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記事一覧
【短編小説】ヒトリ珈琲
■バニラマカダミア~金田由紀子(45)
消える、ってどんな感じだろう。
夕食をテーブルに並べながら、ぼんやりと由紀子は考えていた。
死んでしまおう、なんて絶望感はない。痛いのも苦しいのも、いろんなところがぐちゃぐちゃになるのも嫌だ。もとからそんな勇気は持ち合わせていない。
そんなことではない。
カレンダーを見る。
赤丸のついた日はパートにでる日だ。
明日は早出で、苦手な増山さんとコンビを
短編小説:さよなら7
空が透明に晴れた日曜日、あたしはナナと電車に乗っていた。
普段あたしは一切外出しない、それは生活のすべてが家の中で完結するからで、かつあたしは、外の世界があんまり好きじゃないからだ。
いつもならナナが何を言おうが、「イヤや、行かへん」とあたしが言えば、大体ちょっと不満そうな顔をしてから「こんないいお天気やのに」なんてぶつぶつ言いながらナナは一人で出掛けて行く。あたしはこの「あんたがひとりで行け
【謹賀新年】ドレミの歌を考察し隊
「ドレミのうた」には原曲がある。
もともとミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」内で使用されていた"Do-Re-Mi"がそれに当たる。1961年にペギー葉山氏が日本の唱歌として発表し、今や誰もが知っている名曲となった。2007年には、文化庁と日本PTA全国協議会により「日本の歌百選」にも選定されている。
前置きはこれくらいで良いだろう
さっそく本題に入る。
本稿では「ドレミのうた」の歌詞
ふたたびのエモ1グランプリ
前回の記事はこちら。
パソコンの画像フォルダをつらつらと眺めておりましたら…
昨年撮った写真がありました。
わりとエモいと思うので、ふたたび「エモ1グランプリ」に参加します。
前回が日の出の写真だったので、今回は日の入りです。
撮影場所:大阪・マーブルビーチ
使用カメラ:LUMIX GF6
使用レンズ:G X VARIO 12-35mm/F2.8 II ASPH.
このレンズ、中古で買った
短編小説:かつて僕らの世界のすべて
それは、ミナミの雑居ビルの中にあるカウンターだけの、別に洒落てもいなければ綺麗でも新しくもない小さなカラオケスナックだった。店の名前は『五月』さつきではなくてごがつ。店主である僕の母の名前がメイなので、つまり自分の名前を付けたのだ。
六月の蒸し暑い金曜の晩、その日は週末だというのに夕方降った大雨のせいか客足の酷く悪い日で、母はカウンターの中で常連のキープボトルのウィスキーを炭酸で割って勝手に飲み