bowlane

1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

最近の記事

いまさらだけど「20世紀少年」(その2)〜リアルな“架空の文化史“を楽しむ

(承前) 「20世紀少年」は、20世紀の終わりに世界征服のために動き出す悪の組織、それを主導する“ともだち“と、世界の平和のために立ち上がった9人の戦士との戦いを描く。そして、“ともだち“とは何ものなのか? このドラマは、過去と現在、そして未来を行き来しながら描かれる。 まず、この作品が連載されたのは1999年ー2006年、完結編「21世紀少年」が2007年。20世紀の終わりと21世紀の始まりという期間である。 マンガで描かれる時代は、大きく三つに分かれる。 主人公

    • いまさらだけど「20世紀少年」(その1)〜浦沢直樹は1960年生まれなので「サイボーグ009」

      浦沢直樹は1960年1月2日生まれ、私は1961年12月生まれなので1歳年長、2学年上である。これが“いまさら“の理由である。 彼のマンガ家デビューは1983年、初連載が1984年、私が就職した年である。つまり、私が大学を卒業し就職、結婚し子供ができた時期に、浦沢直樹はマンガ家として大きくなっていく。一方の私は、忙しさもありマンガからは一旦卒業せざるを得なくなっていく。 それ故、私は遅れて来た浦沢直樹の読み手となった。いまさらだけど「20世紀少年」を読んで、その感想を書い

      • 相倉久人「ー新書で入門ージャズの歴史」〜“大きな物語“を読む

        ルー・ドナルドソンを偲んで、アート・ブレイキーのアルバム「バードランドの夜」などについて書いていたら、“ジャズの歴史“をおさらいしたくなりました。 手頃な本がないかと検索していて引っかかったのが、相倉久人さんの「ー新書で入門ージャズの歴史」(新潮新書)です。相倉さんは、ジャズやロックの音楽評論を手がけた方で、2015年に83歳で逝去されています。かつては、その文章によく触れていた気がしますが、この「ジャズの歴史」は2007年に上梓されたもので、初読でした。 ジャズの起源、

        • 今日はめっちゃ短く〜こまつ座「太鼓たたいて笛ふいて」@紀伊國屋サザンシアター(予告編)

          今日はめっちゃ短くです。 紀伊國屋サザンシアターで上演されている、こまつ座の「太鼓たたいて笛ふいて」について。 11月30日まで上演されています。その後は、大阪等にもまわります。機会があったら是非観てください。日時によっては若干チケットがあるようです(当日券も出るかもしれません)。 本作については、また感想を書きたいのですが、感動のあまり戯曲(新潮文庫)を読み始めちゃいました。そんなことしていると、時間が経過してしまう。 とりあえず、東京公演が終わる前に、発信したかった

        • いまさらだけど「20世紀少年」(その2)〜リアルな“架空の文化史“を楽しむ

        • いまさらだけど「20世紀少年」(その1)〜浦沢直樹は1960年生まれなので「サイボーグ009」

        • 相倉久人「ー新書で入門ージャズの歴史」〜“大きな物語“を読む

        • 今日はめっちゃ短く〜こまつ座「太鼓たたいて笛ふいて」@紀伊國屋サザンシアター(予告編)

          新入幕の獅司と日本の“ママ“〜中日を終えた大相撲九州場所

          大相撲九州場所、中日を終えて折り返しとなった。28年ぶりの満員札止めだそうだ。九州場所は他の場所のように、チケットを安定的に販売してくれる相撲茶屋がないことが、札止めにならない要因とされている。それが、大の里というスター候補の台頭、元大関魁皇の浅香山親方始めとする協会の努力もあり、連日満員御礼。そのこともあってか、熱戦が多い印象だ。 中日(11月17日)現在、大関・琴桜と豊昇龍、平幕の隆の勝と阿武剋が1敗、大の里・尊富士らが2敗で追う展開と、なかなか面白い展開になっている。

          新入幕の獅司と日本の“ママ“〜中日を終えた大相撲九州場所

          手の中の音楽37と旅の記憶41〜サックス奏者ルー・ドナルドソンを偲んで

          アルト・サックス奏者、ルー・ドナルドソンの訃報が流れました。98歳の大往生です。 大学生になり、ジャズのレコードを聴き始めました。膨大な数のアルバムから、何を選ぶか。「(なぜか)やっぱり、ジョン・コルトレーンだろう」と、名作とされる「至上の愛」を買うのですが、ジャズ初心者には難しい。同じトレーンでも、「バラード」の方が耳に優しい。 その後は、「ジャズの名盤」といった本を頼りにしながら、少しずつレコードを集め始めたのですが、その中で気に入った1枚が、アート・ブレイキーの「バ

          手の中の音楽37と旅の記憶41〜サックス奏者ルー・ドナルドソンを偲んで

          シューベルト交響曲第5番&「未完成」〜スコットランド室内管弦楽団の新譜

          昨日の「冬の旅」に続いて、シューベルト(1797ー1828年)です。今回は新譜紹介および身内の宣伝です。 私の次女は、エジンバラを拠点とするスコットランド室内管弦楽団(Scottish Chamber Orchestra、以下SCO)でバイオリンを弾いていることは、これまでも何度か言及しています。 このほど、新しいCD・配信をリリースしました。シューベルトの交響曲第5番&第8番、指揮は首席指揮者のマキシム・エメリャニチェフです。 シューベルトの交響曲第5番変ロ長調は、作

          シューベルト交響曲第5番&「未完成」〜スコットランド室内管弦楽団の新譜

          シューベルト「冬の旅」の先は希望か絶望か〜マティアス・ゲルネ&マリア・ジョアン・ピリス

          2022年11月、テノールのマーク・パドモアが内田光子のピアノで、シューベルト「冬の旅」を歌った。これにいたく感動したと共に、萩尾望都の「ポーの一族」との関連性を感じ記事にした。 再び「冬の旅」を聴くチャンスが訪れた。11月2日、バリトンのマティアス・ゲルネ、ピアノがマリア・ジョアン・ピリス、会場はサントリーホールだった。 シューベルトは1797年に生まれ、1828年31歳という若さで逝去した。前年、同じウィーンに住むベートーヴェンが56歳で亡くなっている。 シューベル

          シューベルト「冬の旅」の先は希望か絶望か〜マティアス・ゲルネ&マリア・ジョアン・ピリス

          NFL知ったかぶり(2024年第10週 その2)〜接戦・激闘が続出した

          (承前) チーフスが勝ち切る強さを見せつける一方、不振が続く49ers。昨シーズン(スーパーボウルでチーフスに敗戦)のリベンジを狙うのだが、ここまで4勝4敗で、プレイオフ進出できるかどうかも流動的というレベル。朗報は、昨シーズンのリーディング・ラッシャー、RBマキャフリーがようやく復帰したこと。Week10の対戦相手は、これまたNFC南で生き残りを図るタンパベイ・バッカニアーズ、ここまで4勝5はい。49ersはKムーディーがFGを3本失敗。今シーズンの不調を象徴するような展

          NFL知ったかぶり(2024年第10週 その2)〜接戦・激闘が続出した

          NFL知ったかぶり(2024年第10週 その1)〜接戦・激闘が続出した

          全18週で争われる、米アメリカン・フットボールのプロ・リーグNFL。第10週が終わり、シーズンの半分強が経過した。 AFC・NFC、各カンファレンス4地区の優勝チームと、勝率上位2チームが進出するプレイオフに向けての分岐点となったWeek10は、接戦・激闘が続出した。これだからNFLは面白い。 32チーム中、4チームが休養“BYE“で、全14試合が開催されたが、うち7試合が3点差以内の決着となった。 口火を切ったのが、TNFのシンシナティ・ベンガルズ@ボルチモア・レイブ

          NFL知ったかぶり(2024年第10週 その1)〜接戦・激闘が続出した

          平野啓一郎著「ドーン」〜有人火星探査、大統領選挙、そして盛りだくさん

          平野啓一郎の小説「ドーン」(2009年 講談社)である。 私と平野作品の出会い方は、間違っていたかもしれない。「マチネの終わりに」(2016年)から始まり、「ある男」(2018年)へと進んだ。特に「ある男」は、その完成度の高さに感銘を受けた。結果として、旧作を読むと、どうしても「ある男」と比べて読んでしまうのだ。 彼の公式サイトでは、自らの創作時期を第1期から最新の第5期に色分けしている。「マチネの終わりに」と「ある男」、そして「本心」(2021年)などは、第4期(後期分

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          “サタプラ“1位のミートソースを試したと思ったら〜「青の洞窟」ボロネーゼは合格

          11月3日放送の「サタデープラス」、“ひたすら試してランキング“のテーマは“ミートソース“。 この番組では2年前の2022年11月にも“ミートソース“、自分に合ったミートソースあるいはボロネーゼを探している私は、1位になった新宿中村屋“野菜をたっぷり味わうボロネーゼ“を試食してみた。結果、どうにも甘くて駄目だった。 “ボロネーゼ“は、イタリア・エミリア=ロマーニャ州のボローニャから来ている。ヨーロッパ最古の大学がある都市だが、私は行ったことがない。ボローニャにスパゲティ・

          “サタプラ“1位のミートソースを試したと思ったら〜「青の洞窟」ボロネーゼは合格

          MLBワールドシリーズの視聴者数に思う〜アメリカにおける野球の地位

          MLBワールドシリーズ(以下、WS)は、ドジャースが4勝1敗で勝利。大谷翔平は、遂に優勝リングを手にすることになった。 報道によると、日本におけるテレビ視聴者数は、過去最大の1試合平均1210万人だった。大谷効果はもちろん凄まじいものがあったろうが、日本シリーズの視聴率も悪くなく、野球の根強い人気を感じる。 笹川スポーツ財団の調査によると、「観戦」という観点では、やはり日本では野球がトップ、ついでサッカーという結果である。 前述の報道では、WSのアメリカにおける視聴数も

          MLBワールドシリーズの視聴者数に思う〜アメリカにおける野球の地位

          楳図かずおさんの死を悼んで〜「漂流教室」で描かれた“恐怖“

          ちばてつやさんの文化勲章受賞をお祝いする記事を書いたのだが、その数日後、楳図かずおさんの訃報が入ってきた。ちばさんは1939年生まれ、楳図さんは少し年長の1936年生まれ、享年88歳だった。 楳図さんが最初に私の視界に入ってきたのは、当然ながら“恐怖マンガ“。「へび女」シリーズの印象が濃い。1970年代は主として「少年サンデー」誌上で作品を発表するのだが、私は購読していなかったので、たまに「漂流教室」を目にする程度だったが、中学生になり友人と週刊漫画誌を回し読みする頃に始ま

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          今年の初カキフライは「三洲屋銀座本店」〜寒さが近づいて来ました

          グッと寒くなってきた。丸の内の歩道には銀杏や落ち葉が散らばっています。「いよいよカキフライの季節だなぁ」と思い、今年の初カキフライ。「三洲屋銀座本店」へと向かいました。 11時40分頃到着。相変わらず繁盛で、入口近くのカウンターが2席ほど空いている程度。そこに座りましたが、ちょっと難のある場所。カウンター下の奥行きがなく、私の短い足でもちょっとぶつかってしまう。 それは仕方がないとして、カキフライ定食を注文です。値段は1800円。2021年1400円→2022年1600円

          今年の初カキフライは「三洲屋銀座本店」〜寒さが近づいて来ました

          シーズン4は映画に捧げられた〜Disney+「マーダーズ・イン・ビルディング」

          Disney+で配信されているドラマ、「マーダーズ・イン・ビルディング」(原題:Only Murders in the Building)はシーズン4に入った。(S1 S2 S3 はこちら) ニューヨーク、マンハッタンの高級アパート“アルコニア“。主人公はそこの住民である、俳優・チャールズ(スティーブ・マーティン)、演出家・オリバー(マーティン・ショート)、彼らからすると孫世代とも言えるメイベル(セレーナ・ゴメス)の三人。 彼らは“アルコニア“で発生した殺人事件について、

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