【超短編小説】#04 津田ユウスケ氏インタビュー「――・ジャポン」誌 2024年11月号より
僕がスタイリングさせてもらってる青山さんは、すごく柔軟性のある方ですね。青山さんのファンは男性も女性も半々くらいですが、僕が思うに、人はなんのかんの言っても保守的だと思うんです。自分の推している人物には清潔でパリっとコンサバティヴでいてほしい。だから青山さんはそういうファンの願いに応えなくてはならない。といって、ただ保守的なだけでは大人しくってつまらない。やはり、どこか優美なところがないと。そのために青山ファンの人たちは少なくないお金を払うわけですから。彼女はいつも僕の提案することを静かに聞いて、納得したらとことん受け容れて、僕が作るイメージになりきってしまいます。「こういう色はちょっと」などと躊躇することは決してありません。ところで、その日用意した服に着替えるまでの青山さんは、まったく無名の、地味な女性です。ところが、支度が済んでカメラの前に立つとなると、そばで見ている僕などでも軽い催眠状態になってしまうくらいのカリスマへと変身を遂げているんです。まぁ、人を変身させるのが僕の仕事なわけですが、毎回あまりにも見事にきまるので、一体どうなってるんだろう? と思います。青山さんは人間じゃないのかもしれませんね 笑。