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読書感想文 鬼の筆戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

タイトル通り戦争から戻り日本映画の
隆盛期に活躍した文字通り
戦後最大の脚本家橋本忍へのインタビューと
関係者への聞き込み、
そのインタビュー連載も未完で死去した橋本の
残した膨大な創作ノートからなる評伝。
日本映画史に精通した著者の引き出す言葉が真実味を感じさせる。
が関係者の話と食い違う所もあり
戦中のドラマチックなエピソードも脚本家らしく
現実を捉え直しているように感じる。
自ら興した橋本プロダクションで制作した
「砂の器」
「八甲田山」
「幻の湖」
について深く掘り下げられていて
名脚本家でありながら時流を捉えるプロデューサー目線も持ち合わせており
それ故に砂の器、八甲田山をヒットさせ
幻の湖で自滅していくのを詳細に描かれ
若い頃に競輪に傾倒していたという橋本の気質と
映画興行は博打であるという当時の雰囲気を
感じさせられる。
もうなくなった映画秘宝に自分も昔読んだ橋本忍インタビューが
ここに結実してると思うと感慨深い。
書かれなかった判断をされた著者と橋本忍のエピソードが
どこかで書かれるのを楽しみに待ちたい。

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