【詩化・テクスト1】 詩。
無理を言つて
あなたを困らせたくはない
たゞ、偉大な彼の(若かりし頃の)やうに
It ain't me, babeと云ふのが
正直なところ。
※
莫迦げてゐる
何が?
そんな私の存在が。
身をもたれかゝらせるのが
何より億劫、
もう老いたのだ -
そして莫迦げてゐる。
あなたの氣配で
私の臆病さが分かる、
本当だよ。
※
コロナ禍中で
戀愛のスタイルも變はつた、とか
なんやらかんやら ビョーキの
フィルターがかゝつてしまつたね。
私はそれを利用して
尻尾を巻いて逃げる、あなたの
眞率さに恐れをなし、ほら
今持てるレトリシズムの限りを盡くし
背中を見せる事を
詩化させやうと躍起だ-喉が乾いた-水を-しかし、
詩化とは!?
※
肉付けさせてゐるふうを装ひ
實は骨化させてゐるのだ、もう一度、
It ain't me, babeと云ふのが
私の最後の言葉、
あなたは私のベイブではない。私は
旅に
出たい。酒を
これへ(もう無い)。
※
〈假眠まへ薬嚥みしが効いてゐる立石に水の詩行に紛れ くにを〉
※
©都築郷士
筆者近影。
〈帰り着くまだ松かぐはしの貧家に くにを〉