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【中年幻想】 詩。

充電を待つてゐる間に
服を取り替へて 珈琲を二三杯
忙しいと言はれる歳の瀬にも
意外な閑暇はあるものだ、
どのみち僕には師走も何もない
たゞ自撮りして
なにがしか書く、それだけだがね
月の裏側に
美しい蛾たちは帰り
誘蛾燈の蒼白さが
葉物の植ゑ込みの暗さから
じゝゝと音立て
浮き上がつてゐる そんな幻想が
僕には親しい。さて、
外は寒いぞ
帰つて來ぬ猫の事も
次第に心に薄れ...
いや本当に人間は酷薄だ、
良く覺えておけよお若いの。

幾ら着込んでも、要所要所を疎かにすると
寒さは忍び入つてくる
- あゝさうだ、お煎餅あつたな
精神も順繰りに記しておかないと
混乱を極めるが
小腹と言ふものは
大の胃の腑をスルーして
小脳辺りで管理されてゐるのだ。いやいや、
寒いつて話。雪國では積雪あらう、
余りがつがつすると嫌はれる
あのコとの対話では
こちらからは雪の話題は
持ち出さない。任せておけばいゝ。
何でもさうだ、
相手に任せておけば、と言ふ事、學ばなくては
五十にして分かることはりあり
僕は刮目する。(こゝで煎餅を投入)
ばり、ばり、ばり。

僕は刮目する
僕は刮目する
僕は刮目する

失禮な野郎たちが
僕のリーディングの聲を
勝手にサンプリングして
繰り返してゐた - また思ひ出の領域、
お嬢さんがゲージツしたいと
オーガナイズしたみたいだけど
てんでお話にならない。
90年代...なんだつたのだらうか。一体。
(全然コンビニエントぢやないコンビニ、何となく
そんな詩だつたつけかな。)

©都築郷士 Dedicated to the spirit of Mr. Frank O'hara.

筆者近影。

〈寒肥を語る平八郎爺よ くにを〉

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