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かわなべひろき
2022年8月18日 19:19
初盆を迎えた親戚の住む町へと出かけることになった。高速を使って約1時間半の道のりを、父の運転で行くことになっていた。肺を病んでいる父は、まともに100メートルも歩けない。喘息のヘビーなやつみたいな感じで少し動くだけで、呼吸が苦しくなる。でも、車の運転は好きだから出発前に「大丈夫だ、オレが運転するから」と、まったく大丈夫じゃ無さそうな顔色で言っていた。実は、この日に先立つこと数日、母が話
2022年7月22日 22:39
畑に行った。車で出かけるんだけど、山の斜面に畑の駐車場があるものだからなんと言うかこう、停めにくいって言うのかな。うん、停めにくいの。その停めにくい駐車場に車を入れまして、いよいよ降りる段になって、ゲリラ豪雨。「畑?行かせねぇよ」って、言ってるじゃん空。意地悪じゃん空。畑を目前にして、車内で待つほかないこの状況。思い出したことがある。予報では先3日間雨が降らないとのことだったから、そ
2022年5月22日 17:58
歳月の過ぎるスピードの早いのなんの。特に何もしない間にもう5月の暮れが見え始めている。いや…、生活をつぶさに見返してみれば何もしていないことはないな。仕事をし、絵を描き、曲をつくり、畑をし、なんともうきゅうりが収穫できた。ささやかではあれ豊かに生きているじゃないか。ナイス。先日、畑に行ったら土地の管理人Aさんともう1人女性が作業をしていた。「あ、どうもかわなべといいます」と軽く自己紹
2022年5月11日 21:10
夕暮れ時の藍色に染まる路地のあちこちで、居酒屋の店先に暖簾がかかり、赤提灯が灯り始めた。最近買った自転車で嫁さんと出かけた帰り道に、「焼き鳥食べたいね」と寄った焼き鳥屋。名前を「鳥武蔵」という。カウンター数席とテーブル2席だけの小ぢんまりした店内に入ると、見た目アラフィフの男性が2人で切り盛りしている様子だった。勝手に名前をつけるなら、テツオさんとトシロウさん、といった風情の2人だった。
2022年5月1日 16:44
本のページを開いて2行くらい読むと、もう眠くなっている。どうしてこんなに眠いのか。春のせい、雨のせい、はたまた歳のせいにして、自分の眠気をあきらめてしまって、一向に進まない読書。今、禅に関する本を読んでいる。仏教の禅。鈴木大拙っていう、そっちの方では知らない人はいないスーパー偉人が書いた本なんだけど、いかんせん2行読んだら眠くなるありさまなので、亀どころか、なめくじの歩行速度で読み進めてい
2022年4月11日 10:05
ざあざあ降りの雨が窓の外で音を立てている。タイヤが水を跳ねる音が重なって聞こえてくる。まあまあの交通量がある通り沿いに住んでいるので、たとえ小降りの雨でもタイヤの音で「あ、今日は雨か」と気づく時がよくある。先月から畑を始めたことで、天気予報を気にするようになった。本当は毎日水をあげにいかなきゃなんだけど、なかなか時間的に厳しい部分もあり、とは言えサボってばかりだと野菜が「いや、むっちゃ乾か
2022年4月10日 07:27
人と会話していると、結局何を言いたいのか分からない人がいたり、難しい言葉を多用する人がいたり、簡単な言葉でとてもわかりやすい人がいたりと、いろいろ。いつも、それって部屋みたいだなと思う。口に出す言葉(書く文章にも)には、その人の頭の中の「ありよう」が割とそのまま映る。気持ちや思考はウソでごまかせても、「ありよう」はそうはいかない。話があっちへこっちへ行ったり来たりでよくわからない人の頭の中
2022年4月8日 17:50
普段からなるべく歩くように心がけている。通勤は片道30分の道のりを往復。これだけでも1日1時間は歩いたことになる。それだけじゃ大して歩いたことにはならないかもしれないけど、やらないよりはマシと毎日最低限それくらいは歩く。35歳頃からだったかな。健康的であることは、単に元気で素晴らしいだけでなく、「とても美しいこと」だ、と感じるようになった。毎日を能動的に物事や人にはたらきかけ、それでいて
2022年4月5日 11:36
近所の川沿いの桜も盛りを過ぎ、梢には葉が目立つようになってきた。どちらかと言えば、花の淡いピンクより、萌え出たばかりの葉が見せる新緑のほうが好きだったりする。あの瑞々しさ、煌びやかさ、柔らかさ、そしてほのかな透明感。木陰でグリーンを孕んだ光線を浴びて「うぉぉ、マイナスイオン〜」と、勝手に感じ入ってみる。この場合、実際マイナスイオンがあるかどうかはどちらでもいい。僕が感じたなら、それはも
2022年3月23日 12:37
雨が降っている。こんなにまとまった量の雨はいつぶりだろうか…。思い返してみるけど最近の天気のことを覚えてるはずもなく、「まぁたぶん久々だよな」と無理やり結論づけてみる。雨の湿気で前髪がうねることに、猛烈なストレスを抱えていた10代の頃。学校に行く前にアイロンで整えるも、玄関を出た瞬間から発動する天パ。「何の呪いやねん」と、自分の天パを憂えた過去があったが、歳月とは不思議なものであれから
2022年3月10日 11:21
ここは地方都市の市民農園。今、1日のうちで1番高い位置にある太陽が降り注いでいる。初めて扱う耕運機を傍らに、リュックのサイドポケットに突っ込んだ水筒を取り出すと、グビっと勢いよく喉へ流し込む。中身は水道水だが、畑仕事の充実感はそれさえ「うんまぁ!!」と感じさせてくれる。誰かが「料理を1番美味しくするスパイスは空腹なんだよ」と言っていたのを思い出す。「あんた、初めてにしてはなかなかうまいわ
2022年2月13日 11:56
夜ふかしをしても僕にはいいことなんて1つもないなと、この頃よく思う。考え事は陰鬱な色を帯びるし、楽しいアイデアのひとつも思い浮かばない。ふと時計を見ると22時。何をしていたのかわからない僕の片手には、スマホが握られていた。朝5時に布団を出るのを見越して、4:30にアラームをかけている。起きてすぐ布団を出るんじゃなく、30分くらい毛布にくるまってダラダラまどろみたい。その時間が僕は大好きで
2022年1月31日 16:26
先日Twitterをアホみたいな顔で見ていると、昭和53年の地元の風景写真がタイムラインに現れた。つまり、43年前の風景写真。毎日のように通勤で通る駅前、当時は高い建物がほとんどない。埃っぽい空気を感じるのは、写真の質感によるものだろうか。駅舎も今と全く違っていてまだ1月でありながら、「昭和オブジイヤー」にノミネートまちがい無しの風情だ。そして今日、休日の散歩に出かけてみた。駅前の信号を
2022年1月30日 14:41
新渡戸稲造の書いた武士道を読んでいたら、「古くから日本人にとって、耐え忍ぶことが美徳とされている」的なことが書いてあった。そうかぁ、いやぁしかし僕には忍耐力がまったく無いなぁ。僕はもう美徳なくていいっス。新戸部さん、これからも5000円札でお世話になります、チス、と思った。そんな僕にも、世の中的に耐え忍ぶことが美徳とされていることはなんとなく分かるし、一向に構わないけど、社会や世間が個人に