谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青山裕企、リリー・フランキー、尾崎世界観、吉本ばななさんとのコラボ詩集なども多数ある。作品はさまざまな合唱曲になったり、中学校の教科書にも掲載されている。詩集『詩を読みたくなる日』他多数。

谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青山裕企、リリー・フランキー、尾崎世界観、吉本ばななさんとのコラボ詩集なども多数ある。作品はさまざまな合唱曲になったり、中学校の教科書にも掲載されている。詩集『詩を読みたくなる日』他多数。

最近の記事

谷郁雄の詩のノート61

高円寺にも冬の足音が近づいてきました。ダウンのパーカーやコート姿の人が目立ちます。夜間は、駅前の広場に恒例のイルミネーションのカラフルな光が灯されています。一年が終わりに向かって加速していくこの時期がぼくは好きです。この日、駅ナカの花屋さんでは「いい夫婦の日」の文字が人目を引いていました。街も人も日々変化し続けています。そんな中、谷川俊太郎さんの訃報が流れました。ご冥福を祈りたいと思います。個人的に大切にしている思い出があるのですが、そっと心にしまっておくことにします。では皆

    • 谷郁雄の詩のノート60

      ぼくのnoteの投稿も今日が60回目。小さな個人的な楽しみに始めたnoteの連載ですが、思わぬ反応や感想や出会いがありました。顔も名前も知らない人がほとんどですが、それぞれの人が同じ時代のどこかの街で暮らしていて、ぼくの詩をひそかに読んでくれている。ぼくもその人たちの記事を読む。その楽しみのために、ぼくは今日も机に向かって詩を書き続けています。もう詩集が何冊も作れるくらいたくさんの詩がたまりました。どうしょうかな? 「秋のポエム」 まだ 歩いていない道も もう 歩いた道と

      • 谷郁雄の詩のノート59

        氷川神社に行く道の途中にカフェ「poem」があります。ぼくの記憶では、この高円寺駅前のポエムと同じお店が、他の街にもありました。三鷹や方南町でも見かけました。高円寺のポエムは女性に人気のお店のようです。小さな店なので中に入れず外の椅子に座って待っている女性の姿をよく見かけます。中の女性たちは、コーヒー片手に噂話や恋バナに花を咲かせているのでしょうか。一人で入るのは怖いので、会社の女の子を誘って潜入してみたいと思っています。詩人はタダでコーヒーが飲めるとか(笑) 「出会い系」

        • 谷郁雄の詩のノート58

          高円寺をぶらぶら歩いていて思うのは、壁の落書きやステッカーの多さ。その観察記録だけで本が1冊書けるほど。エネルギーがあり余り、どこにぶつけていいか分からない若者たちが集まる街だからでしょう。さすがにぼくはもう落書きなどする年齢ではありませんが、見るのは面白いです。この日は、駅前でこんなステッカーをたまたま見つけ写真に撮りました。なかなか素敵なステッカーですよね。すっかり秋めいてきましたねと言いたいところですが、今日の東京の最高気温は30℃。これから半袖シャツで出かける予定です

          谷郁雄の詩のノート57

          たまたま高円寺で働くようになってはや4年。でも、高円寺には縁があり、若い頃にも少しの間暮らしたことがありました。デタラメな生き方をしていた頃の話です。いまもかなりデタラメですが。そのときから変わらず名曲喫茶「ネルケン」はこの場所でひっそり営業しています。でも、若かった店主はいまや白髪のおばあさん。静かな人生にも時は確実に流れていたのです。高円寺に行くことがあれば、寄ってみてください。上品なおばあさんが美味しいコーヒーでもてなしてくれるはず。インスタも投稿したのでハシゴしてみて

          谷郁雄の詩のノート57

          谷郁雄の詩のノート56

          高円寺の駅前でパレスチナの人々の死を悼む街頭イベントをやっていました。見ると、赤い絵の具で描かれた「血の涙」でした。通りかかった人たちが手渡された筆を手に持ち、赤い「血の涙」を描いていました。写真を撮らせてもらったあとで、ぼくも「血の涙」を一つ描き加えました。争いの理由は複雑すぎて、けれど結果はいつも人々の犠牲です。どの涙がぼくの涙か、やがて誰にも分からなくなるでしょう。 「せんたくもの」 パンツとか Tシャツとか タオルとか ブラとか くつしたとか せんたくものは け

          谷郁雄の詩のノート56

          谷郁雄の詩のノート55

          高円寺の名物イベントの阿波おどり。今年もまた、その日がやってきました。これから3日間、高円寺は1年でいちばん賑やかな時を迎えます。駅の北口にはたくさんの提灯をぶらさげた舞台が設営されていました。その祭りが始まる前の、まだ静かな駅前風景を思い出に1枚。「つぎのnoteの写真はこれで決まりだな」と心の中で呟きながら。インスタにも同じ日の別の写真を投稿しました✨ 「坂道」 一人で上る 坂道は 長くて きつい けれど そうじゃない 日もある 幸運が 微笑みかける日 いつもの

          谷郁雄の詩のノート55

          谷郁雄の詩のノート54

          先日、高円寺の駅頭でもらったUFOのチラシ。テイッシュがセットになっていました。チラシの表側には「UFOには愛がある」という言葉が印刷され、裏側には「地球人は実験室で創られた!」という言葉。この日はUFOのイベントがあったらしく、チラシはその宣伝でした。空を見上げたらUFOも浮かんでいたかもしれません。人間界は何でもあり。高円寺は楽しい街です。noteは無料公開しているので、詩集を買っていただけると嬉しいです! 「赤ちゃん」 今朝は 女性の運転士さん だから なのか

          谷郁雄の詩のノート54

          谷郁雄の詩のノート53

          先日、駅の券売機でSuicaのチャージをしたとき、おつりの中に新札の千円札が2枚混じっていました。以前のお札よりデザインがすっきりしている印象です。新たなお札の顔は北里柴三郎博士。なかなか立派な顔立ちです。でもなあ~もっと面白い人がいるだろう、たとえば漫画家の楳図かずおさんとか。そんな思いから生まれたのが「新札」という詩。もう一つの詩は、最近くよくよしがちな自分を叱咤激励するために書いた詩。では、皆様、「やったー」がたくさんある楽しい日々を! インスタも見てね! 「新札」

          谷郁雄の詩のノート53

          谷郁雄の詩のノート52

          先日、都知事選の投票に出かけたとき、投票場になっていた小学校のフェンスに見つけた「えがお」の3文字。こういうの、学校にはよくありますね。このとなりには「あいさつ」ということばもありました。学校って、昔からちっとも変わりません。大人が変わらないのです。「好きに生きなさい」とか「恋をしよう」とかあると、自然に「えがお」になれるのに。小池百合子さんの時代がしばらく続きそうです。ずっと昔、アナウンサー時代の小池さんにあげたぼくの第一詩集、まだ持っているだろうか? 「日傘」 コレ

          谷郁雄の詩のノート52

          谷郁雄の詩のノート51

          仕事が終わり、高円寺駅のホームで電車を待っていたぼくの目の前に、ふくよかな背中に「世界地図」のタトゥーを彫り込んだ女性がいました。めったに見られないタトゥーなので記念に一枚。この「世界地図」には日本は描かれていないようです。残念。でも、素敵なタトゥーでした。さて、29日夜の詩のイベント「Poetry  Hour  ポエ泡」が間近。ぜひ遊びにいらしてください。「文喫 六本木」のイベント情報をチェック願います。 「片思い」 おやおや そうとは 知らなかったよ 君の 片思いの

          谷郁雄の詩のノート51

          谷郁雄の詩のノート50

          高円寺の氷川神社は天気の神様としても知られています。結婚式とか、デートとか、イベントの日の晴天を願う人たちが訪れ、願い事を書いた絵馬を吊るしていきます。氷川神社の絵馬は、お天気を占う下駄の形をしています。「脱!雨女」の絵馬が気に入って写真に収めました。梅雨の季節、氷川神社の絵馬はますます人気が出そうです。イベントのお知らせです。6月29日夜に六本木の書店「文喫」にてトークと詩の朗読を行ないます。まもなく予約が始まるようです。お時間あれば、ぜひ! 「絵馬」 さまざまな 願い

          谷郁雄の詩のノート50

          谷郁雄の詩のノート49

          高円寺の駅前に活気のある八百屋さんがあります。ときどき、そのお店の前を通ります。何も買わないのですが、店先に並べられた季節ごとの果物や野菜を眺めるのが好きです。なんだか元気が出ます。先日は美味しそうなスイカを発見。もう夏なんですね。皆さん、もうスイカを食べましたか? インスタにも詩を投稿中です。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「おつかれさま」 道具も 人も 使い捨て 人は 道具じゃないのに 心を 持っているのに 愛された 思い出もあるのに たった一言 一

          谷郁雄の詩のノート49

          谷郁雄の詩のノート48

          一年のうちでいちばん好きな月が五月です。仕事に行く途中や散歩の途中で見かける若葉の美しさは格別です。特別なことがない日々でも、心が高揚します。写真は、高円寺にある高円寺というお寺の駐車場で缶コーヒーを飲みながら見上げたときの、一枚。皆さんも五月を堪能してください。インスタもときどき投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「つづれ織り」 人生は ゲームさと 言う人もいる 人生は 旅さと 言う人もいる 人生は 問いさと 言う人もいる 人生は 忍耐さと 言う人も

          谷郁雄の詩のノート48

          谷郁雄の詩のノート47

          高円寺駅構内に花屋さんがあります。花屋さんは2カ所にあるのですが、いつも季節やイベントに合わせた色とりどりの花が並びます。この日はちょうど母の日のプレゼント用のアジサイなどが並べられていました。そうか、もうすぐ母の日だったな。遠くで暮らす93歳の母の顔を思い浮かべました。父はとっくに亡くなったのに、母は令和のいまも生き続けています。どうせなら、100歳まで生きてほしいと思います。花もいいのですが、ぼくはこの季節にしか見られない木々の若葉の輝きを愛しています。インスタもやってま

          谷郁雄の詩のノート47

          谷郁雄の詩のノート46

          街は日々めまぐるしく変わり続けます。なじみの店が閉店してしまったり、新しい店がオープンしたりと、いつもどこかで工事中。街も細胞分裂をくり返しながら生きているのですね。そんな中、高円寺の高架下では、讃岐うどんの店がオープンの準備を進めています。やったー! うどん好きのぼくは、嬉しくて、ニヤニヤしてしまいました。オープンの日のランチはうどんに決まりです。うどんをすする自分を思い浮かべながら、回転寿司へと向かいます。インスタものぞいてみてください。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発

          谷郁雄の詩のノート46