向井野 窓
『雨がくれた時間』を全部まとめたマガジンです。
友人というには近すぎて、恋人というには遠すぎる―― そんな微妙な距離のままで、臆病な俺は充分だと思っていた……。 いい大人たちの #両片想い の物語。 「天の川は渡れない」 思わず口に出してしまった言葉に、彼女は訝るように俺を見た。 「なによ、いきなり」 まるで不審者を見るような目をこちらに向ける彼女に、少しの苛立ちを覚えて、いつも以上にぶっきらぼうに言い返してしまう。 「どうせ、柄にもないことを、って言いたいんだろ」 「いや、そうじゃなくて、いきなり天の川とか
わーい。午前零時ぴったりに投稿したよ!
前回の話はこちら 第12章『告白』 始めの話はこちら 第1章『思わぬ雨』 13 かけがえのない時間 「すまない。驚かせて」 そう頭を下げる澤村の顔は、頬に浮かぶ静かな笑みとは裏腹に少し青ざめて見える。 「本当は墓場まで持ってくつもりだったんだがな……うっかり口が滑った」 覇気のないその笑い声が、無理に明るくふるまう澤村の胸中をそのまま表しているようだった。 「墓場だなんて……なに言ってるんだろうな、俺は」 なにげなく“墓場”という言葉を口にしたことに気
前回の話はこちら 第11章『晴れていく迷い』 始めの話はこちら 第1章『思わぬ雨』 12 告白 並んで虹を見上げる私と澤村の間を、涼やかな風がふわりと通り抜けていく。さっきまでの湿り気をおびた潮風とはまるで違う、さらりとした、とても爽やかな風だった。 「どうした?」 誰かに呼ばれた気がしてあたりを見渡していると、澤村が不思議そうにこちらを見ながらそう聞いた。 「今、名前を呼ばれた気がしたんだけど……あなた……じゃないわよね?」 「いいや。風の音じゃ
前回の話はこちら 第10章『意外な素顔』 始めの話はこちら 第1章『思わぬ雨』 11 晴れていく迷い 「気は済んだか?」 ようやく笑いがおさまり息を整えている私へ、澤村がそう問いかける。 「うん。済んだ」 自分でも驚くほど弾んだ声はいつもよりかなり高くなっていたが、彼は気にした様子もなく「なら、いい」と静かに言った。ついさっきまで、すねた子供のように膨らませていた頬には、いつもの柔らかい笑みが戻っている。 「見ろよ」 彼はいきなりそう言って、すっかり雨雲
もうあと1章で終わる! ……予定でした……が! 読み返したら無性に全部書き直したくなって、全部とまではいかずとも書き直し始めたら……増えた……。 あと1章どころか、もう3章ほど増えたという……(文字数にして3000弱) そしてまだ終わらぬ推敲……
前回の話はこちら 第9章「二つの笑い声」 始めの話はこちら 第1章「思わぬ雨」 10 意外な素顔 改札を抜けると、雨のあとの少し湿気を含んだ風が前髪を揺らす。 ホームの端に目をやると、線路の先を見つめてたたずむ澤村の姿があった。 「すっかり、やんだな」 なにも言わず隣に立つと、澤村は線路の先を見つめたままそう話しかけてきた。 「ほんと。さっきまでの雨が嘘みたい」 「ああ」と頷く彼の首筋に小さな切り傷があるのが目に入る。 「どうしたの?」 「ん?」 「そ
燃料が枯渇したらしい。 今日は1話コールドケース(本家米版)をただひたすら見ていた。 ただいま、燃料補給中。 #アウトプットには燃料が必要 で #その燃料はインプット だと思う。
書き終わったけど、間に合わなかった。 そして、これで最後のはずが終わらなかった。
あと2時間を切る…。 中盤まで来た…あと少し。 まだあきらめないよ!
毎日投稿を目指してたけど、今日はちょっと危うい。
迷ったらシンプルに。
なんとか、間に合った。 今日中に9章投稿するというノルマ達成。 これで、毎日投稿8日達成。
前回の話はこちら 第8章「彼の理由」 始めの話はこちら 第1章「思わぬ雨」 9 二つの笑い声 「おかえりなさい」 振り返ると、あの若い駅員さんが制帽を取ってニコニコと私に会釈している。 反射的に「ただいま」と答えたものの、それはなにか違うような気がしたからか、その声はひどく小さくなってしまった。 せっかく笑顔で出迎えてくれたのに、こんな返事では申し訳なくて「ただいま戻りました」ともう一度、今度は笑顔ではっきりと言った。 「かなり濡れたんじゃないですか?」
前回の話はこちら 第7章「あがる雨」 始めの話はこちら 第1章「思わぬ雨」 8 彼の理由 「そういえば、今までどうしてたの?」 渡されたままだった澤村の傘を閉じながら、なぜあの路地裏から出てきたのかが気になって聞いてみる。 私よりも早くお参りしてくれていたのだから、少なくとも正午前には七瀬家の菩提寺に着いていたはずだ。 その証拠に彼のデニムパンツの裾には、あまり濡れたあとがなかった。きっと寺を出たときもまだ雨は降っていなかったのだろう。なのに、こうし
小説を書くとき、日記を書くとき、 タイトルを決めるのに時間がかかる。 考えれば考えるほど、 カッコつけたキザな言葉ばかり が浮かんでくる。 自分の言葉に酔っているような まるで中二病のような言葉を なんとか、抑えようとすると 言葉が迷子になる。 奇をてらわず、キザじゃなく ナチュラルなタイトルを見ると 心底、あこがれる。 みんな、どうやってタイトル考えてるんだろう? と、今ちょうど書き終わった章の 浮かんだタイトルが とんでもなく中二病で 頭を抱えてる。