第四章…「それから」 あの晩の屋上の出来事から、なんだかんだ理由をつけてはほぼ毎日私は通い詰めている。いつ来ても、ぽんずさんはビール片手に出迎えてくれる。屋上ではいつも、私が楽しいこと、悲しいことや気になること、愚痴などを色んな出来事を、ぽんずさんに話して聞いてもらっている。 それは、他愛もない会話だったりする。 ある日は、「ぽんずさん、聞いて下さいよ。今日定食を食べに行ったんですけどね。物足りなくて追加で単品頼んだら、追加の単品と定食の小鉢の内容が同じで心の中で爆
第三章「再び屋上へ」 あんなことがあったにもかかわらず、私は次の日の夜にも昨晩の屋上へ来ていた。 ビニール袋を片手に…中身は、近くのコンビニで買ったおつまみとお酒だ。昨晩家に帰ってから自分がすごいことをしてしまったことに気がついた。 ・衝動的に屋上に行き飛び降りようとしたこと。 ・初対面の人に自分の事をあれこれと話したこと。そして、我に返った私はまた屋上へ来ていた。 昨日の人に謝り、そして昨晩のことは聞かなかったことになかったことにしてもらおう。 「あのぅ、昨日
第二章「出会い」 屋上に上がり空に向かって大きな声で叫んだ!! 真夜中にマンションの屋上から…かなり非常識な行動だとは思ったが、そんなことは私には関係なかった。 直接彼に言えなかった今までの彼との思いを…悲しみや怒りを…色々と溜まっていた不満を全て吐いた。 そして、ここから飛び降りようと思った。けれど、意外と不思議なものですべてを吐いたらスッキリしてしまった。心の中のモヤモヤが驚くほどスッキリなくなったので、あいつの為にここから落ちることが馬鹿らしくなった。 「はは
第一章「屋上へ」 その日、私は明らかにはしゃいでいた。 今まで着たことのない真っ赤なコートを着て…。 このコートは、去年親に勧められて半ば無理矢理に購入させられたコートだ。 あの時は、これを着ることになるなんて思っていなかったのに。元々私が着る服はモノトーンが多く、まして赤なんて自分には似合わないと思っていたし、普段スカートもほとんど履かない。 自分の体型に自身はないし、家では基本ジャージですこじている。 でも、その日は赤いコートの下にひらひらしたスカートを隠して、足取