マガジンのカバー画像

教育記事から教育を考える

37
教育関連の記事の中から気になるニュースをピックアップ。現在の日本の教育事情を解説していきます。お子さんをお持ちの方、教育関係者の方の参考にしていただければと思います。
運営しているクリエイター

#新聞記事

形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか(医学部合格率、初めて男女逆転 昨年の入試 文科省調査 朝日新聞 2月20日)

形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか(医学部合格率、初めて男女逆転 昨年の入試 文科省調査 朝日新聞 2月20日)

全国に81ある国公私立大の医学部医学科の2021年度入試(21年春の入学者を選抜する試験)で、女性の合格率が13・60%となり、男性を0・09ポイント上回ったことが、文部科学省の調査で分かった。データのある13年度以降で、女性の合格率が男性を上回ったのは初めて。女性の方が男性よりも合格率が低い大学の割合も初めて半数を切った。

2018年に話題になった医学部の男女差別による合格率の問題が、2021

もっとみる
社会のメンタリティーを見つめ直す時ではないか(東大前刺傷、容疑の高2「以前から計画」当日に下見か 朝日新聞 1月17日)

社会のメンタリティーを見つめ直す時ではないか(東大前刺傷、容疑の高2「以前から計画」当日に下見か 朝日新聞 1月17日)

大変な事件が起きた。大学入学共通テストの初日に、東大の試験会場の路上で刺傷事件が起きてしまった。それも、東大を目指していた有名進学校の生徒が犯人だ。当然、世間は、この事件にいろいろな反応を示した。ネットの記事でしか情報はないが、その犯人像が、徐々に浮かび上がってきている。

このような事件が起こった場合、私たちは、何を問題にするべきだろうか。教育問題として考えた方が良いのか。それとも、犯人の特異性

もっとみる
なぜ、18歳から成人なのか?(4月から18歳で「成人」改正民法が施行へ NHKニュース 1月1日)

なぜ、18歳から成人なのか?(4月から18歳で「成人」改正民法が施行へ NHKニュース 1月1日)

成人年齢の引き下げは明治9年に定められて以来初めてで、この春からは18歳になったら親などの同意を得なくても、クレジットカードやローンなどの契約をすることが可能になります。
ほかにも、有効期間が10年のパスポートの取得や、日本と外国、両方の国籍を持っている人の国籍選択、公認会計士や司法書士などの資格の取得、それに性同一性障害の人の性別変更の申し立てなども18歳からできるようになります。一方、飲酒や喫

もっとみる
受験は手続きだ!
(            机にコンパス、複数生徒の受験無効 
広島公立高の今春入試 対応ちぐはぐで高校側謝罪 中國新聞デジタル4月13日)

受験は手続きだ! ( 机にコンパス、複数生徒の受験無効  広島公立高の今春入試 対応ちぐはぐで高校側謝罪 中國新聞デジタル4月13日)

https://www.asahi.com/articles/ASP4F5SBDP4FPITB00C.html

その昔、「15の春は泣かせない」という言葉があったことを、読者の皆さんはご存じだろうか。1950年代、誰でもが高校進学できる社会を目指して当時の京都府知事が言ったものだが、広島県教委は、そして、この試験の監督をした教師は、この言葉を聞いてどう思うだろうか。

記事によれば、コンパスは他

もっとみる
こんなことを分かっていなかったのか!(共通テストの記述式、断念濃厚 文科省の有識者会議 産経新聞4月2日)

こんなことを分かっていなかったのか!(共通テストの記述式、断念濃厚 文科省の有識者会議 産経新聞4月2日)

大学入試改革をはじめとする高大接続改革について、主導した文科省と教育実行再生会議は、今回の記述問題の見送りに際して(まだ決定したわけでは
ないので、そうなれば)、きちんと総括をするべきではないか。

特に、教育実行再生会議は、参加したメンバーの教育現場に対する理解の浅さが問題ではないかと、私は2年前に指摘していた。教育現場や教育の制度的なことをあまり知らない経済人が、自分の頭の中でだけ、色々なこと

もっとみる
教師のこのような発言は、なぜ起こるのか(児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け 朝日新聞3月22日)

教師のこのような発言は、なぜ起こるのか(児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け 朝日新聞3月22日)

言語道断!というのは、このような出来事ではないだろうか。教師が、子どもをけしかけて暴力行為を促すなどということはあってはならない。そして、日常的に、教師が言葉の暴力をふるい続けることも許すことは出来ない。

なぜ、このようなことが起こるのか。それは、小学校には「学級王国」を築きやすい形態があるからだ。教師が一人で学級を見ているから、そこに他者が入り込む余地が非常に少なく、チェック&バランスがなされ

もっとみる
結果の平等と機会の平等を分けて考えるべきだ!(東大の合格者、女子が過去最多の21%「到達点でない」朝日新聞3月10日)

結果の平等と機会の平等を分けて考えるべきだ!(東大の合格者、女子が過去最多の21%「到達点でない」朝日新聞3月10日)

森さんの軽口が、大騒動を引き起こしたのは記憶に新しいところだが、あえて、男女差別の問題をここで取り上げたい。今回の記事にある福田東大副学長の発言は、男女差別的に問題はないのだろうか。

入試担当理事の福田裕穂副学長は10日の会見で「いろいろな人が学びの場にいることが大切。現状が到達点であってはいけない。30%、40%となるように努力をしたい」と話した。

東大の合格者の男女の比率を学内の努力で変え

もっとみる
合理的なルールをみんなで創ることが、自治のスタートだ!(下着や髪形「ブラック校則」 過度な制限、見直し求める  朝日新聞2月23日)

合理的なルールをみんなで創ることが、自治のスタートだ!(下着や髪形「ブラック校則」 過度な制限、見直し求める  朝日新聞2月23日)

ブラック校則という、あまりにも合理的でない校則を変えていくためには、子どもたちに自治の練習をさせることではないか。昔の子どもたちは、子どもたちだけで遊んでは、喧嘩をし、仲直りをして、子どもたちの集団を作っていた。それが、子どもの世界に大人がやってきて、管理的な世界を築いていった。

例えば、地域の子どもたちが野球で遊んでいるところに、大人がやってきて、野球チームを作り、大人の道楽にしていった。つま

もっとみる
学校の教員になりたくなる世間になることだ!(小学教員競争率 過去最低 昨年度試験2・7倍 産経新聞2月2日)

学校の教員になりたくなる世間になることだ!(小学教員競争率 過去最低 昨年度試験2・7倍 産経新聞2月2日)

この30年間の学校の先生に対する政治家、教育評論家、そして企業経営者の非難にも等しい物言いやマスコミの先生叩きが、学校の教師の社会的地位を相対的に低下させたことは間違いない。このことは、公務員にも言えることだ。

そして、学校での様々な事件と、それを隠蔽してしまう教育委員会の無能さをマスコミが報道して、更に、学校現場が大変なことを世間に知らしめた。この一連の、見せしめのような先生叩きの報道によって

もっとみる
学校の序列化を認める方向でよいのではないか(【福島】22年度から普通科に医学コースなど新設  朝日新聞12月7日)

学校の序列化を認める方向でよいのではないか(【福島】22年度から普通科に医学コースなど新設  朝日新聞12月7日)

世の中の学校の序列に対する認識と、教育委員会並びに文科省の学校における序列に対する認識のずれは、昔から大きかった。世間では、公立高校間でも学力による学校間の序列はあり、公私の高校の間にも学力による序列はあると認識しているし、だからこそ、世間では子どもを学習塾に通わせるのだが、文科省はじめ各県の教育員会では、学校間に序列はないという見解を通してきた。

今回取り上げた福島県は、県立高校の普通科で4つ

もっとみる
学校教育には、どんな効果があるのか(「女子だけ白靴下は不平等」中学生がブラック校則変更  産経新聞11月25日)

学校教育には、どんな効果があるのか(「女子だけ白靴下は不平等」中学生がブラック校則変更  産経新聞11月25日)

教育は、実は、暴力的な側面を持っている。強制力を子どもに行使して、知識を与えていく。その過程において、子どもたちの意志を認めはしないのだ。そういう意味で暴力なのだ。そして、学校教育は、身体訓練の場だ。だからこそ、校則が必要になってくる。野生人である子どもを社会馴致化するために、学校教育があるのだ。だから、ルールを守ることを子どもたちに強制するのが学校だ。

子どもたちに都合の良いような校則は、基本

もっとみる
一般企業では考えられない!(小中学校の給食費「校長の口座で管理」7割…文科省が初の調査 読売新聞11月4日)

一般企業では考えられない!(小中学校の給食費「校長の口座で管理」7割…文科省が初の調査 読売新聞11月4日)

学校が集める給食費を校長の私的口座で管理するなどということをやっていたとは、驚いた。企業なら、そのようなことにはならない。会社名義の口座を作って管理するはずだ。

早急に、教育委員会が口座を開設し、管理した方が良い。ただし、教育委員会が給食費を収めていない家庭に連絡するルートと、学校の教師が連絡するルートの、2つルートを持っていた方が良いのではないかと思う。それは、形式的に催促するものと、事情を知

もっとみる

コロナ禍で学力が更に分断されてしまう!(コロナ、不安と焦りの中3生 朝日新聞9月23日)

コロナ禍によって、学校が休校になった。3月の約3週間、4月の約3週間、5月の約3週間、学年をまたいで約9週間、公立中学校では授業が行われなかった。この異常事態を私たちは、大きな問題だと考えているが、はたしてそうだろうか。

学校は、色々なことで授業がつぶれる。平時であっても、教師によっては、授業のペースが遅すぎて最後まで教科書が終わらないこともある。テスト前にプリントを配って、「勉強してこい!」と

もっとみる

なぜ、インクルーシブ教育が必要なのか(特別支援学級の児童を「邪魔だと思う人は手を挙げて」 …小学教員、一緒の授業の場で  読売新聞9月9日)

今回の事件は、特殊な教員がろくでもない対応をした、というだけの事件ではないように思える。学校全体がインクルーシブ教育の意味を理解しているのかどうかに関わる事件ではないだろうか。

多様な人たちが、一緒に活動することがこれから求められていく。その一つとして、この学校も特別支援学級の児童と普通学級の児童が一緒に授業を受けていたのではないか。

だとすれば、この教員は、その意味を理解して授業に取り組むべ

もっとみる