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「君はいつも道理を外すから、道理のあるところに行きなさい」#想像していなかった未来
「君はいつも道理を外すから、道理のあるところに行きなさい」
私と茶道のであいはこんな助言からはじまった。二十代になったばかりで、馬鹿なことばかりをしていた時分であった。
「それは何処ですか」
こう尋ねると、そこが茶室であったのである。むろん、続くわけがなかった。そもそも柄ではない。しかし、そこは茶道の先生の器なのであろう。ジム帰りに半袖半ズボンで茶室に伺って叱られたり、よかれとおもって無
おなかの中のきみに贈る #未来のためにできること
きみが生まれてくる日まで、手紙を書いている。おじいちゃんの形見の万年筆で、おとうさん愛用の原稿用紙に。手書きだから、読みにくいでしょう。それでも、きみには自分の字で残したい。だって、機械の字ではいのちを伝えられないから。
五十音はおもしろくてね。そのひとつひとつが神さまなんだ。だから、これは手紙というよりは祈りに近いのかもしれない。
未来への手紙をすすめてくれたのは、きみのおかあさん。そ
父の急逝後、事業を継いで | #自分で選んでよかったこと
人の一生なんてあっけない。
よく耳にする言葉だが、身内のこととなると余計に抉られるものがある。父が急逝したのは、コロナ禍の最中であった。つい数日前まで旅を共にし、その日の朝も少し風邪気味かとは感じていたものの、いつもと変わらぬ朝食の景色が広がっていた。ところが、昼過ぎから急変し、生涯初めての救急車に乗ったかと思いきや、父はそのまま還らぬ人となってしまったのである。わずか三時間の出来事であった。
不器用な夫にも伝わる家事の分け方
私の辞書に家事というページはない。否、なかった。
ひとり暮らしのときは、料理するのが面倒だから、ひとつ80円の良質な卵を蛇のように丸飲みする生活を送っていた。キューイフルーツやドラゴンフルーツも皮ごと食べる。無論、皮がないほうが美味しいが、皮をむくのが面倒くさい。
ところが、最近は妻のつわりがひどく、人として家事をせざるを得ない状況に追い込まれている。しかし、台所に立っても何が何処にある
Perfect Days #映画にまつわる思い出
年末に美容師から映画『Perfect Days』を薦められたのを皮切りに、幾人もの方から数日で同映画の話が届いたので、家人と横須賀の映画館まで足を運んだ。海外では「Zen Movie」として評価をされているようである。以下は表題にも草したが、がっつりとネタバレがあるので、そのつもりで。Perfect DaysからPとDをとって、家人をP、私をDとする。
P:正月に觀れてよかった映画でしたね。
D
本場中国の餃子を日本でつくってみた
嫁の友人に旦那さんが中国人という方がいらして、だったら夫婦二組で本場中国の食卓を日本でもやってみようという話になった。畑にはかなり出没するものの、料理がからきしダメな私の担当は「餃子の皮包み」である。これなら少しはやったことある。
早速、指に水をつけて、餃子を包もうとした途端、
「あっ、ヒダヒダはつけないでくださいね」
と早速、洗礼を受けた。本場中国の餃子にはヒダヒダがないのか? そもそ
萬翠楼福住 #泊まってよかった宿
朝陽を觀れば觀光として成り立つのではないのかしらと道樂的なことを考えているので、旅にいってもいわゆる觀光地に足を運ぶことはほとんどない。箱根湯本にある福住もそのような旅館のひとつで、わざわざ箱根山に登るのは駅伝選手に任せ、いつも酔い醒ましに旅館のまわりを散歩する程度である。
では、旅館で何をしているのかというと、これまた憶えていない。おそらく家人と酒を呑んでは食を樂しみ、小刻みに温泉を堪能してい
【御礼】「文藝春秋SDGsエッセイ大賞2023」グランプリ受賞
お蔭様で上記の「文藝春秋SDGsエッセイ大賞2023」のグランプリを頂戴致しました。日頃から記事を読んでくださっている皆さまに深く感謝申しあげたい次第です。有り難うございました。
実はここ二十年ほど、本名にも「草」の字がはいっているため、「草ちゃん」なるあだ名で呼ばれてきました。今回「草マルチと農福連携」という何ともニッチなテーマで草したのですが、そんな私が草の記事で評価いただけたこと。妙に嬉し