1/30 俺と小説。書く理由

そういえば

書きたいばかり言っている俺は、俺が小説にたどり着いた理由を誰にも伝えていなかった。

共感されることには慣れていないし、過去をほじくると地雷に当たることも多い俺。

だけど、意外な盲点だったので書き出してみることにした。しばし、お付き合いください。


少年期

ノートになにやら書きながら、脳内世界で想像の翼をはためかせる。そんな行為にふけったことが、皆様の中でもあるかもしれない。

子どもの頃から一人遊びが大好きだった俺は、まさにそういう少年だった。

ノートにいろいろと書いては妄想し、時に原稿用紙を相手に章のタイトルだけを並べたりしていた。

今となっては妄想ノートの大半を処分してしまったが、もしかしたらその中にいいアイデアがあったのかもしれない。

ダイス片手に遊んでいたこともあるので、TRPGの素養もあったかもしれない。

まあ「かもしれない」話は置いといて。

ノートにものを書く時。俺の脳内ではマンガなどに触発された素晴らしいセリフや美しい光景、かっこいいスポーツ選手などが描写されていた。

だが。俺にはそれを形にする能力がなかった。典型的な脳内妄想少年だったのである。絵は下手だし音楽も体育もオンチだし文章にもしきれなかった。

否。文章自体には少しだけ挑戦しただろうか。

ライトノベルではなく、架空戦記の沼にいたために、誰に見せるでもなかったのが痛かった。ネットもなかったし……。

ともかく、挑戦というものに苦手意識しかないまま。俺はだんだん妄想から離れていくことになる。


青年期

やがて俺は架空戦記沼から這い出した。しかし読書方針はあまり変わっていなかった。

挑戦できないままに高校を卒業し、ある事情からフリーターとなった。

ここからの十年ちょっとには、あまり思い出したくない記憶が多い。あちこちに迷走し、他人と戦えず、振り回され、迷走したからだ。

もしもこの時期になにかを成せていたら。そう思うことはあるが、今となっては昔の話である。

そんな時期に、俺はネットにハマった。HPに文章を載せたりもした。創作意欲というものに久々に出会った。

顔を隠してコミュニケーションできる世界にどっぷり浸かってしまった。

マイナスのこともいろいろあったが、今でもどっぷりな辺り、楽しんでいるのだろう。

しかし、相変わらず絵は描けなかった。日刊南雲の初期に多少の絵があるが、そんなものである。

でも、小説は違った。脳内さえ表現できれば。そこにモノが生まれる。事象が生まれる。それが、嬉しかった。

絵が描けないなら文章だ。そういう意識だったのかもしれない。それでも良かった。

当然ヘタだ。まだまだヘタである。わかりやすくできていない。独りよがりで、固い文面だ。

だけど。俺は伝えたい。自分の脳内の世界を。頭の中に溜まっていく妄想を。つなぎ合わせて、形にしたい。

文章でしか表せない。そんな悲壮感もあるのだろう。楽しく見えないかもしれない。でも、書きたい。


自分の世界を、外に表現したい!

それが南雲の、書く理由である。

おわれ


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南雲麗
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