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ショートショート:インビジブルハンマー
東京某所
「麻理…麻理…あああぁぁ!」
「麻理…どうして…」
宙に浮いた娘の足元で泣き崩れる母親と、その母親を抱きしめる父親。
「娘が首を吊っている」
そう通報を受け、駆けつけたのが10分後。
慎重に体を下ろし、状態を確認する。
脈はなく、瞳孔は開いていた。
死んでいる。
死亡した女性は斉藤麻理、18歳。
遺族や友人に聴取したところ、明るい性格で男女問わず人気者だったという。
学校に通いながら
ショートショート:応援
7月。
厳しい陽射しが照りつける日曜日。
こんな暑い日は、クーラーの効いた部屋で冷たいアイスコーヒーを飲む。
ボトルではなく、水出しのコーヒーだ。
場所は、L字型ソファーの1番右端。
ここが1番テレビが見やすい、僕の特等席だ。
この完璧な空間を整えて日常の喧騒から離れ、のんびりと映画を見て過ごす。
これが僕の休日の楽しみだ。
しかし、今日はそうもいかないみたいだ。
「もう少しでなっつやっすみ〜!
ショートショート:予兆
僕の彼女はとても可愛い。
顔が小さくて目はくりくりしていて、スタイルもいい。
まるでお人形さんの様だ。
そんな彼女と付き合って早くも5年が経った。
相変わらず僕は彼女の事が大好きだ。
ハグもすればキスだってする。
でも、彼女はハグしても動かないし、キスしても何も感じない。
まるで人形の様だ。
あぁ、この感じ、懐かしいな。
元カノと別れる直前と一緒だ。
ショートショート:3人の賢者
「これでよし!」
クリスマスまで残り1週間を切った。
やっと欲しい物が決まった僕は、サンタさんへ手紙を書いた。
ルンルン気分で玄関に手紙を置くと、同時に父ちゃんが帰ってきた。
「ただいまーっと」
「おかえり父ちゃん!」
「お、なんだこれ?」
「サンタさんへのお手紙だよ!」
「スーパーファミコンとマリオのカセットか。これはちょっと欲張りすぎじゃねぇか?」
「そんな事ないよ!僕、今年いい子にしてたも
ショートショート:心
「ママ、心ってなぁに?」
「見たい?」
「うん」
「じゃあこれ持って」
「お皿?」
「そう。それを落としてみて」
パリンッ
「お皿にごめんなさい言ってみて?」
「ごめんなさい」
「お皿は元通りになった?」
「ううん」
「これが心よ」
ショートショート:思い出
「別れよう」
彼女から放たれたその一言で、3年間にわたる僕らの関係に終止符が打たれた。
大学に入学してすぐ出来た彼女。
大好きだった。
止めたかった。
でも出来なかった。
電話越しにごめんなさいと泣く彼女の声を聞いて、彼女を幸せにできる男は僕ではない事を悟った。
電話を終えた後、僕も泣いた。
ひたすらに。
それから酒を飲んだ。
浴びるように。
そして眠った。
泥のように。
翌朝、スマホの画面を
ショートショート:秋の夕日に照らされて
僕は今、とても悪い事をしている。
学級委員を務める僕が、こんな事をしてもいいのだろうか。
いや、良いはずがない。
本来なら降りろと言うべきだし、そもそも乗せる前から強く拒否するべきだった。
「ねぇ、もっとスピード出せないの?」
後ろで横向きに座ったまま優が言った。
「馬鹿言え!2人乗りは慣れてないんだよ。て言うか明日先生に何言われるか分かんないぞ」
「あはは!正門出る時にコラー!何やっとるかー!