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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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記事一覧

昨日、冬将軍に出会う

昨日、冬将軍に出会う

小雨の夜を自転車で駆ける
葉を落とした木の枝の向こう側
少し欠けた白い月が同じスピードでついて来る
こんな夜を詠んだ歌があったような気がして、でも、思い出せなくて、立ち止まりそうになったけれど、冬将軍の気配がしたから、思い直して自転車のスピードをあげる。

ひたすらに、ひたすらに、
ただひたすらに冷たい夜を駆けぬけた

彼に捕まらないように_

吹かぬかも知れぬ秋風を待っています。【妄想のカケラ】

吹かぬかも知れぬ秋風を待っています。【妄想のカケラ】

『吹かぬかも知れぬ秋風を待っています。』

季節ハズレの台風の影響かしら?
と、曇った、湿り気のあるぬるい一日。
天気予報は今日も「季節外れの…」とお馴染みの慣用句から始まった。
もはやこれが「平年」なのでは?
とイケズな気分でひとりツッコミの夕暮れ
秋風が吹く間もなく冬が来そうで
とりあえずホットカーペットでもと出してみたけれど
こころの隅っこではまだ秋を待っている_

お題:秋風

書く習慣ア

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いつも通りの奇跡【妄想のカケラ】

いつも通りの奇跡【妄想のカケラ】

『いつも通りの奇跡』

17時30分
地域放送の音楽が流れ、一日の終わりを告げた木曜日。

いつも通りの夕暮れに
いつものほうじ茶をいれて
久しぶりの雨の日の音を聴いていると
久しぶりに使った乾燥機の終了ブザーが鳴った。

何でもない日だけど、「何でもない」が、実は、ほぼ奇跡だなんて、ずいぶん、大人になってから知りました。
でも、いまだに実感がないから、何でもないこと(幸せ)を、つい、「何もない(

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妄想水曜日(妄想のカケラ)

妄想水曜日(妄想のカケラ)

素敵な言葉があったような気がするけれど、いつの間にか無くなっていた水曜日。
カラスたちがゴミ袋を狙う朝、しっかり口を閉じたゴミ袋を二つ、もしかして、私の無くした素敵な言葉は、このゴミ袋の中に紛れていているのでは?…という妄想を抑えながら、カラスにさらわれないよう防鳥ネットに隠す。
通りの向こうのゴミをつついたカラスのくちばしにきらりと光るものが見えたけれど、あれは私の無くし物ではないと言い聞かせて

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世界が消える最期の夜に【妄想のカケラ】

世界が消える最期の夜に【妄想のカケラ】

星が、
流れてはどんどん消えてゆく...

異常なほどの多くの流れ星を見送りながら、この世界が消えるのを、新宿のワンルームのベランダから缶ビール片手に静かに眺めている

ひとりでよかった

誰かと一緒だったら
私的な未練にまみれた迷いごとをわめきちらし
こんなに冷静に最期の夜空を堪能することは出来なかった

ただやっぱり
この美しい夜空が消えてしまうのを
「もったいない」と思ってしまうのも
私的な

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神さまリセット【妄想のカケラ】

神さまリセット【妄想のカケラ】

箱庭を眺めため息をつく
また争いになり世界が壊れてしまいそうだ
ならば終わりにしよう
その人はもう一つため息をつき
箱庭を崩し始めた_

/終わりにしよう

書く習慣アプリのお題「終わりにしよう」から #超ショートショート

星に願いを【妄想のカケラ】

星に願いを【妄想のカケラ】

【星に願いを】

願いごとを書いた短冊が
ぬるい夜風に揺れている
闇を忘れたアーケード街のきらめきが
天の川の星々を残らず喰ってしまった
そんな、都会の空に、
何の期待もしてないのに
ふと手渡されてしまった短冊に
ぽつんとした願いごとをしたためた_

お題:七夕

書く習慣アプリのお題「七夕」から #詩のようなもの

思い出は還らない【妄想のカケラ】

思い出は還らない【妄想のカケラ】

あの時、埋めた宝箱をひとりで掘り返す
箱を開けると懐かしい香りのする品々と共に
一緒に開けようと約束した君から
未来の僕に宛てた手紙
それがほろ苦くて
滲んでなくなってしまいそうな視界を
繋ぎ止めるようにぐっと力を込めた_

お題:友達の思い出

書く習慣アプリのお題「友達の思い出」から #詩のようなもの  

相合傘【短歌】

相合傘【短歌】

君の傘に誘ってほしくて
ないふりをした
カバンの中に折りたたみ傘

お題:相合傘

書く習慣アプリのお題「相合傘」から #今日の短歌

失恋【妄想のカケラ】

失恋【妄想のカケラ】

失くしてしまうのが怖くて
ぎゅっと握りしめていたら
知らないうちに壊れていた_

お題:失恋

書く習慣アプリのお題「失恋」から #詩

妄想する。止まない雨の日【妄想のカケラ】

妄想する。止まない雨の日【妄想のカケラ】

そういえば雨が好き
「嫌いじゃない」じゃなくて「好き」
なかなか降り止まぬ雨に
このまま沈んでしまうのもいいかもしれないと
悲壮感にたっぷりと浸かるのが好き
でも、そんな妄想に安心して浸れるは、
心のどこかで止まない雨はないと信じているから_

お題:梅雨

書く習慣アプリのお題「梅雨」から #エッセイのようなひとりごと

五月病【妄想のカケラ】

五月病【妄想のカケラ】

「昨日に引き続き今朝も気持ちの良い天気です
 今日も一日晴れるでしょう〜」
朝の天気予報がにこやかに伝えている

爽快な青空にふわふわっと浮き足立ちそうな気持ちを鎮めて、ただ、ただ、今日も「使命」に邁進する

でも、この頃、
何もかも放り出して、この風にふわっと身をまかせてみてはどうだろう?
…なんて、
時々、魔がさすのだけど
きっとそれは、
ほのかに夏が薫るこの風のせい_

お題:風に身をまかせ

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身も心もyellow、yellow、(3行日記)

身も心もyellow、yellow、(3行日記)

【身も心もyellow、yellow、】

大陸から吹く風が街をイエローのフィルター加工
ぼんやりソフトな黄色の薄曇りの街で私にもかかるフィルター
今日は身も心もソフトなイエローでいられそう_

桜散る(3行日記)【妄想のカケラ】

桜散る(3行日記)【妄想のカケラ】

桜散る
あの満開の華やいだ休日が夢のよう
若い緑の葉をつけ始めたユリノキが花を散らし切った風にうかれている

お題:桜散る

書く習慣アプリのお題「桜散る」から #3行日記