鬼の筆 橋本忍_春日太一 ・理不尽に始まり一番不条理なラストになる祖母の昔話。描き続けた「鬼の詩」 ・人生とは賽の河原の石積のようなもの→鬼が破壊するシジフォスの岩 ・「砂の器」は橋本自身の父親との宿命 ・「八甲田山」は戦友への鎮魂の想い ・原作者たちの生血を吸うやり方
「原作の中にいい素材があれば、あとは殺して捨ててしまう。血だけ欲しいんだよ。他はいらない。そうやって原作者たちの生血を吸っているわけだよな、僕の脚本は」――。 橋本忍 私の小説は、「何を書こう」ということが、たとえば道を歩いているときの一瞬のうちに決まる。池波正太郎