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生を忘れるな 安冨歩著作書評集

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私が主催している「代読ダイアローグ」で読んだ安冨歩さんの著作の書評集です。 依頼主である長崎大学の技術員の野口大介さんのコメントも掲載しています。 私なりの視点でみた安冨さんの思…
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#親鸞

序 いのち短し、明日の月日のないものを

序 いのち短し、明日の月日のないものを

 本マガジンでは、経済学者の安富歩氏の著作の書評を連載する。
 私が主催している「代読ダイアローグ」で、長崎大学の技術員の野口大介さんと安富氏の著作を土台に対談を行ない、そのさいに私が野口さんに送った書評文をもとに、野口さんのコメントを掲載していく。
 一部、安富氏本人の著作ではない書籍の書評も掲載しているが、安富氏が書評を書いたり、解説を記載しているので、安富氏の思想を理解する上での参考になると

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第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

安冨歩『経済学の船出——創発の海へ』(一月万冊)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 『専門分野を持たないで研究する方法』という、2006年公刊の安冨先生の論文があります。

 この中に、

とあります。斬新かつ興味深いです。なるほど、一月万冊による『複雑さを生きる』や、『経済学の船出』の復刊は、そういう考えに基づく「プロジェクト」であったか、と思い至りました。

 本書『経済学の船出

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第2章『「親鸞ルネサンス」書評』へ...

第2章『「親鸞ルネサンス」書評』へ...

安冨歩・本田雅人・佐野明弘『親鸞ルネサンス 他力による自立』に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 「形而上学」をめぐっては、宗教的信念と関係する、様々な議論があるのですね。安冨先生が、片岡祐介さんを教祖とする「純セレブ教」を生み出したのも、現代の形而上学的問題へのお考えに基づいているという理解ができるかもしれません。私は形而上学への問題意識をめぐる議論についてはまったく詳しく知りません

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第2章 『親鸞ルネサンス 他力による自立』

第2章 『親鸞ルネサンス 他力による自立』

安冨歩・本田雅人・佐野明弘『親鸞ルネッサンス 他力による自立』(明石書房、2013)の書評文

 本書で安富さんたちが提示しているのは「新しい形而上学」としての「他力」です。「形而上学」とは何かと云えば、もともとギリシャ語で“Metaphysica”とよび、「目にみえないもの」「物事の背後に存在する超自然的な存在」のことで、転じて哲学や思想では「思想の前提となる考え」となります。古代や中世の哲学や

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