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北欧で手工芸と暮らす

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スウェーデンで手工芸に触れながら暮らす。 ある時は村の記憶。ある時は手工芸の話。 幸せってなんだろう。 正解はひとつじゃない。 間違ってもいいじゃない。 多分大丈夫。 …
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#手工芸

村にはさ、昔

村にはさ、昔

村にはさ、昔ねぇ。

近所のお婆さんが思い出したように語りだした。

もう今はいないけど、グンナンは鋳金やさんで、今の織物部屋の向かいの小屋が工房だったの。 それに 今あなたが住んでる家、小さな別小屋があるでしょ。あそこは額縁工房だったのよ。そうそう 今は別の人が住宅として使ってる建物、あれは駅舎。もう通ってないけどね。

そんなに昔の話ではない。

つい 20年ほど前は 小さなコミュニティの中で

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白樺樹皮

白樺樹皮

白樺の樹皮を剥いでゆっくり日陰で乾燥させた後 白樺のテープを作る。この作業が作品完成100とすると80%を占めると私はよく話している。

樹皮にはコブや キズがあるので、そこを避けながらテープを作るので 長くて綺麗なテープを確保するのは結構難しい。

大きな作品を作るときには テープの長さが足りないので補充しながら製作を進めていく。

ポシェットの製作過程を載せてみると

こんな感じ。

互い違い

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誰かが私を思い出してくれる

誰かが私を思い出してくれる

製作をしていると "自分の意味" "幸せ""生きる"・・・

色々な疑問が沸いてくる。  手を動かしていると頭の中は割とリラックスして別の事を考えられるからだ。

今日はインスタグラムでこんなタグをしてくれた方がいた。

コメントを訳すと

白樺(ネーベル)工芸品がこんなに増えるなんて思わなかった。数年前まで私は白樺工芸品なんてダサいと思っていた。でも間違ってた。@minfavorit_ykr 

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歴史ある場所に

歴史ある場所に

今はコロナで閉まっている時間の方が多いけれど SKANSEN スカンセン と呼ばれる野外博物館がストックホルムにある。スウェーデンが時代と共に生活様式や景観が変わっていくなか、工業化以前のスウェーデンの様々な地方の暮らしを見せるために、"アルトゥール・ハゼリウスが1891年10月11日に開業した "という歴史ある観光名所だ。

その歴史ある場所にある博物館ショップにはスウェーデン全国から集められた

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伝統工芸なのか?

伝統工芸なのか?

白樺樹皮工芸は古くから北欧諸国で親しまれている。しかしそれを生産する職人の数は高齢化と共に減りつつある。

私は白樺工芸作品をスウェーデンの数ヶ所のショップで取り扱いをしていただいていたり、年に数回だが、手工芸マーケットに出展している。その時によく受ける質問がある。

"職人の跡をついだのか?"'

"伝統工芸をひろめたいのか?"

私は伝統を継いでいるという意識はない。たまたま魅了されたものが北

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木の皮は道具

木の皮は道具

手工芸作家として主に白樺の樹皮を使った作品を製作している。

白樺は古くから北欧をはじめ 北国の生活の中で様々な材料として使われてきた。

特に樹皮は柔らかく加工がしやすい。また防腐剤のような役割もしてくれるため 食料保存の容器として使われていたし、屋根の材料や船の材料としても使われてきた。

私の住むスウェーデン中部には 白樺林が多く、冬になると薪ストーブのセントラルヒーティングをいまだに使って

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スウェーデンの民族衣装が欲しい

スウェーデンの民族衣装が欲しい

ある時に

民族衣装が欲しい

そんな一言を呟いたら、織物部屋のお婆さんが

なら自分で作ったら良いじゃない

と物凄く良いこと思い付いたわ!と弾むような声で言うので思わず。

そうするわ。

と答えてしまった。

簡単に作れば?と言うけれども

お婆さんの言う"作れば?"は先ず布を織るところからだったなんて。。

今思えば無謀。

何百もの縦糸を数え 織機の綜絖に通していく。

これだけで数日か

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イニシャルの意味

イニシャルの意味

民族衣装が欲しい

と発言した為に、自分で作ることになったのだが
詳しくはこちらに

民族衣装のシャツに刺繍するイニシャルの意味を初めて知った。

イニシャルなんだから 名前と姓の頭文字だろうと思っていたのだが

Y H D
2020

Y 私の名前の頭文字 Yukari
H 父の名前の頭文字 H
D Dotter (Daughter 娘) D
製作年 2020

なのだそう

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Vävstuga  (ヴェーブストゥーガ)

Vävstuga (ヴェーブストゥーガ)

スウェーデン語でVävstuga (ヴェーブストゥーガ) と読む。
vävは織る stugaは小屋。つまり織物小屋の話。

私の住む村にはまだvävstugaが存在する。
昔はどの共同体にも必ずあったそうで、村に必要なテキスタイルを村のみんなで織っていたそうだ。

最近では手織りをする人が減り vävstuga は縮小され
現在私の村のvävstugaは70-86歳のお婆さん9人で運営されてい

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