今、世の中は、感じたことをじっくり味わうことがなくなっている。 それが一番の問題だ。 なぜなら感性こそが、自分を知る唯一の手段だし、自分を知らなければ、人間としての成長を積む方法が、全くわからなくなるからだ。 オーダーメイドの小説を書くという行為は、そんな世界に対する挑戦なのだ。
小説というのは芸術活動だ。 そして芸術活動は表現活動だ。 だから昔はお金持ちなどはオーダーメイドで絵を描かせたわけだ。 絵が、自分の感性への一つのフィードバックだったわけだな。 だとすれば、小説もそうあっていい。 でも、小説を本気で個人に向けて書き続けた人を僕は今日まで知らない。