職質の鬼門は東京駅構内である。あそこには警視庁の私服がうようよいるのだ。監視する警官を避ける不審者を、陰から見ているのである。尾行もうまい。一度まいたのちに、別の私服に声をかけられたことがあった。無線連絡かもしれないが、警官を見張る私服を、さらに見ていた私服がいたように思う。