毎日書く #03-2 アルジズと「プラムとイノシシ」
真夏になる前。
まだ畑へ出ても汗をかかずに済んだころ。
イノシシ除けのフェンスが縦横に巡らされている一角に、古いプラムの木がある。
老木と言っていい、古い幹。
曲がった枝が撓んで、ちょうど手の届くところへ実を付けている。
甘い香りが猛烈にかおる。
甘い。
すでにたくさんの実が熟し、落ち、朽ちかけ、猛然と香りを放っている。
それから、ちょうどいい具合に熟れている実。
ちょうどよさがあまりにも完璧で、おそろしくさえある。
畏怖の気持ちが沸き起こる。
傷一つなく、ぱりりとふく