なぜ、18歳から成人なのか?(4月から18歳で「成人」改正民法が施行へ NHKニュース 1月1日)
成人年齢の引き下げは明治9年に定められて以来初めてで、この春からは18歳になったら親などの同意を得なくても、クレジットカードやローンなどの契約をすることが可能になります。
ほかにも、有効期間が10年のパスポートの取得や、日本と外国、両方の国籍を持っている人の国籍選択、公認会計士や司法書士などの資格の取得、それに性同一性障害の人の性別変更の申し立てなども18歳からできるようになります。一方、飲酒や喫煙、それに競馬や競輪などの4つの公営ギャンブルは、これまでどおり20歳未満は禁止です。
とうとう、今年の4月から日本の子どもたちが、18歳で成人になる。この若年化に必然はあるのだろうか。
世界の国々では18歳で成人なのだから日本も!
という声があるが、そんなことは成人年齢を下げる理由にはならない。
ましてやヨーロッパは、1960年代の大学生の反政府運動があったために、
学生にも参政権を与えようと年齢が下がったのだ。これなども、政治的
駆け引きと言ってよい。
そして、日本はというと、資本主義的な駆け引きが、ありありの18歳成人化だ。NHKのニュースにもあるように、「親などの同意を得なくても、クレジットカードやローンなどの契約をすることが可能」になるのだ。18歳と言えば、大半が高校生だ。親のすねをかじっている高校生にこんな自由を与える魂胆がわからない。
高校生がお金にまつわる自由を手に入れれば、当然、その高校生を食い物にしようという輩も出てくるはずだ。こんな経済活動優先の権限を、よく政治家は許したものだ。
そして、成人として高校生に対応するのか、まだ子どもとして高校生に対応するのか、ここが非常に難しいところだ。大学生を見てみると良い。大学では、基本的に生活指導も、進路指導も強制的には行わないはずだ。なぜならば、大学生は、基本的に成人だからだ。高校生を指導する高校教師は、非常に難しい状況になることが予想される。しっかり頭の中と感情を整理して、18歳の成人と向き合うことだ。
【教育記事から教育を考える】
2022年1月14日(金) VOL.719
作者:中土井鉄信(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)