呟くんだ、やつてご覧 叫びの通じない場所で 心平静に保つ 無理ではない 何事も實地で- もしも君が詩人だつて あらうことなく無視と云ふ手 さあどう出る? 関係閣僚タチガ 蝟集シテ來タゾ.. 〈アルミ箔溶けさせたり脳隙間風 くにを〉 怖い怖い 君はしにかけてゐるんだぜ。 ©都築郷士
緑人間は(BJにも出てくるが)躰の 表面から立錐の余地なく植物の 若葉を-この冬のさ中に-生やしてゐる 山川草木悉皆成仏 彼はもはや人間としての行動を制限され まるでひと本の樹のやうに振る舞ふ、 つまり本当の意味での「青汁」を血液に。 〈殉死なる暁彼の狂ひ咲き くにを〉©都築郷士
〈無知無恥を売りにしてゐたプリンセス日本輕音どこが先進 くにを〉 音樂界エロが席巻 僕は♂だからいゝけど ちよつとジェンダー物申すつて バンドゐたつて良い筈だ。 尤も裸に近いのが 氣分よかればまあまあそれで。 女性美を語る時、僕はシャイボーイ そんな小坊主なんだなあ。 ©都築郷士
企みは夜造られる しかし何の価値があつてと言ふ事は 朝になつてみないと分からない 實地で學んだ理コトハリなので 引つ込める筈もない ひと欠片も 私は他人のだけではなく 叡知は自分の片言隻語にも見つかれば それなりの扱ひをする。 〈ふとのごと山茶花の垣気づく也 くにを〉 ©都築郷士
今日は余りに疲れて 酒で失敗して いゝとこなし、 それでも反省などしない 前進を止めたくもない 〈誇るべき血もなし出血の正月 くにを〉 出血てどんな? やつぱり自分らし過ぎる己 雲間に月が 見えるんだ さうさ己にも見えるんだ 批評は控へて自分らし過ぎる 詩歌句を!ね。 ©都築郷士
ごく個人的な慾求- フーゾクでもいゝさ それで行かうよ! 君はカネを何と心得る? 所得だ!さう、個人的ぢやないか 天下を廻る筈が バンクホリデイ絡めて眠る- 〈月代を「すつて」と小吉翁の言ひ江戸つ子弁の眞髄聴かせる くにを〉 お江戸日本橋には ピンサロはない 分かつた?©都築郷士
IQか。何を誇つたつて無駄 何が?問ふのか君は 時代が駄目なのさ 時代閉塞糞づまり 独り頭が良からうと 氣儘の謗りは免れぬ 現世界が要求してゐるのは 行基菩薩の如き スマートなブルドーザー ほら見てご覧、雪かきは 皆で菩薩行したんだ! 〈積雪の腰に設ふ艾かな くにを〉 ©都築郷士
戀するハート、わたしはエイティーン ロリコン的視坐からすれば 十八歳など薹の立つた姥櫻だが 私の健全な(笑)目には 甘酸つぱいの 酸い部分が目立つのだ。 スメルズ・ライク・ティーン・スピリット - まさにそれ。 〈歌ひ得て自裁したのだ皆が皆歌ひ終へると姿眩ます くにを〉©都築郷士
サングラスは冬でも 人格を変へる 私はそれに頼る訳ぢやなし なんとなく愛用 - 私の人と為りは 元々サングラスかけてゐたみたいだろ? あゝ陽光の弱さ が、全てを蝕ムシバむそれも 計算の内。 〈どう辻褄合はさう?己は悪霊めかし過ぎたよ今になつて気付くが くにを〉ふー。 ©都築郷士
〈一々を作り込んだら息つまる時にあつさり味にて手を退く くにを〉 私の内にない物で 考現学的に興味深きは 所謂「ガンプラ」つてやつである 創造性のどん詰まり 一度拵へてみたくも思ふ 要するに好奇心である それ以外の理由はない 何故ならガンプラ製作は 退行現象だからだな。©都築郷士
「降りてくる」と人は云ふが 「湧いてくれ」ば浸かれるし 疲れも幾分か取れるんぢやねーの? 〈三が日果てゝこの世に終焉あり くにを〉 また担がうとする・悪い癖、 言葉は萬能ではないぞ 〈創世記含み笑ひや初懺悔 くにを〉 もう訳分からん我ながら 何を創るのか..ツグオ.. ©都築郷士
下手なランボオ調で恥かく 壱に詩人の大事な修行 冷たい水をぐいと呷れ 薄い酒より利きが良かろよ あゝ空よ大地よ 汝らの仔でなき私迄も 養うて何樂しむか。あゝ掌篇のみ 心を語り得、 たゞそれだけの雨風さ 〈暴虐をぐいとその細き腰に遣る靡け女ごよ我が腕カヒナへと くにを〉 ©都築郷士
寝てる間に 口唇を噛みしめてゐたやうで 珈琲飲んで口をぬぐつたら ティッシュペーパーに血がべつとり 何を見たのか 夢に 己はそれ覺えてゐない 自分を罵る 心に 口唇と言つたら 何か口惜しかつたのか 今はもう いゝやつてなつてる 〈ふざけてを二回使つたあの歌はまあ七月のふたり戯れ〉
何かゞ宿つてゐる 私の未明の心臓 所謂ばくばくする つてんでもないし だが氣分晴れやらぬ (予報とは相違して) 助けて!とは言へない 何ゆゑ - その理由がないからだ 尠くともドラマが足りず 市の職員の顔が浮かぶ、 信用度よ 〈戦オノノけと笑顔が云ふや暮の余話 くにを〉©都築郷士
悲しいな。 彼女は僕を好き過ぎて 権力によつて遠ざけられ、自害した。 今、何時代かな? 安土・桃山時代だろ 一つの茶器を巡つて、人の命が左右された頃だ。 半ば自発的にだ、 空気がさう色づけられてゐた - 〈女持ちの短刀なんぞひらひらとさせて悪党悪なる貌カホよ くにを〉 ©都築郷士
私の抜け毛が蜘蛛の巣糸のやうな 現世に私は呼び戻され 生老病死どう云ふ事か 思ひ知らせやうと(誰か)「上位」なる存在が.. 私は「沢の鶴」の飲み残しを飲み 忝なさに一寸酒を崇める 今夜はやけに正直だねえ、 〈相棒と云ひける人のゐる人はきつと素敵な棒の一方 くにを〉 はゝ©都築郷士
生きるのにイキんだつて仕様がないさ たゞ証しとなる物一つだけ慾しい やゝ恥づかし けれども表明しておく それは、己の書いた詩歌句で埋め盡くされた本一冊 飽くまでも己の為 あんた方巻き添へにはしないよ。 未明、己は不眠の中 綴る - 〈その日へと生一萬兩賭す時雨 くにを〉©都築郷士