Yukari ota

北欧の暮らし メモ書きがわりに 想いを綴る 工芸作家⇔会社員

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北欧の暮らし メモ書きがわりに 想いを綴る 工芸作家⇔会社員

マガジン

  • 北欧で手工芸と暮らす

    スウェーデンで手工芸に触れながら暮らす。 ある時は村の記憶。ある時は手工芸の話。 幸せってなんだろう。 正解はひとつじゃない。 間違ってもいいじゃない。 多分大丈夫。 きっと 笑い話になって 未来の私が笑ってる。

最近の記事

別れは急に

突然の事で驚いている。 日曜日まで一緒にランニングしていた12歳 太郎(犬)が 倒れたのだ。 直ぐに病院へ連れて行くも、田舎獣医ができること ・血液検査 ・痛み止(モルヒネ) ・神経薬 もし精密検査がしたいなら 隣の県(2時間)へ明日以降に行きなさい。 そう言われて 返されたのが 金曜日。 本人(犬)は立ち上がろうとすると どこかが痛むのか 物凄く叫ぶ。 土曜日は神経薬が効いているのか、歩き回る。時より同じように叫びしゃがみこむ。 奇跡が起きないものか。 何度

    • 村にはさ、昔

      村にはさ、昔ねぇ。 近所のお婆さんが思い出したように語りだした。 もう今はいないけど、グンナンは鋳金やさんで、今の織物部屋の向かいの小屋が工房だったの。 それに 今あなたが住んでる家、小さな別小屋があるでしょ。あそこは額縁工房だったのよ。そうそう 今は別の人が住宅として使ってる建物、あれは駅舎。もう通ってないけどね。 そんなに昔の話ではない。 つい 20年ほど前は 小さなコミュニティの中で必要な物は揃ったし、それに秀でた人も各地域にいた。  いつの間にか 彼らは歳を取

      • スウェーデンも春かも

        • 白樺樹皮

          白樺の樹皮を剥いでゆっくり日陰で乾燥させた後 白樺のテープを作る。この作業が作品完成100とすると80%を占めると私はよく話している。 樹皮にはコブや キズがあるので、そこを避けながらテープを作るので 長くて綺麗なテープを確保するのは結構難しい。 大きな作品を作るときには テープの長さが足りないので補充しながら製作を進めていく。 ポシェットの製作過程を載せてみると こんな感じ。 互い違いに編み重ねたテープを立体に起こしていく。 袋の部分の形が見えてきた。 バッグ

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        • 北欧で手工芸と暮らす
          15本

        記事

          誰かが私を思い出してくれる

          製作をしていると "自分の意味" "幸せ""生きる"・・・ 色々な疑問が沸いてくる。  手を動かしていると頭の中は割とリラックスして別の事を考えられるからだ。 今日はインスタグラムでこんなタグをしてくれた方がいた。 コメントを訳すと 白樺(ネーベル)工芸品がこんなに増えるなんて思わなかった。数年前まで私は白樺工芸品なんてダサいと思っていた。でも間違ってた。@minfavorit_ykr  ←(わたし)のお陰で白樺の耐久性のある美しい素材をわかるようになった。 と

          誰かが私を思い出してくれる

          歴史ある場所に

          今はコロナで閉まっている時間の方が多いけれど SKANSEN スカンセン と呼ばれる野外博物館がストックホルムにある。スウェーデンが時代と共に生活様式や景観が変わっていくなか、工業化以前のスウェーデンの様々な地方の暮らしを見せるために、"アルトゥール・ハゼリウスが1891年10月11日に開業した "という歴史ある観光名所だ。 その歴史ある場所にある博物館ショップにはスウェーデン全国から集められた工芸品が販売されている。 2019年よりその場所で 私の作品も並べられているの

          歴史ある場所に

          伝統工芸なのか?

          白樺樹皮工芸は古くから北欧諸国で親しまれている。しかしそれを生産する職人の数は高齢化と共に減りつつある。 私は白樺工芸作品をスウェーデンの数ヶ所のショップで取り扱いをしていただいていたり、年に数回だが、手工芸マーケットに出展している。その時によく受ける質問がある。 "職人の跡をついだのか?"' "伝統工芸をひろめたいのか?" 私は伝統を継いでいるという意識はない。たまたま魅了されたものが北欧工芸だった。 伝統工芸品だけど私らしい作品が作りたい。 (Design t

          伝統工芸なのか?

          静かな冬の朝

          静かな冬の朝

          スウェーデン家具職人試験

          家にあった しばらく開けていない段ボールを開けてみた。 こちら にある職人試験の書類や写真ファイルがでてきた。 これはいい機会だから今日はその書類を。 私が提出した職人試験の家具の提案書。 Syskåp --- ミシンキャビネットだ 計画書は2007からの一年間の学習計画、デザインに至った経緯からはじまる 私はミシンを収納でき、さらに机を引き出すとミシン作業ができるようなキャビネットに白樺の突板で、外観に蓮の花の象嵌を施すことにした。白樺の突板は張り付ける向きを変

          スウェーデン家具職人試験

          見るのは他人じゃない

          会社の朝の会議での話し "誰が仕事をしていない"とか"誰がずるい" だとかそういう話を怒りながら同僚に話して回るのを見かけるけれど それでどうなる? それを他人に伝えて 同意を求めるよりも、自分に映して考えてみて。もしかしたら自分も同じだったりしないか? 誰かをイラつかせてはいないだろうか? 別にいつもハッピーでいろと言っているわけではない、最低限の機嫌は保って勤務してほしい。 ネガティブな空気は連鎖してしまうから。 他人のあれこれを言う前に まず自分が、自分から提供

          見るのは他人じゃない

          木の皮は道具

          手工芸作家として主に白樺の樹皮を使った作品を製作している。 白樺は古くから北欧をはじめ 北国の生活の中で様々な材料として使われてきた。 特に樹皮は柔らかく加工がしやすい。また防腐剤のような役割もしてくれるため 食料保存の容器として使われていたし、屋根の材料や船の材料としても使われてきた。 私の住むスウェーデン中部には 白樺林が多く、冬になると薪ストーブのセントラルヒーティングをいまだに使っている家が多い。そのため、春になると林の間伐作業を行い、切り倒した木を薪にする。

          木の皮は道具

          やらない選択

          切羽詰まった時、苦しい時、ダメになりそうな時に思い出す事がある。それは 2008年 家具のgesällstycke という職人試験を受けた時のことだ。 試験は 事前に製作計画書を提出。そこには"何を作るのか" " 製作時間の作業工程とそれにかかる時間" "材料の計画と分量" (製作の家具は自由だが、鍵・扉・ひきだし等 指定された技術を組み込む必要がある。)その後、それに添って 試験官から製作の有効時間が与えられる。その時間を厳守し、毎日の作業を記録しながら製作記録を記さな

          やらない選択

          はい。やり直して

          今日はオーダー製作のはなし。 薪を入れる為のカゴを白樺の皮で製作して欲しい。sizeは60×40×60くらいの。 そんなオーダーをつい先日受けた。 実はこんなに大きなカゴ作った事がない。 普段は身に付けられるbagや小物入れ、それにパンようのカゴなど小さなものが多い。 そして持ち手やショルダーの紐に革ひもを使うのが私のオリジナル だから今回も持ち手には厚めの革ひもを使っていた。↓ しかし 完成写真を見せしたところ "持ち手が心配。ちょっと強度出せない?できたら

          はい。やり直して

          雪国のふゆ

          雪国のふゆ

          ドイツ兵がきたのよ

          皆が集まるのは木曜日 もう目が悪かったり、腕が動かなくって織物を織れないお婆さんも中にはいる。 それでも週に一度 ここ織物小屋にやって来る。 人が集まると昔の話に花が咲く。 私はそんな話を聞きながら 想像をふくらます。 たまたま戦争の話になった。 スウェーデンは第二次世界対戦に参加せず中立国だった事は有名な話だ。だから私はてっきり世界が戦争でも、この国は平和に生活していたのだと思っていた。 しかし話を聞いているとそうでもなさそうだ。 "私の母が私を妊娠して

          ドイツ兵がきたのよ

          スウェーデンで工芸作家

          普段は会社員または工芸作家  ←インスタグラム 副業が工芸作家または会社員に と中途半端だといわれるかもしれないけど 今の私にはこのバランスが丁度良い。どちらも好き。会社員の私も。作家の私も。 と訳のわからない戯言はさておき なぜ伝統工芸でもある白樺工芸をしているのか。しかも日本人のわたしが。。。 なぜだろう。 ただ この村に移り住んでいなければ、出会うことはなかったと思う。  ここは村。人口500人程の小さな村。隣の家との境に林がある。 越してきた当時、村に

          スウェーデンで工芸作家