転職活動記②

 先日、某所で面接を受けた。適性検査やSPI、WEB面接を経ての最終面接という位置づけだった。しかし、数日前からの不眠と、今の会社の(年中)繁忙期とぶつかり、朝起きた時点でへとへとだった。しかし、今の私に選考を辞退するという選択肢はない。身支度を整え、駅に向かった。
 駅から、応募先の某社までは鉄道で2時間半かかる。当初の予定では、車中で休養するつもりだった。しかし、ここでも眠れない。ようやくうとうとしかけると、隣席の乗客の移動により起こされた。

 駅から歩いて某社に向かう。夏の日差しに照らされるだけで体力が奪われる。途中、空腹をおぼえたので、コンビニでパンを買い、店の前で齧った。数十年前の新卒の時もこんな感じだったし、もうちょっとだけ最近の数十年前の転職活動時もこんなだった。中身が同じだと、行動はそれほど変わらない。しんどいことをするときは、だいたいいつも力技頼りになってしまう。スマートにこなせた試しがない。

 それでも受付前に洗顔を済ませ、ある程度だが、整った雰囲気を取り繕った。受付の際、ちらりと応募者の名簿が見えたが、10人ほどが呼ばれていることがわかった。採用予定数は1名だ。ここから勝ち抜くことは至難の業らしい。その時点で力が抜けた。今回は、面接前に労働条件の説明など、軽いヒアリングがあった。朝から人とほとんど話していないので、こうした機会があるのはありがたい。担当の方と話していると、「先日の面接の評価はかなり高いようでした。ぜひ、今日も頑張ってください」と言われる。自分より一回り若い女性にそう言われると悪い気はしない。それと同時にその高い評価は今日の面接であっさり崩れ去るだろうと思った。万一、採用されたら、全力で仕事を進めるため努力するけど、苦手な面接前にそんなことを言われると却ってプレッシャーになる。担当者としては良かれと思っての発言だと思うが、私としては持ち上げられた後、地面に叩きつけられる絵しか浮かばない。

 肝心の面接はというと、何とか某社の望む人材に近づける努力をしようとはしたものの、やはり無理だった。WEB面接でも正直に話したつもりだが、何か誤解を招いたのかもしれない。後日、あっさりとした文面のお祈り文書が届いた。ただ地面に叩きつけられるよりも、持ち上げられた後だと期待感という名の高度があるだけ、痛みが大きい。何度味わっても、期待の後のお祈り文書は血の気が引く。一体いつまで続くのか。転職活動を止めるという選択肢がない以上、生きている限り永遠に続くのかもしれない。


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