自由でいながら人とつながっていること~ポリヴェーガル理論②グラデーションと実践
前回、超入門編として概要を扱ったポリヴェーガル理論ですが、この考え方があると日常でふっと楽になる瞬間が多く、特にHSP傾向のある方や、生きづらさを抱える方の強い味方になるかと思います。
今回はもっと私のパーソナルな体験を通して実践的な角度からお伝えしていきたいと思います。MBTI関連の考察も。
以前から自由でいながら人とつながっていることが幸せだなと感じていましたが、その理由も分かってきました。
まずは前回の内容の復習です。
①交感神経が優位な時
私の場合は、時間が足りず焦るとこのモードに入りやすいです。
あとは、キャパを越えた仕事をしている時。余裕が大切。
自由がないと感じる時も同様です。
脳がどんどん熱くなっていき、漫画やアニメで見るように沸騰してプシューっと言いそうなくらいヒートし、めまい、立ち眩みしかけて我に返る、のパターン。
あとは、人が多く騒がしい場所、パーソナルスペースを確保できない時、ペースを乱される状況や、相手が自分に敵意を持っていると気が付くとこのモードに入りやすいです。
どんどん「気」が上の方へ上昇しすぎてしまい、ソワソワして眠れなくなります。
HSPタイプの人はちょっとした刺激ですぐ交感神経が反応しやすいので、一見すると害にならなさそうなこと(初対面の人とたくさん話したり、旅行など環境を変えて楽しくワクワクすること)をやりすぎても、このモードに入りやすくなってしまうので注意が必要なのです。
②背側迷走神経が優位な時
自由ですが、人とつながっていない状態。
私の場合、実はこのモードでいる時が一番長いかもしれません。
よく1人になりたいって気持ちが出てくるのが謎だったのですが、科学的にそれが説明できると分かり、とても気持ちが楽になりました。
仕事が終わった後など、上手く人と会話出来ないくらいに疲れ果ててしまうことがあったのですが、修復や回復が必要だったのだなと理解しました。
MBTI の最初の文字が〝I 〟の人たち(私はINFJです)のような、内向型のタイプは、このモードで過ごすことでレジリエンスを高める体質なのだろうなと思います。
リラックスできる場面でこのモードでいることは、いったん立ち止まり休むためにとても大切ですが、このモードから抜け出せないまま一生懸命通常業務をこなした後は、肩や首がガチガチに固まっていることが多いです。
③腹側迷走神経が優位な時
安心しながらつながりを感じている状態。
MBTIの最初の文字が〝E〟の人たちはこのモードに入る神経が発達しているのかなと思ったり。
リラックスしたりストレス発散が、人と話すことだったり、大勢で過ごすことだったりするタイプの人は、すっとこのモードに入りやすいのです。
育った家庭環境が、安心できて愛を感じられる家だった場合も、この感覚をすぐに思い出して再現できるのではないかなと思います。
私は②の背側迷走神経モードを経て回復した後でないと、このモードに入れないので、まずは1人にしてくれ、となります。
この③のモードでいる時は、自分と世界の境をあまり意識せず、他者にも心を開いて過ごすことができるので快適ではありますが、やはり、1人の時間を並行して作らないと①の交感神経モードにも陥りやすくなるのでバランスが大切かなと思ったり。
相手が人間ではなく、植物や動物の場合はもっと純粋に③でいられて疲れないのですが、やはり社交が絡むと「気」が上がって①寄りになってしまいます。
①交感神経と②背側迷走神経のグラデーション
自由がない。安心もない。つながり、、、う~ん。
本業の仕事中の私ですww
緊張感のあるコミュニケーションの中で、防衛戦をしながらアクティブに脳を使っている状態。
アクセルとブレーキが同時に踏まれているのでエネルギーがどんどん低下します。
安心感のない環境の中で「戦うか死ぬか」の二者択一モードになり、神経の状態が複雑になることで疲れやすくなると言われています。
自分がやたらに疲れやすい理由もこれで分かり、納得しました。
①交感神経と③腹側迷走神経のグラデーション
安心、安全を感じながら活動している状態。
ルールに沿って一生懸命戦うモードなので「遊び」や「スポーツ」とも表現されます。
安心感、つながり感、一体感を実感しながら、みんなで戦う、みんなで逃げる、みんなで活動する、という感覚です。
楽しめている時期の部活みたいなイメージ。
あとはストレスのない組織で協力しながら仕事をしたりするのと似ています。
自由はあまりないかもしれませんが、集団行動が苦にならないタイプの方は楽しいモードなのだと思います。
そして、家庭や職場などの雰囲気が良い場合、このモードでいる時間が長いのかもしれません。
②背側迷走神経と③腹側迷走神経のグラデーション
安心して休んだり、安心して止まったりする状態。
これが自由でいながら人とつながっている感覚を感じられる状態なのかなと個人的には思います。
人とではなくても、なにかとつながっている感覚の中でリラックスしたり省エネで過ごせていればOKです。
頑張らず、ただ身を委ねて、活動しなくてもただそこに居るだけで落ち着くという状態で、私はこのモードが一番好きです。
以前、愛着障害の話を書いた時に出した、安全基地というワードとも関わりが深い状態です。
安心安全やつながりを感じる対象である安全基地は、他者のような人間でも良いし、ペットや植物、落ち着ける場所(ソファーや家など)、好きなアーティストや映画などでも良いのです。
私は自宅で陰ヨガをしている時に、一番このモードに入りやすいです。
自分の体重をすべてマットやボルスター(クッション)に預け、存在そのものを安心して委ねてしまうと、そのまま心身が融けていき、固く頑張っていた①の要素が消えていく感覚があります。
瞑想などして周りの世界と自分に一体感を感じる時などもこのモードに入っているなと思います。
③を増やすための行動
HSPや、MBTIで〝I〟から始まるタイプの内向型の人々は、③の腹側迷走神経モードに入りづらい体質であるため、自分の工夫によって腹側迷走神経が反応している状態を作り出し、少しでもリラックスしてラクに生きる時間を長くしていく必要があります。
簡単に1人でも出来る方法としては、
目で見て美しいと感じるものに触れたり、好きな音楽で耳を喜ばせること、お気に入りの食べ物を食べて味覚を刺激することなど、五感を使って感覚を幸せな状態にしていくことがまずはオススメです。
私の場合は植物に興味があるので、ベランダでガーデニングをしたり、道を歩きながら季節の花を探すだけでも結構良い気分になったりします。
食べ物は毎日の生き甲斐ですね。
あとは、温かいお風呂に時間を気にせずゆっくり入れると至福です。
安全安心でゆったり、が幸せを生み出すのです。
肌ざわりや素材にこだわって服を選ぶことも、日々の生活クオリティーを上げてくれるように感じます。
未来や過去に気持ちを持っていかれず、今ここにあるものに意識を集中させることも大変有効です。
いわゆるマインドフルネスですが、あまり難しく考えずに、呼吸を観察してみたり、食事中に味覚や食感に集中したり、歩きながら足の感覚に注意を向けてみるだけでも、雑念に心を奪われない時間を過ごすことができると思います。
そしてやはりヨガ。
そのヨガの中でも頑張るタイプのヨガは交感神経も優位にしすぎてしまうことがありますが(弛緩を経験するには有効)、安心しながら回復したい方にとっては、頑張らずにゆだねていくタイプのリラックス系のヨガが向いていると思います。
安心できる環境の中で、雑念や日常から離れて、余裕を持って身体的な感覚や呼吸に注意を向けていくことで②と③のブレンドがしやすくなります。
というわけで、結局結論はヨガに行きついてしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
みなさまそれぞれにとって、最適なバランスと幸せが見つかることを願っています。