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学校の序列化を認める方向でよいのではないか(【福島】22年度から普通科に医学コースなど新設  朝日新聞12月7日)

世の中の学校の序列に対する認識と、教育委員会並びに文科省の学校における序列に対する認識のずれは、昔から大きかった。世間では、公立高校間でも学力による学校間の序列はあり、公私の高校の間にも学力による序列はあると認識しているし、だからこそ、世間では子どもを学習塾に通わせるのだが、文科省はじめ各県の教育員会では、学校間に序列はないという見解を通してきた。

今回取り上げた福島県は、県立高校の普通科で4つのコースを設け、進学に向けて学習指導・進路指導を行うことに決定したという。まさにこの決定は、学校の序列化を意味するはずなのだが、記事によれば、この序列化に直接結びつくような狙いは隠されている。

4つのコースを設けるのは、「職業観や基礎的素養を養うのが目的」で、入学時にコースを選択するのではなく、「在学時の生徒の希望によって決まることが想定され、定員は各校が判断する」というのだ。そんな目的なら、コースをわざわざ設置することはないのだ。今までの普通科教育で十分だ。職業観などは、大人になってからこそ本当の意味で身につくことぐらいは、大体の大人は知っているではないか。

今回取り上げた記事の中には、設置コースがどの学校になるか記載があったのだが、たとえば、子どもを医者にしたい保護者は、もし、医学コースのある学校が地域のそこそこの進学校なら、当然、その学校を受験させようとするだろうし、たとえ、その志向がなくても、学力レベルが高い子どもが集まるだろうから、子どもをその環境の中にいれようと思うだろう。この動機こそ、学校間の序列を生むことになるはずだ。

私としては、学校の序列化に反対しているのではない。そうではなくて、文科省も各県の教育委員会も、明確に学校の序列化について認識を改めて、高校からは、公立学校も世間の要望にしっかり応えるために、様々な改革を行っていくと本音を発信した方が良いと思うのだ。そうしなければ、やることが中途半端になって、それこそ、有名無実の改革に終わってしまうことになりかねない。

福島県の勇気ある改革を本当の意味で成功させようと思えば、序列化に踏み込んでいくしかないのではないかと思うがどうだろうか。

【教育記事から教育を考える】
2020年12月11日(金) VOL.693
作者:中土井鉄信
(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)

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