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ウィリアム・ギブスンの小説に、ハッカーたちの集う《茶壷》というバーが出てくる。こちら《…

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ウィリアム・ギブスンの小説に、ハッカーたちの集う《茶壷》というバーが出てくる。こちら《chatsubo》は現代の茶室的妄想文学空間。都市を回遊するカラフルな都会人たちが、今宵もまた《chatsubo》に出没する。JOIN US!

マガジン

  • 毎日書く。

    小説を書くためのノリというか、バイブスを新鮮に保つために、毎日書く。小説とは関係のないことが、関係をもつようになってくる。そうしてノリを更新しつづける。

  • 【超短篇小説】わめき散らしラジオ

    とても短い小説の断片を書いていきます。連作になる予定です。

  • CHATSUBO CLIPS

    Other writers' articles to help you write without writing.

  • THE CHATSUBO PEOPLE

    Chatsuboに出入りする、都市遊泳者たちのつぶやき。街のあちこちで、彼らの眼が風景を鮮やかに切り取る。敷衍された《俳句》としての、140文字のつぶやき、ともう少し長いスケッチ。

  • ひとり小説会議

    小説を書く前に、一人であれこれブレーンストーミングしている過程を書き留めています。

最近の記事

  • 固定された記事

今日の《Chatsubo》。ソル、FH、壺井、アルジズ・・・。いつもの顔ぶれが仮想的文学バー《Chatsubo》で飲んでいる。濃密な茶室的空間がいや増す。まったりとした夜の時間はまだまだ続く。今日は誰が打ち明け話を始めるのだろう・・・?

    • ファミリーマートで車を停めて本を読んでいると、二つ先のロットに小さな黒い車が入ってきた。音楽がかかっていた。しばらくして僕が車を出すときにちらっとそちらを見ると、女の人がバックミラーを見ながら化粧をしていた。手にブラシの柄を持ち、鏡を見ていたその人の、顔の角度が美しいと思った。

      • 言葉の力を思い出す。

        『言語化力』という本を読む。 言語化力なんて改まった言い方をしなくても、何かを言葉で表すなんて、もうとっくの昔に習得したスキルだと思っていた。そのはずだった。 だけど本当は、僕はまだまだ習得の途中だったのかもしれない。さらには、間違ったやり方で言語化力を身に付けていたような気さえするのだ。 自分の思考を言葉で規定する、つまり、もやもやした形の無いものに言葉で網を掛け、掬い上げる。言葉はそんな風に使うのだとしたら、言葉の網にひっかかるのは自分自身だ。 言葉で人を動かすこ

        • 【超短編(じゃなくなるかも)小説】#05 食堂をやっているおばあさんと高校生の夏くん。賄いを食べながらyoutubeを観る。

          ・・・・・・何かを書くのは、映画を撮るのに似ているだろうか? 午前中に郵便局で見かけたおばあさん。ATMが一つしかない小さな郵便局なので、僕とそのおばあさんは順番を待っていた。 僕は見るともなしに、おばあさんを観察していた。洗濯で白ちゃけた、元は赤だったはずのエプロン、というか、袖が付いていたので割烹着か。黒っぽいズボンを履いている。パジャマのズボンのようなサイズ感。ゆったりしていて、丈が短め。履きやすそうだ。おばあさんは裸足に黒いつっかけだ。近くの人なのだ。おばあさんの

        • 固定された記事

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        記事

          【超短編小説】#04 津田ユウスケ氏インタビュー「――・ジャポン」誌 2024年11月号より

          僕がスタイリングさせてもらってる青山さんは、すごく柔軟性のある方ですね。青山さんのファンは男性も女性も半々くらいですが、僕が思うに、人はなんのかんの言っても保守的だと思うんです。自分の推している人物には清潔でパリっとコンサバティヴでいてほしい。だから青山さんはそういうファンの願いに応えなくてはならない。といって、ただ保守的なだけでは大人しくってつまらない。やはり、どこか優美なところがないと。そのために青山ファンの人たちは少なくないお金を払うわけですから。彼女はいつも僕の提案す

          【超短編小説】#04 津田ユウスケ氏インタビュー「――・ジャポン」誌 2024年11月号より

          【超短編小説】#03 モンスターとテレヴァンジェリストのスタイリスト

          サリーは、ユーラシア大陸の果て、極東地域の半島に住んでいる。サリーというのはあだ名で、誰もサリーの本名を知らない。 その土地は海に囲まれていて、集落は海風に晒され、脱色されている。屋根は瓦で葺いてあり、どこか日本風の風情がある。トタンの壁、白ちゃけた青いドア。海から運ばれる塩気と日光が家々を一律に脱色しているので、建物はどれも同じように見えた。家のそばには洗濯物を干すような竿が渡してあり、濃い緑色のワカメがいくつも干してあっった。茶色と白の縞ネコが敷地を横切っていった。

          【超短編小説】#03 モンスターとテレヴァンジェリストのスタイリスト

          【超短編小説】#02 蟹とマニキュア

          「夏くんは湯葉って食べたことある?」  青山が僕にたずねた。青山は赤いマニキュアを足の指に塗っていた。 「いいえ」 「わたしこないだ湯葉をね、3パック買ったんだよ。それからマックに並んでナゲットの大きい箱買って、他に何か期限限定のドリンクも買ったかな? それから自転車に乗って家へ帰った。家ではわたし一人なんだよ、スタジオではいろんな人がいるけど。で、湯葉とナゲットを一気に食べた。津田にあんまり食べ過ぎないようにいつも言われてるけど、わたし顔は太んないから」 「すごい組み合わせ

          【超短編小説】#02 蟹とマニキュア

          ジャーナリングで日常を掬い上げる。

          宗像ちよこの新刊? Amazonからの新刊案内のメールだ。 ということは、僕は宗像ちよこをフォローしていたわけか。 宗像ちよこは、何だかとりとめのないことを掬い上げるスタイル。そう記憶していた。目を向けることの基準が、僕とは全く違っていて、それはつまり、見える世界が全く違うということで、簡単に言えば「僕はそんなこと、気にしたこともないよ」と言わずにはおれない。 と思っていた。本当だろうか? 本当に気にしてない? 「そんなこと」を。 本当は「そんなこと」を気にする時もあっ

          ジャーナリングで日常を掬い上げる。

          雨の土曜日は自分を甘やかす。

          とても眠い。 こんなに眠くては仕事にならない。 そう書いて、こんなのは誰か他人のセリフに違いないと思った。俺が心底、そう思っているわけでもないのに、こういう、いかにもぴったりなセリフが頭に浮かんだだけだ。 考えてみれば、毎日、思ったり口にしたりすることの大方は、誰か他人が言ったことだったり、もしくは単に、言いそうなことだったりで、実のところ俺自身は、ほとんど何も考えていないのだった。 まぁ、薄々察せられていたとはいえ、こう改めて真実というか、現実に向き合ってみると、うす

          雨の土曜日は自分を甘やかす。

          無意識の〈法〉って?何だそれは!正体を知ると怖すぎるじゃないか!

          いや~、おっそろしい本を読み始めてしまった。 『ゼロから始めるジャック・ラカンー疾風怒濤精神分析入門 増補改訂版』だ。 千葉雅也が『現代思想入門』のラカンのところで紹介していたので読み始めたのだが、いや~、ほんとにおそろしい。 村上春樹は妙な回文とか、寒いジョークとか、好きっぽいですよね?小説のなかには目立つ形ではでてこないけど、なんかうっすらと無意味なガラクタっぽい感じで、そういうナンセンスがいつも漂ってはいる。 で、村上春樹がなぜそういう味付けをいつも忘れずに振りか

          無意識の〈法〉って?何だそれは!正体を知ると怖すぎるじゃないか!

          新潮文庫最厚『魂に秩序を』は計算された〈地獄巡り〉だ。

          マット・ラフの『魂に秩序を』を読み終えた。新潮文庫最厚の1088ページ。三日かかった。とりあえずの達成感は得られた。 とはいえ、こういう話で、こういうところが共感できるとか、そういう言語化がしにくい。マット・ラフが伝えたかったことが、幾重にも包まれて奥底に隠されているような、そんな感じで、読後感があいまいなままで終わっている。もちろん、僕の理解が今のところそこまでだ、というだけで、作品が不出来なわけではない・・・・・・(翌日になって、僕は新たな気づきを得るのだけど)。 本

          新潮文庫最厚『魂に秩序を』は計算された〈地獄巡り〉だ。

          文学系Youtubeのおかげで、読めなかった本が読めるようになる。

          「アサヒ 音楽と文学は色ガラス」というチャンネルで、ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』を取り上げた回があって、とてもおもしろかった。  どこかバランスを失った構造ってのは、僕にとってはいつも心惹かれる。『ねじの回転』で主なストーリーテリングを担う女家庭教師。その女の張りつめた語りも、見るからにバランスを欠いていて美しい。  とはいえ、僕もどこまでもアンバランスさを楽しめるかというと、そんなことはない。すぐに限界を迎える。    たとえば『百年の孤独』のありえなさ感、ぶっ

          文学系Youtubeのおかげで、読めなかった本が読めるようになる。

          counterphobiaを患うあなたのための本

          "counterphobia"という単語があります。フォビアというのは、何かの恐怖症を表しますが、counterphobiaは「自分が感じている恐怖の首根っこをつかまえずにはおれない心性」のことです。勇敢というのとも少し違っていて、覗き見をする時の昂った気持ちに似ている。 で、春日武彦の本はどれも、僕のcounterphobia的性向を掻き立て、満たす。春日氏は、精神科医としての職業柄、人のみすぼらしさ、どうにもならない零落とかに、どこかいじましさを感じる質のように思えます

          counterphobiaを患うあなたのための本

          何でかわかんないけど赦される、つうか・・・。そういう本。

          ベテラン精神科医・春日武彦 × 特殊系小説家・平山夢明の対談集を読んでいる。 いや~、溜飲が下がるとはこのことか。誰かに言ってほしかったことがあまりにもあけすけに口にされている! ほんでもって、何やかや言っても彼らがプロであるところが詳らかにされていて、カッコいい。 ライターズブロックに罹っている作家平山氏が、春日先生の外来を訪れる。白衣の春日氏が、話を聞く。すると春日氏は「きみの部屋はめちゃくちゃ汚いんじゃないか」と看破する。で、平山氏は「掃除かぁ・・・・・・」と怪訝

          何でかわかんないけど赦される、つうか・・・。そういう本。

          夏目漱石と能。村上春樹とメタファー。

          能楽師の安田登さんが、「夏目漱石と能」という記事の中で次のようにおっしゃっています。 能の仕草の「型」ひとつひとつには、象徴的な意味はないのだ、と。能の動きは抽象で、状況によって同じ動作からでも違う意味が立ち現れるのだと。 象徴ではないんだ! 象徴/ メタファーと、抽象は別の物だという考えは衝撃的だ! 夏目漱石の『夢十夜』の第三夜で、歩いては立ち止まる、という仕草が「型」のようにして、三度、用いられている。その仕草が差し挟まれるたびに場面が転換する。三回ごとに違う意味

          夏目漱石と能。村上春樹とメタファー。

          村上春樹研究本は数あれど、これはおもしろかった。

          横道誠の村上春樹研究を読んだ。四百ページ近くある大部である。 村上春樹は自らのことを「村上春樹インダストリーズ」の生産担当にすぎない、と言っていますが、横道氏は村上春樹ワールドを「サンプリング、翻訳、アダプテーション、批評、研究」といった要素からなる世界文学的構造体として読み解こうとします。 なるほど。 確かに、村上春樹はサンプリングの達人であるし、翻訳もし、そしてアダプテーションも批評も、研究も、絶えず密かに行っている(あからさまに批評めいたことは滅多に言わないにして

          村上春樹研究本は数あれど、これはおもしろかった。