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20年後のゴーストワールド
はじめに
2023年11月映画『ゴーストワールド』のリバイバル上映を観た。2001年公開の映画。あれから20年強経つ。私は歳取ってもフラフラして、毒吐いて、身勝手に傷ついて…今も消えたい気持ちで主人公イーニドとまるで変わらないままだった。
「イーニド、怖いこと教えてあげる。耳塞がないで聞いて!このまま20年くらい経ってもずっと変わらないで、うだつのあがらない人生を送ってる私みたいなのもいるんだよ
12/1(日)文学フリマ東京39参加します。書影発表!
12/1(日)文学フリマ東京39
東京ビッグサイト
西3•4ホール
12:00〜17:00
出店名 冬野梅子
場所 つ-42
漫画家の冬野梅子さんのブースにて、わたくし連雀ミオ、文フリに参加させていただきます。出店は初参加です!
こちらのnoteに今年4月〜8月に毎週投稿した、エッセイ的小説『20年後のゴーストワールド』を本にして、販売いたします。今回本にするにあたり大幅に加筆修正し、こちら
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(2)私を構成する42枚
2023年の5月末、インスタグラムのストーリーズにまさかの人物の足跡が残っていた。その人の名前は昔から見慣れた字面だけど、近年はたまにライブ会場で見かけることはあっても挨拶するほどの間柄ではないし、もともと深い関わりはない。なぜこの人が私のインスタを見ているのか……私はライブを観た感想をSNSに書くのが趣味なので、そこから検索でたどり着いたのか。
あれこれ考えていると、インスタのDMにその人から
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(4)年齢は記号
おじさんとの焼き鳥はまだ敢行されていない。
おじさんは猛暑の真っ只中、コロナに感染していた。39℃を記録した体温計がおじさんのインスタに投稿されていた。
「大丈夫ですか?いや、大丈夫じゃないですよね、お大事になさってください」
「君だけだよ、そう言ってくれるの(笑)みんなただ大丈夫かきいてくるの、大丈夫なわけないのに、君はさすが好感がもてる(笑)」
おじさんに好感を持たれても、すでに嬉しくな
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(6)個室でボディーシート
今回第6話を迎えます。読んでくださってありがとうございます。自虐も他虐もキツいですよね……すみません。しかし、この第1章は「私のシーモア」ですから。映画『ゴーストワールド』においてイーニドがシーモアの絵を丹念に描き続けたように、おじさんを描写していきます。またしばらくお付き合いください。
勘の良いあなたなら気づいているはず……こんなけっこうな文章量で第5話まで展開しておきながら、なかなか話が文学
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(7)歌の中の人
「で、何で、村井くんのライブに来なくなっちゃったの?」
「……」
無言の時が流れた。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、熱心に通っていたライブに行かなくなるのは、宗教の信仰をやめるのに近いものがある。私はガチ恋も伴っていたので余計に。心の拠り所であるライブに何故行かなくなったか、本心は信じられなくなったから。好きだったけど、好きでいられなくなったから……。
おじさんになんて言えば良いのだろう。他
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(8)頭ポンポン地獄
おじさんとまだ吉祥寺の個室の居酒屋に居る。
金麦をもう何杯飲んだことだろう。
店員さんに「金麦お願いします」と言う度に切なさが込み上げる。発泡酒しか飲めないなら別の酒にすればいいとも思うが酒はビールしか好きじゃないし、アルコール5%ほどのビールならいくら飲んでもやらかすことはないし、記憶も飛ばないし保身のためでもある。おじさんのペースに合わせて飲んだ。飲み放題とはいえおじさんもけっこう飲む。
「
『20年後のゴーストワールド』第1章•私のシーモア(9)逆ボキャブラ天国
「重鎮と飲みはどうでしたか?色々驚いたし、今さら俺と村井くんとの関係は変わらないだろうけど、君さえ良ければまた飲みましょう(笑)」
帰宅後おじさんからLINEがきた。
結局帰ったのは朝方3時くらいだろうか。
まさかの8時間以上もおじさんと話続けていたことになる。
「驚かせてしまいましたが、重鎮のおかげで色々お話できて良かったです」
「重鎮」呼びは年齢的にもキャリア的にも別に全く不釣り合いでな
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(10)なんとなく、アンチ
「明日、中村くん(仮名)がサポートで出るライブがあるんですが、良かったら行きませんか(笑)」
10月のある日おじさんからLINEが来た。
翌日はたまたま何もない休日だった。
中村くんと言うのは浅井のバンドのメンバーのギタリストだ。中村と言ってもチン中村ではない。
中村はもともととても飛び抜けてギターの上手い人で、母体である浅井のバンドの活動とは別に、売れっ子メジャーミュージシャンのサポートギタ
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(11)因果応報
2023年11月23日。
仕事帰りのこと、もう23時は過ぎていた。
吉祥寺駅でライブハウスでたまに会う女の子を見かけた。まだ20代半ばの若く美しい子だ。たしかこの辺に住んでいる子ではなかったはず、何か今日ライブあったっけ?と一瞬、思いをめぐらせた。SNSの相互フォローもしていたし、いつも会って話して感じの良い子なので当たり前のように声をかけようをしたが、心の中で待て、の号令が鳴った。直感的にとても
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(12)擬似でもリア充
「病んでますねぇ(笑)今度会ったら、ダイナソーの顔をした君を抱きしめますよ(笑)」
と11月の終わりにおじさんからまた唐突にLINEがきた。深夜で、たぶん誰かと飲んだ帰りに連絡してきたような、浮かれた感じが察せられた。
「……(はっ?ダイナソー?)」
失恋の翌日、映画『ゴーストワールド』を観た(前回の第11話参照)
レベッカと会えたことで一命はとりとめたが、渋谷のドトールの帰り道から、その後