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ショートエッセイ集

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【ヤバい躁病エピソード③】エルメスのハンカチおばあさんの話。

【ヤバい躁病エピソード③】エルメスのハンカチおばあさんの話。

地下街にある、とある喫茶店でお茶をしていたら、隣のテーブルで電話している老婆が気になりました。

どうやら、友達と会う約束が取り付けられなかったみたいで電話を切ったあと寂しそうにしていたのと、髪飾りがシャネル?のバレッタのようで気になって、

「オシャレなバレッタですね!」とついうっかり話しかけてしまいました…

老婆は喜んで、そうなの!いいでしょ〜と話が弾んでしまい、今日は孫とカラオケに行くから

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【ヤバい躁病エピソード②】占い千円男の話。

【ヤバい躁病エピソード②】占い千円男の話。

2013年のとある夏の夜、商店街を歩いていたら、
「占い千円」と書かれた札の横に男が座っていました。

あ、こんなところに占い師!珍しい!

そう思ったリカちゃん(躁状態のわたし)は
男に近づいて行きました。

占いをして欲しくて近づいたのではありません。

こんな人通りの少ない夜の商店街に、
ポツンと一人で座ってる占い千円男が不思議で
興味が湧いたのです。

占い千円男はスガワラと名乗り、今日占

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ヤバい躁病エピソード、の話。

ヤバい躁病エピソード、の話。

過去2013年、2018年と、5年おきにあの子が現れました。

あの子の名前をわたしは「リカちゃん」と名付けました。

リカちゃん人形みたいに細く痩せて
目がキラキラしてくるからです。
声のトーンも高めになります。

あの子と言っても、わたしであることに間違いないのですが、躁状態の時はそのくらい別人になってしまいます。

前回、気が大きくなって散財してしまった話を書きました。

やらかしたことは、

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ショートエッセイ#11【幼い】

ショートエッセイ#11【幼い】

先日、新人の頃に担当して以来のお客様に入ることになった。

首肩がものすごく硬くて、新人の頃に「思いっきりやって!」と言われたことがずっと記憶にあったのでとても緊張してしまった。

「私、〇〇さんを担当するのすごく久しぶりなんですが、よろしくお願いします」

「あら!ほんと久しぶりね!あの頃新人さんだったものね」

「はい、もう5年目なのですが、今日はしっかりほぐしていきますね」

「もう5年も経

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ショートエッセイ#10【さよならリカちゃん】

ショートエッセイ#10【さよならリカちゃん】

躁状態の後には、うつ状態が待っている。

今思い出しても、2013年の冬が今までのうつ状態の中で一番最悪な日々だった。

ベッドからは起き上がれず、最低限トイレに行くのがやっと(本当は行きたくないほど)

ご飯を食べる気力もなく、お風呂に入ることもできず、しばらく寝たきり状態になった。

躁状態の時に散財したクレジットカードの請求書の山を見て一気に急降下してしまったのだ。

親には言えなかったし、

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ショートエッセイ#9【撮影】

ショートエッセイ#9【撮影】

それは躁状態が最も酷かった2013年の夏の話である。

仕事は勢いでとっくに辞めて無職になっていた。

チャッ〇レディをやったり、ガールズバーでバイトをしたりしてその日暮らしをしていたのだ。

そんな中、なぜか急にセクシー女優になりたいと思いついた。

躁の症状の一つに「性的逸脱行為」というものがある。

もしかするとその症状のせいなのかもしれない。

当時の私の容姿は体重45キロ、身長168セン

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ショートエッセイ#8【コンプレックス】

ショートエッセイ#8【コンプレックス】

私は、昔から背が高いのがコンプレックスだった。

そのせいで猫背にもなった。

中学の学校祭でオクラホマミキサーを踊るとき、男子と踊るのが嫌だった。

身長170センチ前後の男子と並んで歩くのが少し苦手だ。

肩が並んで大きな自分を感じられて、なんとなく申し訳ない気持ちになるのである。

身長の低い女子に「背が高くていいな〜」と羨ましがられるのも嫌だった。

あげられるものなら、こんな身長くれてや

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ショートエッセイ#7【寛解】

ショートエッセイ#7【寛解】

私の持病は双極性障害(躁うつ病)という精神疾患である。

37歳の時に罹患した。

それからもう9年。

病状は今のところ落ち着いているが、

薬を毎日欠かさず飲んでいても、元気がある時とない時がある。

元気がある時は仕事がとても楽しい。

元気がない時は、職場に着いた瞬間帰りたくなる。

そんな時、私の脳は一体どうなっているのだろうか。

罹患する前の普通の状態がどんな状態だったのか思い出せな

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ショートエッセイ#6【焼肉】

ショートエッセイ#6【焼肉】

そのお客様を担当したのは、今のサロンで仕事をするようになって一年ほど経った頃だった。

ガリガリに痩せ細った身体が痛々しく、元気がないご様子。

今日はどちらがお疲れですか?と話しかけると、ご主人が癌で亡くなられてから、何も食べられなくなってしまったと話してくれた。

10代の頃から付き合ってきたご主人が末期の癌で余命半年と言われたときのこと。

延命のための抗癌剤治療はしないと決め、結果亡くなら

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ショートエッセイ#5【ネガティブ】

ショートエッセイ#5【ネガティブ】

僕はネガティブな人が嫌い。

人の悪口を言ったりしない。

だから僕と同じように人の悪口を言わない人と付き合いたい。

どんな人がタイプですかと質問したら返ってきた答え。

私だって人の悪口を言うのは嫌だ。

でも、マイナスに物事を捉えがちである。

だから言ってしまった。

不安からくる不満をぶちまけてしまった。

その人が最後に言ったセリフ「ごめん、ムリ」

あれからもう1年経つ。

いまだに

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ショートエッセイ#4【本部長】

ショートエッセイ#4【本部長】

そのデザイン会社に入ったのは、東京から戻って来てすぐの頃だった。

社員数10名にも満たない小さな会社なのに、上司は『本部長』と皆に呼ばせていた。

昔バリバリのヤンキーでバンドをやっていたと自慢する、見た目は見るからに昔ヤンチャしてそうなコワモテ。

入社してすぐに、この会社は長く続かないなと思った。

まず、朝の挨拶の声の大きさで怒られる。
普通の音量では小さいと怒鳴られるのだ。

皆、おはよ

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ショートエッセイ#3【鼻血】

ショートエッセイ#3【鼻血】

三十歳の頃、町のスーパーの中に入っているケーキ屋さんで売り子のアルバイトをしていた。

基本的に店頭にはひとりで立っていた。
普段は暇な店なので、スーパーに訪れる客をぼーっと眺めながら店番をしていたのだが、たまに珍客が来ることがあった。

ある日、店の中に小さな女の子が迷い込んできた。顔をよく見たら、鼻血を流している!

「ここに入ってきたらダメだよ〜?お母さんは??」

「おかーさんは家で寝てる

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ショートエッセイ#2【焼きそば事件】

ショートエッセイ#2【焼きそば事件】

20代の頃、7年付き合った元彼の話で忘れられない出来事がある。二人の運命を変えることになった『焼きそば事件』だ。

焼きそばは焼きそばでも『ホンコンやきそば』である。

みなさんご存知のエスビー食品から発売されている袋入りインスタント焼きそばなのだけど、私はこの焼きそばが苦手だった。

一緒に暮らしていた彼にとっては大好物のようで、よくフライパンでジュージューと音をさせながら焼いていた。

それは

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ショートエッセイ#1【メガネ男子】

ショートエッセイ#1【メガネ男子】

その昔、私はとあるコールセンターの会社に勤めていた。いくつもの部署が大きなフロアをシェアしていて、別部署の人たちと顔を合わせることがよくあったのだ。

そこに背が高くてスラッとした眼鏡の私好みのイケメンリーダーが居た。

俳優で例えると、トイレの洗剤のCMに出ていた眼鏡をかけた平岡祐太にそっくりである。

たまにコピー室で一緒になると、もう息ができないくらい緊張した。
しかし、他部署のリーダーには

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