最近の記事

腹いせの償い④

 適塾の見学を終えた私は外に出た。そろそろ昼飯時だ。だが、暑さと疲労で食欲がない。何時間もぶっ続けで電車に揺られて、体がふらついている。近くの中華料理店を覗いたが、もっと軽いものにすることにした。  再び御堂筋線に乗り、目的地である天王寺に向かう。近くに蕎麦屋があったので、月見そばを食べた。美味い蕎麦だったが、ざるそばにしておけばよかった。汗が止まらない。食事のあと、デパートのトイレで洗面と歯磨きを終え、面接に向かった。いつもなら必ずといっていいほど緊張するのだが、今回は疲

    • ビスコ

       先日、また転職活動で大阪に行った。  我ながら節操がないというか、日帰りできる範囲なら呼ばれればどこにでも行く。以前は、宿泊ありの転職活動をやっていたが、さすがに財政面が厳しくなった。金がないと、何もできない。  早朝、鉄道で大阪に向かい、面接及び市内の移動時間合わせて1時間の大阪市内滞在ののち、早々に引き上げた。1時間のための移動時間は、往復で10時間を超える。いつもながら、何やってるんだろう、と遠い目をしたくなる。  今回、途中の乗り換え駅で30分ほど待つことになった

      • VーCATを受けてみた

         やっと気持ちの整理がついたので、とどめに今年の春に受けた適性検査について書いてみたい。ある企業に応募して、書類選考を通過できた。次は適性検査があるとのことだった。適性検査は、昨年あたりからいくつか受験している。またいつものように終業後のくたびれた頭で問題を解くのか、と思っていたが、案内のメールの文面にVーCATという文字があった。そして検査用紙が郵送で送られてきた。  とりあえず、VーCATについて調べてみたところ、内田クレペリン検査のような形で隣り合う数字を足し合わせる

        • 腹いせの償い③

           電車が大阪に到着したので、地下鉄に乗り換える。適塾の最寄りの駅である淀屋橋で降り、地図を見ながら辺りを歩く。周辺はオフィス街で、高層ビルが軒を連ねている。緑は街路樹だけだ。サラリーマンと思しきひとたちが目に付く。夏の日差しに加え、鞄が重く、スーツの上着が邪魔だ。江戸時代だったら、召し抱えの際は黒紋付に袴だったのだろうか。或いは裃か。どちらも着たことがないので、今と昔のどちらがよいかわからない。そんなことを考えているうちに適塾に着いた。  周辺のビルに囲まれたこの一角だけが

          腹いせの償い②

           電車を降りた私は、まず朝食を調達することにした。駅の構内に立ち食いそばがあり、のれんが出ていたので入ろうとしたところ、鍵がかかっていた。中にいた店員さんに首を横に振られる。まだ開店前らしい。仕方がないので、一旦駅から出て、近くのコンビニでサンドイッチとカニカマ、ドーナツを買った。目についた本も買った。支出が嵩むばかりだ。  次に乗る電車がやってきたので、乗り込んだが、満席でしばらく立つはめになった。幸い、駅を通過するごとに乗客が減り、近くの座席に腰を下ろすことができた。ま

          腹いせの償い②

          腹いせの償い①

           自分でも悪いことだとわかっているが、止められないことのひとつに腹いせによる転職活動がある。会社でいつものように困難事案を押し付けられたり、お前は機能して機能していないなどとあげつらわれたりすると、自室に帰ってから衝動的に仕事を探し、経験を生かせそうな案件に応募してしまう。そもそも年齢が年齢だし、履歴書や職務経歴書のバージョンアップもしないままの応募なので、ほぼ無駄な行いだ。  ところが、先日、こうした衝動的に応募した求人のひとつが書類審査を通過したとの知らせが入った。今の

          腹いせの償い①

          転職活動記②

           先日、某所で面接を受けた。適性検査やSPI、WEB面接を経ての最終面接という位置づけだった。しかし、数日前からの不眠と、今の会社の(年中)繁忙期とぶつかり、朝起きた時点でへとへとだった。しかし、今の私に選考を辞退するという選択肢はない。身支度を整え、駅に向かった。  駅から、応募先の某社までは鉄道で2時間半かかる。当初の予定では、車中で休養するつもりだった。しかし、ここでも眠れない。ようやくうとうとしかけると、隣席の乗客の移動により起こされた。  駅から歩いて某社に向かう

          転職活動記②

          書店とジムとプール

           10年ほど前、今住んでいる町にも大型の書店があった。退社後、誰もいない部屋に帰る前の気分転換としてよく立ち寄っていた。店内をうろつき、本や雑誌を立ち読みしたり、本を買っていた。今思うと、たとえわずかな時間であっても、本を手に取ったり、発刊日を調べたりするのはいい時間だった。当時も仕事でストレスを溜め込むことが多かったが、書店ではそうした悩みを忘れていたように思う。自動ドアから一歩店内に入り、ふうっと息をつくと、滞在することに違和感を感じずに済む場所だと思えた。  当時、私

          書店とジムとプール

          気になる人たち

           今、会社の命令により時差出勤をしている。朝6時からの勤務なので、夕方15時前に終業時刻となる。しかし、残念ながら、就労環境がブラックなので、19時くらいまで働いているのが現実だ。朝が早いと、それ以上働くと体がきつくなるので、足らない分は休日出勤で補わざるを得ない。  早朝から働くことのメリットとしては、静かな時間に集中して働くことができることだ。オフィスなんて恰好のいい言葉は似合わないプレハブの事務室は誰もいない。私に罵詈雑言を浴びせるあいつや、何の根拠もない理解不能な自己

          気になる人たち

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ④

          8 ドムドーラ  あくまで楽に勝ちたいということで、レベル上げをしながらドムドーラに向かう。大陸南端でメタルスライムを狙うも、逃げられたり、攻撃が当たらなかったりとなかなか倒すことができない。たまたま会心の一撃が出て倒すことができたが、思っていたよりも経験値は多くもらえなかった。メタル狩りが経験値稼ぎにおいて効果を発揮するのは、ドラクエ2からなのかもしれない。ドムドーラに入る。中は暗澹たるさまだ。独の沼地が多く、人の気配はない。歩いているとモンスターが出現する。ドラゴンとは初

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ④

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ③

          5 泥棒稼業  鍵を入手したので、ラダトームやガライの宝箱を漁り、ゴールドを稼ぎつつ太陽の石を入手する。ガライの洞窟にも潜ってみたが、途中で死霊の騎士に殺されかけて慌てて逃げだした。強敵からトンズラするのがひとつのパターンになりつつある気がする。再度リムルダール地方に戻り、南下した後、ほこらの周りをうろつく。ほこらに入ったら一喝されて追い出された。そんなにすげなくしなくてもいいじゃないか。こっちは国を代表してワンオペで戦っているというのに。謎解きにしても、情報の集約くらいはし

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ③

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ②

          3 レベル上げとゴールド稼ぎ  再び外へ出て、ゴールドを稼ぐ。このゲームのおかしいところは、敵が竜王軍として、組織的に勇者を潰しにかかっているにもかかわらず、人間側でそれに立ち向かっているのが勇者ひとりだということだ。何で個人対応させるかね。ゴーレムを作れるのだったら、ゴーレムにも戦ってもらおうよ。ドラゴンとゴーレムならいい勝負するんじゃないかな。あと、国の存亡がかかっているのなら、たけざおじゃなく、最初から炎の剣をよこせよ。勇者ロトの血を引いていないから、非力な人間に戦えと

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ②

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ①

          きっかけ  以下は令和5年12月末のできごとだ。 年末にかけて、ドラクエシリーズを安価でプレイできるとのネット記事を見た。私は慌ただしい日々を送っている。決算を取締役会にかけた後、予算編成やって、社内規則改定やって、採用にもタッチして、何が何だかわからないまま放置されている。仕事という輩に囲まれてフルボッコにされているようなものだ。その環境に嫌気が差した挙句、転職活動もやっている。加えて資格取得にも取り組まなければならないし、眠れない睡眠時間を確保するだけで手一杯だ。なのに、

          スマホ版 ドラクエ1プレイ日記 ①

          立ち直り

           コロナ感染からの立ち直りがいまひとつ思わしくない。  人と話すと咳が出るのは仕方がないとして、困っているのは気力が戻らないことだ。元からこんな感じだったか、と訝しく思うほど力が入らない。退社後、自室に戻り、食事と入浴を済ますとあっさり寝落ちしてしまう。そのせいで、買っておいた夜食が手つかずで残っている。  感染前は、働いて、残業して、休日出勤して、転職活動して、資格の勉強もして、という日常だった。それが一旦全てキャンセルされた。全くのゼロだ。別にやりたくてやっていたわけで

          悪意

           今を遡ること10年前まで、私は人に対して悪意を持つことが少なかった。逆に、人から悪意を向けられないように立ち回って生きてきた。そうした生き方は、決して心弾むものではない。予想される展開を想定し、いかに円満に解決させるかに心を砕く。善意という名を借りて、本来人がやるべき作業を片付けていく。その結果、表立って人から悪意を向けられることはなかったが、次第に自分自身が虚ろな存在になっていった。今でも、そのころの金曜日に自室に戻ったときのことを覚えている。土日の食料を廊下に下ろしなが

          コロナウイルス感染記③

           これで最後。  6日目、深夜目覚めると、熱が引くと同時に喉の痛みもなくなっていた。前日までの痛めつけられかたが嘘のようだ。この回復具合は、無理やり着せられた呪いの鎧を教会で外されたかのようだった。それぐらい急な回復だった。寝たきり状態だったから、体の筋肉が落ちていることがわかる。咳と痰だけは続いていて、時折、激しくせき込む。  起き上がり、部屋を片付けはじめる。辺りに散乱しているペットボトルや、食べ物の包装紙を処分すると、すこしすっきりした。あとはしっかり回復してからだ。

          コロナウイルス感染記③