフィルの時代」のジョージ・ソーンダーズさんが非常に多才なことを知った短篇集です。

ユーモアのセンスが素晴らしい。そして、なんか自分自身を彷彿させるダメ人間のオンパレード。とても面白い。

「スパイダーヘッドからの逃走」
近未来SFです。そして、突き付けてくる状況に人間の尊厳を考えさせる。
「短くて恐ろしいフィルの時代」と違う作風を一番感じました。
ちょっとぞわぞわする怖さあり。

「センプリカ・ガール日記」
戦争で心を痛めて帰還したマイク。安心できるはずの母国にもまたストレスある環境が。
強烈な衝撃の結末。ちょっと驚いた。

「十二月の十日」
娘の誕生日にプレゼントも買えない貧困。それがお金をつかむとどの様な行動になるのか。色々な意味で貧困というものを痛感させる作品。

どの作品も、ちょっと「短くて恐ろしいフィルの時代」とは違ったひねりあり。そして、シニカルだけどユーモアありの見事な短篇集でした。

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