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いつかのハンターは、再び相見えん

モンスターハンターライズが発売され、早2ヶ月が過ぎた。
おかげさまで、退屈だった私の毎日は、モンスターを狩りに行くハンターとして活気を取り戻していった。
仕事もある中で息抜きがてらやるハンター生活は、実にゆっくりとした成長スピードで進んでいる。
そんなスローペースでありながらも、ソロ討伐もすんなりと熟せるのは、それなりの経験の積み重ねの賜物だろう。

強敵の出現というのは、実に心を躍らせる。
少年の心に灯をともし、どうにかしてこの強敵を討伐してやろうと躍起になる。

刀を振るい、攻撃を避ける。
時に瀕死になりながらも、回復薬を飲んで、また刀を振るう。
討伐することだけを宿命づけられたかのようなその生き様は、なんと不器用な人間なんだろうか。

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私がモンハンと出会ったのは中学2年生の頃であった。
当時は2ndが発売されたころで、友人とPSPを持ち寄り、マックでよく狩りを行ったものだ。
朝集合、夕方解散なんて当たり前。
私のプレイ時間はゆうに700時間を超えていた。(2ndGでも600時間になっていたのはまた後の話)

あれから十数年が経った。
かつての友人たちは社会人となり、日々仕事に明け暮れている。
それでも、モンハンの熱というのは冷めていないようで、休日にオンラインで集合してはモンスターを狩っている。

あの頃の幼きハンターは、また一つ大人になって狩りへと出向いた。
馬鹿みたいに笑いあい、連携なんてあってないような攻撃を加え、愚痴や不満をぶつけるようにモンスターへと突撃して行く。
体が成長し、歳を重ねようとも、モンスターハンターは色褪せることない青春をもう一度楽しませてくれる。
そんなサプライズに、今まさに私は熱狂している。

現実社会も、正論という武器で勝った負けたが決まるならどれだけ楽だろうか。
この世界は不幸にも、そんな都合の良く物事は決まらない。
理不尽がまかり通り、耐えがたい痛みも笑顔で返さなければいけない時だってある。
回復薬なんてものはないから、ぎりぎりで生き永らえなきゃならないことだってある。

現実社会は、誰にだって等しく冷酷で、苦悩に満ちている。
だからこそ、私たちには何か熱狂できるものが必要なのだ。
熱狂はいつだって、私たちを救ってくれる。
熱狂は逆境を覆す力を持っていのだ。

さぁ、武器を持て。
強敵に立ち向かえ。
忘れかけた狩猟本能を呼び覚ませ。

いざ行かん、戦場へ。
『―――気焔万丈』

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静 霧一/小説
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