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エッセイとか手記とか

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エッセイをまとめたものです。
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2021年5月の記事一覧

いつかのハンターは、再び相見えん

いつかのハンターは、再び相見えん

モンスターハンターライズが発売され、早2ヶ月が過ぎた。
おかげさまで、退屈だった私の毎日は、モンスターを狩りに行くハンターとして活気を取り戻していった。
仕事もある中で息抜きがてらやるハンター生活は、実にゆっくりとした成長スピードで進んでいる。
そんなスローペースでありながらも、ソロ討伐もすんなりと熟せるのは、それなりの経験の積み重ねの賜物だろう。

強敵の出現というのは、実に心を躍らせる。
少年

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僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。

僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。

僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。
気づかぬ間に、声もなく、音もなく。

僕らの価値は、目に見えぬ形で出現する。
それは蝉を捕まえて喜ぶ少年の心だったり、目と目が合っただけでドキリと揺れてしまう初心な恋心であったり、変声期の前の透き通った少年の声であったり。

僕らの価値は、宝石にも劣らない輝きを持ち、様々な可能性の光を反射させているのにも関わらず、当の本人はそれに気づくことが出来ない。

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レシピ本は宝の地図である

レシピ本は宝の地図である


『あなたはレシピ本を何冊持っていますか?』

ほとんどの人がこの質問に、「持っていない」と答えるだろう。
逆に、ごく少数の人が、『十何冊持っています!』と誇らしげに答えることもある。

世の中には数々のレシピ本が存在する。
その出版数も毎年右肩上がりに伸び始め、レシピ本の需要の高さが伺えることからも、あなたの知らないところでレシピ本というのは買われ続けているのだ。

レシピ本としてイメージするの

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今日も私は飴を噛む。

今日も私は飴を噛む。

ガリ、ガリガリ。
飴を噛む瞬間、私はいつも奥歯を噛みしめる。
粉々となった飴は口の中で散乱し、シャリシャリとした触感へと変わり、そして跡形もなく溶けていった。
もう一粒、私は飴を口へと放り込む。
先ほどと同じく、私は奥歯で飴を噛み砕き、欠片を飲んだ。

「飴は舐めるものだよ」
そんな言葉をよく言い聞かされた。
私だって飴は舐めるものだということぐらい知っている。
最初の一粒は自分でも舐めることを意

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真夜中の読書感想文

真夜中の読書感想文

久しぶりに読書感想文を書いた。
それは、私の大切な友人に宛てたものだ。

書き方など覚えていなかったが、とにかく私は読んだ本の感想を伝えるべく、必死になって書いていた。
夜の10時から書き始め、書き終えた頃には、気がつけば夜中の3時になっていた。
6000文字、原稿用紙にすれば15枚分にも相当する。
私は書き終えた後、安堵の息を漏らしたと同時に、不安の震えを感じていた。

私は小学生の頃、夏休みの

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