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私たち4人はこの公園のこの場所でよく遊び、よく語り、たまに喧嘩をして育ってきた。 社会…
康広は子供の頃からでかい。最初に間近で見た時は本当に大木が服をきているのかと思ったほど…
『仁美』 この場所に一人で通うようになってどれくらいが経つだろう。ここへ来たところ…
「具合悪いの? 保健室行く?」 優しい声だった。学校で聞くあたしへ対する初めての優しい声…
三限目の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと、皆は散り散りに自分の席へ戻っていった。そし…
『陽太』 最後に見たのはうんこだった。 昨日オレは洋子の婚約祝いで昼間から酒を呑ん…
「こんな住宅地に森?」 ただ木々と、その隙間を 埋め尽くす雑草だけの世界に見える。まるで植物以外の進入を拒むかのようだった。雑草の密度が少ない部分から奥へと足を踏み入れた。 獣道だろうか。人1人分の幅くらい、両端の長い雑草がアーチになっていてトンネルのように奥へ続いていた。暗くなり始めている空と、全く人の気配がないその公園の雰囲気に気圧されてしまいトンネル中腹から足を踏み出せなくなった。 別に怖気づいたのではない。 オレは、こうゆう時の相棒に助けを求めるために公園入
『潤』 大学へ入ってから、特に親しい友人も作らないまま半月程経っていた。 …
彼女はよくパスタを作ってくれた。 インスタントスープをうまいこと味付けに使っていたので…
『穴』 辺りは淡い暗闇に沈んでいる。雲のない空から降る満月からの光は、頼り無くでは…
「二人共仲のいい兄弟みたいで見てて楽しいって洋子が言ってました。葬式の時にはこうしてお話…
それからどれくらいの時間が流れただろうか。 村山は穴の壁を調べている。そして不機嫌そう…
「いたいよぅ」 やがて陽太は少し落ち着きを取り戻したようだったが、紫色の指の形をした痣か…
『康広』 今思えば、俺たちはいつも桜の木と会話していた。会話といっても、たまに陽太や洋子がふざけて桜の台詞を勝手に代弁するので、それに対して返答したりする程度だったが。そんな遊びの中での会話だが、俺は本当に会話している気になっていた。不思議と一度も『木』として接した記憶はなかった。どこか気持ちの通じ合う『友達』みたいな感覚で接していた。それは他の三人も同じだと思う。 その日俺は、楽しくもない博打で大負けして、やけ酒を飲み家へ帰ろうとした。 帰る途中、駅前の花屋