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何度も読み返している大切な文章たち。
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#エッセイ

” 上手く生きられない ”っていうのが ” 生きてる ”ってことだ

” 上手く生きられない ”っていうのが ” 生きてる ”ってことだ

人間向いてないなぁと思うことが何度もあるので、前世は猫だったのかもしれない。

大晦日に何言ってんの?って思われるかもしれませんね。

でも大晦日だからこそ、したい話があります。

人間向いてそうな人って、多分前世も人間だったと思うんですよね。
一度人間を経験してるからなのか、なんかこう、要領が良いというか。

そういう人いるじゃないですか。集団の場にすぐ馴染めたり、仕事を効率よくこなしたり、

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両手ひろげた分に幸せを

両手ひろげた分に幸せを

大切にしたい人がいる。

妻、それから家族。
仲間、憧れ、親切にしてくれた人。

ぼくは人よりもその範囲が小さいのかもしれない。「国を守る」なんていう大それたことは言えない。たくさんの人の先頭に立ってみんなを救うための行動を起こすことなんてできない。人には人の器がある。ぼくはきっと両手をひろげた分くらいの人たちしか大切にできないのだと思う。だからこそ、その中にいる人たちだけはどうしても守りたい。一

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「おだやかの民」が武者震いで一生を終わらせないために

「おだやかの民」が武者震いで一生を終わらせないために

「挑戦」という言葉が苦手だ。「戦い」を「挑む」?ムリムリ。
そもそも競うことが好きじゃない。

「勝つ」ことによって自分が誰かを「負かす」なんて、「自分が負かした人」がいる世界で暮らすなんて、申し訳なさすぎ。というより怖すぎ。
盛者必衰って私習ったよ、燃やされるでしょ、城。

敗北は悔しいより前に虚しいし、人の成功は喜びたいし、
選ばれなかったところには執着せず、ご縁がなかったですねと笑いたい。

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全然好きじゃない人と結婚したら幸せだった

全然好きじゃない人と結婚したら幸せだった

私は多分、夫にときめいた事がない。

顔がタイプな訳じゃないし、好きな食べ物も、好きな映画のジャンルも、好きな漫画のジャンルも全然違う。

彼は私が大好きな「3月のライオン」を全巻買い揃えておきながら、1度も読んでくれた事がないし、私が大好きなチーズケーキも嫌いだ。

私が高校生だったとしたら、多分、恋愛に発展しない相手だ。



元々、愛されるより愛したい病の患者だった私。

それ故に数々の失

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誰かの言葉に呪われない

誰かの言葉に呪われない

まだ社会がこんな状況になる少し前、前の職場の人と飲みに行った時のことだ。
ちょうど1年ほど前に私はその会社を辞めたのだけど、職場の人たちとは結構仲が良くて、今でも飲みに行ったり遊びに行ったりする。その日も定期的に飲みに行くメンバーで予定を合わせていたのだが、直前になって一人から連絡がきた。

『Iさんも誘っていいですか? 来たいって言ってて』

Iさんというのは、私のひとまわり年上の女性社員だ。職

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否定するということ|「ということ。」第24回

否定するということ|「ということ。」第24回

近頃、大変うんざりしていることがある。他人、とりわけ私のことをよく知りもしない年配に、否定されることだ。「葉さん、海外行ったことないでしょう」だとか「葉さんが分かっていないだけで、これは普通だよ」だとか。ああ、もう、心底うんざりする。はたして、人は歳をとれば勝手にものを知り、えらくなれる生き物だっただろうか。

我が家では、「罪を悪んで人を悪まず」の教えだった。これは、単に人の言動における善悪の話

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世界がひらける言葉の話

世界がひらける言葉の話

中島みゆきさんの歌に、こういう歌詞がある。

『失えばそのぶんの、何か恵みがあるのかと、つい思う期待のあさましさ』

はじめて聴いたとき、わたしは心の中で膝をちいさくかかえるようにして過ごしていた。「あのときこうしていれば何か違ったのか」「そもそもわたしの道は全て間違えていたのだろうか」なんて思考をぐるぐる回して、半ばふてくされながら世界を恨めしい目で見つめ、実家の近くにある川をよく眺めていた。ま

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大切な人を亡くしたときに

家族を失って立ち直れないという話を聞くようになった。

よく書いているが、私は8歳の時に母をがんで亡くした。幼い頃から、従姉妹、祖父母、友人など、なぜか人を弔うことが多い。2年前も大切な人を亡くし、その時はさすがに死んでしまおうかと考えた。とはいえ父はまだ存命で、自らの人生を不幸だとは思わない。

死別は人が生きていく上で経験するかなり大きな絶望だ。回数を重ねれば慣れるものでもなく、精神が強くなる

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矢印はどこへ

矢印はどこへ

自動ドアが開くと、静かに雨が降っていた。

夜勤明けの朝。夜の暗さに慣れたせいで、天気が悪くても外の世界はまぶしい。短く息を吐いて、「やっと出てこれた」と思う。長い長い夜勤だった。社会人一年目の私は緊張しっぱなしで、仮眠時間もろくに眠れず朝を迎えた。

傘は持っていなかったが、小雨だったためそのままバス停に並ぶ。なんかもう、濡れたってどうでもいい気分だ。夜中の長時間勤務で疲れ切った体は重く、眠れて

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SNSで死なないで

SNSで死なないで

中学生がヒッチハイクでアメリカ横断を試みて、ツイッター上でちょっとした騒ぎになっていた。ふつうに常識があればありえないほど危険な話だし、そもそも本人のツイッターやInstagramの投稿を遡るとまるで勇気と無謀を履き違えていて、どうしてこんな歪んだ認識をするに至ってしまったのか…とうろたえてしまう。

彼が正しいとか間違っているとか、それは一旦置いておいて(彼がしていることは間違っていると思うのだ

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ポジティブな変化もストレスは溜まる

ポジティブな変化もストレスは溜まる

昨年12月中旬、朝起きて身体が重かったり、「なにもしたくない」と思ったりすることが何度か続いた。「ちょっとおかしい」と思いつつも、新しい環境に慣れるための筋肉痛みたいなものだと捉えていた。

でも違った。

「変化はすべからくストレスである」

僕が所属するinquireとsoarの産業医である鈴木先生のメンタルヘルス勉強会に参加したとき、スライドに映された言葉。

自分が望んだ変化だとしても

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いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

臆病なので、昔から意味もなく「怖い」と思うことがたくさんあった。

失敗することが怖かったし、ひとりぼっちになってしまうことも怖かった。時計の秒針が1秒ずつ時を刻むごとに「ああ、1秒ずつ死が近づいている!」と本気で考えこんでしまい眠れなかったこともある(今思うとヤバい)し、小学生や中学生の頃は、誰かに嫌われることが本当に怖くて、周りにいつも合わせるように生き、自分の意見をなかなか言い出せないような

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運命論があるならば

運命論があるならば

運命の赤い糸が小指に結ばれていて、つたっていけばいつかその人に出会える。そんな迷信はどこで知ったのだろう。

運命とは往々にしてあらかじめ決められていることを指す。もちろん、大人になると大抵のことは「結果」にすぎないこともよくわかる。

でも何かに迷った時に「運命」は「これは決まっていたことだから」と自分を納得させる強制力を持つ。起こるべくして起きた「必然」よりも、「運命」はもっと強く人生に作用す

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二元論で語らない覚悟、グラデーションのある世界

がんばらない。そう言い続けている。努力、情熱、成長はいらない。がんばらなくてもいいよ。と言うと、がんばっている人を否定するのか!というクレームが飛んでくる。よく考えてほしい。「がんばらなくてもいい」という言葉の中にがんばっている人を否定する要素はひとつも入っていない。同じように、努力、情熱、成長を否定したことは一度もなく、むしろ憧れすら抱いている。どうしてもがんばれない環境にいる人は無理をしなくて

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